レディース異世界満喫禄

王都決戦 南門の戦い⑤

「流石に終わらんか」



敵将を倒しても副官が指揮を引き継ぎ戦闘を継続している、自分が居なくなった後の事も想定してある。



「ご無事でしたねラッチ殿」



戦況を見ていたらシン殿がこちらにやって来た、どうやらドラゴンズ達とシン殿だけのようだ。



「ジャンヌ殿のお陰で命を救われましたよ、北門はどうなりました？お一人のようですがミズキ殿達は？」



シン殿しかいないので何かあったが心配になったのだ。



「他の者達はジャンヌ様のお手伝いの為王宮へと行ってもらいました、北門に関してはかなり早い段階で制圧し、敵を無力化しました、なので私とドラゴンズの皆さんで南門のお手伝いに来た次第です」



私の心配など無用だったようで安心した。



「こちらの状況を見るに少し押されているようですが」



「これからは拮抗すると思う、敵将を打ち取って指揮官が変わるからな」



確か副官は総隊長のような周りを凌駕する才能は無かったはず。



「かと言ってそのまま見学という訳にはいきませんからお手伝いをします」



「それは助かります」



拮抗し始めた戦場を見ながらそう言った後に剣を握りしめる。



「では私と共に突撃しましょう」



「ほう」



面白そうに私を見て頷くシン殿。



「どうやら今の私は我等の聖女様の加護のお陰で無傷でいられるらしいので少し無茶をしようと思いましてな」



「なるほど・・・・・・流石はジャンヌ様という所でしょう」



納得したように頷きシン殿も剣を構える。



「狙いは向こうの指揮官です、少しでもこちらが有利になるように各部隊の長らしきものは倒していきましょう」



「判りました、あとドラゴンズの皆さんには接近戦のみをするように言ってありますのでご了承ください」



それはそうだろう、この乱戦の中ブレス攻撃をされたら【ドラクーン】のメンバーも吹き飛ばされてしまう。



「判りました、ではそろそろ行きましょうか」



「ええ、此処も早く終わらせてあの方の下に行きたいものです」



南門の戦闘開始から５０分は経っている、それを考えるとかなり粘った気がする。

シン殿と共に敵兵に向かい走り出した。









「ったくしつけぇんだよ！！」



ゴーレム部隊を壁役にして強襲部隊を防いでいるのだが、最初は『【ドラクーン】の後ろから切り崩す』だったのだが巫女様の存在がバレたせいで『神の巫女の奪還』へと移ってしまった。

原因は俺の部下が巫女様の護衛についた時巫女様の乗っている馬車を襲おうとした敵兵に『巫女様に何をする！！』と言ったしまったことが原因だ。

後でばらした奴には酒をおごらせる！！【ドラクーン】のメンバー全員にしっかりと行き渡るようにばらした奴からの給金を使って！！



なので奴等は砂糖に群がるアリのごとくと言う言葉がピッタリの状況となっている。





『皆聞こえるかい？ジャンヌダルクだ、たった今『王』を打ち取った！喧嘩は終いだ！！』





大将の声がいきなり聞こえ動きが止まる。

この現象は朝の大将の話を聞いた時と同じだ、って事は本当に終わったって事だ！！



「ったく遅いですよ大将」



ホッと一息したが向こうの兵士達はそれを信じず戦闘を継続していた、まあいきなりあんな言葉が聞こえてきても信じられないだろうさ。



「仕方ねえもう少しつきやってやるよ」



剣を構え敵兵を見た時に後ろから静かに・・・だけどはっきりとした声がした。



「私の名はユナ・イグデス　、神に仕える巫女として神の言葉を伝えます『今すぐ戦闘を止めよ、そして聖女の言葉を聞け・・・・・・・・・今すぐ武器を収めなさい、そして１０神に認められた聖女様の言葉に従うのです」



大声で話す訳でもないのにユナ様の声が戦場に広がりその言葉を聞いた兵達は武器を下ろし始めた。



どうやらこれで戦闘は終わるみたいだ。