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16 大人は…一人前の仕事を求められるもの
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マリッサが帰って来て、そのままご飯となった。
帰宅して食事ができていることに感激していた。
共働きは大変だよな。ホントに。
本日のメニューとしては、レンズ豆のサラダ、野菜のスープ、そして、トマトのファルシと麦のリゾット。パンもつけて、簡単なものだけど、量は少し多めにした。
『きゃー可愛い。^&・=^%>$@!!』
さてさて、料理は、マリッサにとても大絶賛。
だが、感激の後半の言葉は早口すぎてわからなかった。
とりあえず、アリシェルも満足そうで何より。
『これで、明日は大丈夫だな』
アリシェルが、そんなことを言う。
俺が思わず聞き返すと、
『明日、店で出すんだろ?』
『え?俺、手伝い、違うの?』
『子供じゃあるまいし、ユウは料理人だろ?』
どうやら、店では俺がナディアを手伝うのではなく、俺が店の厨房を間借りして、料理を作るらしい。なにも知らない人間に作らせていいのか?
昼間のナディアとの会話では、やはり俺はよく分かっていなかったようだ。
俺の料理を絶賛する二人を見つめながら、不安に思いつつ、俺も食事を開始するのであった。
翌日、ちょっとした緊張感をもって朝早く店に向かう。
俺の商売道具の包丁セットや、コックコートなども一式持参する。
店に着くとナディアが店の前で待っていてくれて、厨房を案内してくれた。
洗い場、焼き場、煮炊き場、作業テーブル。意外と広めのスペースだ。
そして、座って説明を受けた。
ニュアンスだけだが、やはり、アリシェルのいった通り俺は、ナディアに場所を借りるらしい。
定食は一律9ディア。
売り上げ精算は12日ごとだが、売れた分は俺の会計となり、一日の調理場使用料として、1個あたり1ディアをナディアに支払う。
このへんは、実際の金を出しながら、取り分の話になったので正確にわかった。
野菜などの食材と、基本のパンは12日ごとに支払いで使い放題。肉や魚などは自分で買うらしい。
わかりやすく条件が整理されていて、過去にも間借りをする料理人が結構いるのだろうと想像ができる。
また、国が違うと言葉も少し違うらしく、そのへんもナディアはわかりやすく説明する術を知っていた。
看板に、ナディアが料理のメニューを書き込んだ。4つめ、一番下のメニューを指差した。
『ユウの料理よ』
という。
他の3つと違って俺のは料理名ではなく、特別料理として、登場となった。
とりあえず、ナディアと一緒に掃除から開始し、鍋一杯の湯を沸かし、包丁やまな板を煮沸消毒しながら、調理台を拭き掃除する。
やはりスチールとはいかず、木材の棚や作業台だが、清潔な感じだ。
作業をしていると、二人の若者が店にやって来た。赤とオレンジのカラフルな髪の毛だ。
とりあえず、新参者の俺は、挨拶する。
「悠です。宜しく」
「$\@>&@\>・"+?」
赤い髪の方が、俺を指して何か言ってる。
たぶん、ここの出身じゃないのか?とかそんなかんじ。
ナディアが説明している間に、オレンジ色の髪の方が名乗ってくれた。
「ネイロ」
握手を交わす。
15、16くらいだろうか。まだ幼さの残る顔だ。
「セヴァルツィア」
赤毛の方もこちらに向き直る。同じように、まだまだ若い。
「セヴァ…ツ?」
が、発音が難しい…。俺が四苦八苦すると、ナディアが豪快に笑いながら、
「セヴィーよ」とそいつの肩をたたく。
格好つけたい盛りのセヴィーだろうに、ナディアの前では形無しだ。
挨拶が終わったところに、ちょうど野菜売りと肉屋が台車を持ってきた。
ナディアが頼んでいた食材らしい。
てきぱきとネイロとセヴィーが動き出すかたわら、俺は、肉を眺める。
どれだけ料理が出るのかまだ掴めないから、大量に作るのではなく、個々に素早く出来るものでないと難しい。
牛肉と豚肉、鶏肉、鹿肉、兎肉、あとよくわからない肉。とりあえず、安い鶏肉を大量にと、豚肉を一塊だけ買う。
金はつけ払いのようで、腕輪にまた黒い魔石で操作して終わった。とりあえず、頭の中で原価計算をしながらメニュー構成を考えつつ、食材を厨房に運ぶ。
さて、この店で初めて出す料理、どうしたものか。新たな展開に俺の心は楽しくなってきた。
帰宅して食事ができていることに感激していた。
共働きは大変だよな。ホントに。
本日のメニューとしては、レンズ豆のサラダ、野菜のスープ、そして、トマトのファルシと麦のリゾット。パンもつけて、簡単なものだけど、量は少し多めにした。
『きゃー可愛い。^&・=^%>$@!!』
さてさて、料理は、マリッサにとても大絶賛。
だが、感激の後半の言葉は早口すぎてわからなかった。
とりあえず、アリシェルも満足そうで何より。
『これで、明日は大丈夫だな』
アリシェルが、そんなことを言う。
俺が思わず聞き返すと、
『明日、店で出すんだろ?』
『え?俺、手伝い、違うの?』
『子供じゃあるまいし、ユウは料理人だろ?』
どうやら、店では俺がナディアを手伝うのではなく、俺が店の厨房を間借りして、料理を作るらしい。なにも知らない人間に作らせていいのか?
