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まだエルスさんに怒られたくありませんから!!
しおりを挟む「何とおっしゃいました?聞き違いでしょうか?【アラビータ】を亡ぼすとおっしゃったように聞こえましたが?」
皆が固まって動かない中。ラーニアパパが立ち直り慌ててあたしに聞いてきたので頷く。
「そう言ったよ、【アラビータ】は亡ぶ、【アラビータ】王家の血筋いないんだから【アラビータ】の歴史はもう終わりだべ、新たな名前で始めるべきだ」
あたしの言葉に皆が目を見開きその後考え込み・・・・・・・そして頷く。
「納得しました、それで国の名前は考えてあるのですか?」
「【ゴスペラータ】」
福音という意味のゴスペルにアラビータの名残を残すような感じで【ゴスペラータ】なかなか響きもいいからいいんでないかい?
「いい響きですな」
「さすがジャンヌ様」
かなりいい反応なので安心したよ。
「あと宰相はラーニアさんにやってもらう」
ラーニアさんは元々父親の手伝いをしていたと言っていたし、今までの行動を見て有能だと思ったので宰相を任せることにした。
「私でいいの?」
「うん」
ラーニアパパは辞退するって言ってたし、宰相をやると言ってもあたしはやらせなかったからね。
「まあ取りあえず今する事をやって欲しい。各地に送っている部隊の撤退、市民への物資返還、それと王国とドラグーンとの戦いで出た被害確認、怪我人の治療、死者の埋葬、どれもぬかりなくやっておくれ、後の話はそれからだ」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」
皆が一礼した後に部屋を出て行き、部屋に残ったのはあたしと従者達とアニマルズだけとなった。
「皆悪いんだけどもう少しだけあたしの我儘に付き合ってね」
「「「「「「畏まりました」」」」」」」
「【銀狼の寝床】の食べ放題で許すわ」
シン達とアリーヌがそう言ってくれアニマルズはあたしにじゃれついてくれた。
本当にありがたい。
「シン悪いんだけどエルスさんに会いに行ってくれるかな?、そして明日の夜【銀狼の寝床】に王様会合のメンバーが出来るだけ集まるように頼んでほしい、それとあたしの事はまだエルスさんには言わないでおいて」
まだエルスさんに怒られたくありませんから!!
「畏まりました」
そうい言った後【アイテムボックス】から【転移の腕輪】を取り出して転移していった。
「ミズキ、悪いんだけど紅茶入れてくれるかな?」
「畏まりました」
紅茶を飲みつつため息をつく、どうしてこうなった・・・・・・・・・・・・と。
その後3時間は何も起きずのんびりと過ごす事が出来たのだけど、夕食の時間になった時にラッチさんとアルベルトが部屋に入って来た。
「失礼します、【ドラクーン】側の被害を纏めてきました、報告してもいいでしょうか?」
ラッチさんが疲れた顔でそう言って来たのであたしは頷く。
「まずは怪我人ですが重傷者はおりません、巫女様が最優先で癒してくださいましたので」
それはよかったよきちんと巫女としての仕事はしてくれていたんだね、あの話し合いでの会話は要らなかったけどね!!
「怪我人も同様です、そして死者ですが・・・・・1576人です、申し訳ありませんでした」
「申し訳ありません」
ラッチさんとアルベルトが深々と頭を下げてきた。
「何であんた等が謝るのさ?悪いのは我儘に付き合わせたあたしだべ?」
そう言うと2人が揃って首を左右に振る。
「我々の指揮に問題があったと考えます、もう少しうまくできれば死者は少なく済んだでしょう」
「本当に申し訳ありませんでした、我々は仲間の命を無駄に散らさせた責任を取りたいと考えます」
その言葉にあたしは立ち上がり一瞬で詰め寄り二人をぶん殴る。
「がっ!」
「ぐっ!」
倒れた2人を睨みながらあたしは口を開く。
「立ちな、そして訂正しろ『仲間の命を無駄に散らさせた』という言葉を、死んだ奴等の死は無駄なんかじゃねぇ」
いくら仲間でも言っていい言葉と悪い言葉はあるだろう?
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