昼間のナディアとの会話では、やはり俺はよく分かっていなかったようだ。
俺の料理を絶賛する二人を見つめながら、不安に思いつつ、俺も食事を開始するのであった。
翌日、ちょっとした緊張感をもって朝早く店に向かう。
俺の商売道具の包丁セットや、コックコートなども一式持参する。
店に着くとナディアが店の前で待っていてくれて、厨房を案内してくれた。
洗い場、焼き場、煮炊き場、作業テーブル。意外と広めのスペースだ。
そして、座って説明を受けた。
ニュアンスだけだが、やはり、アリシェルのいった通り俺は、ナディアに場所を借りるらしい。
定食は一律9ディア。
売り上げ精算は12日ごとだが、売れた分は俺の会計となり、一日の調理場使用料として、1個あたり1ディアをナディアに支払う。
このへんは、実際の金を出しながら、取り分の話になったので正確にわかった。
野菜などの食材と、基本のパンは12日ごとに支払いで使い放題。肉や魚などは自分で買うらしい。
わかりやすく条件が整理されていて、過去にも間借りをする料理人が結構いるのだろうと想像ができる。
また、国が違うと言葉も少し違うらしく、そのへんもナディアはわかりやすく説明する術を知っていた。
看板に、ナディアが料理のメニューを書き込んだ。4つめ、一番下のメニューを指差した。
『ユウの料理よ』
という。
他の3つと違って俺のは料理名ではなく、特別料理として、登場となった。
とりあえず、ナディアと一緒に掃除から開始し、鍋一杯の湯を沸かし、包丁やまな板を煮沸消毒しながら、調理台を拭き掃除する。
やはりスチールとはいかず、木材の棚や作業台だが、清潔な感じだ。
作業をしていると、二人の若者が店にやって来た。赤とオレンジのカラフルな髪の毛だ。
とりあえず、新参者の俺は、挨拶する。
「悠です。宜しく」
「$\@>&@\>・"+?」
赤い髪の方が、俺を指して何か言ってる。
たぶん、ここの出身じゃないのか?とかそんなかんじ。
ナディアが説明している間に、オレンジ色の髪の方が名乗ってくれた。
「ネイロ」
握手を交わす。
15、16くらいだろうか。まだ幼さの残る顔だ。
「セヴァルツィア」
赤毛の方もこちらに向き直る。同じように、まだまだ若い。
「セヴァ…ツ?」
が、発音が難しい…。俺が四苦八苦すると、ナディアが豪快に笑いながら、
「セヴィーよ」とそいつの肩をたたく。
格好つけたい盛りのセヴィーだろうに、ナディアの前では形無しだ。
挨拶が終わったところに、ちょうど野菜売りと肉屋が台車を持ってきた。
ナディアが頼んでいた食材らしい。
てきぱきとネイロとセヴィーが動き出すかたわら、俺は、肉を眺める。
どれだけ料理が出るのかまだ掴めないから、大量に作るのではなく、個々に素早く出来るものでないと難しい。
牛肉と豚肉、鶏肉、鹿肉、兎肉、あとよくわからない肉。とりあえず、安い鶏肉を大量にと、豚肉を一塊だけ買う。
金はつけ払いのようで、腕輪にまた黒い魔石で操作して終わった。とりあえず、頭の中で原価計算をしながらメニュー構成を考えつつ、食材を厨房に運ぶ。
さて、この店で初めて出す料理、どうしたものか。新たな展開に俺の心は楽しくなってきた。
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