かみてんせい

あゆみのり

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肉我

酒のつまみ。

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「本当にお待たせしました!」
 洞窟を出て、みんなと顔を合わせた瞬間に土下座する私。
 他に言いようがないので、素直に言葉と体で表現する。
 
「帰りが遅いということはキノコが見つかったということだろうと、察しはつきましたから」
 優しく微笑んでくれるナビ。

「バキバキバキ!!!」
 激しく怒り狂う、ユニちゃん。
 歯ぎしりを響かせながらの、角タックルがタチのお腹にめり込む。
 もう百回以上みた光景だ。
 
「しかし、ワイバーンですか……風の主の私ですら、生き残りが居るとは知りませんでした」
「エミーさんはワイバーンそのままじゃないけどね」
 エミーの事が気になるようなので、洞窟であった出来事を「色」の部分を除いて話す。
 簡単な話だ、「色」を除けば、十分とかからない。

「なかなか立派なものを持っていたぞ」
 人が懸命に、省略してしゃべっていると、余計な合いの手を入れて来るタチ。

「立派……と言うと、そのトカゲ女にも生えていたというのか!?」
 思いのほか食いついちゃうストレちゃんと、なぜか激しく尻尾を振るポチ君。
 私の話はなんとなくで聞いてた癖に、気のせいか、タチの話には興味津々じゃないですか?

「あぁ。私といい勝負だった!」
「こら!タチ!洞窟での出来事は閉まって置こうって話したでしょ!」
 そりゃ、私も見たんだけどさ。 
 それにその後タチとエミーさんが――

「バキャバキャバキャ!!!」
 破壊的な破裂音を炸裂させながら、タチのお腹をえぐり取ろうとするユニちゃん。
 その目はユニコーンとは思えないぐらい、血走っている。
 
「すまん!しかし、どっちが上だったかはちゃんと伝えておかないとな!」
「いいの!そういう話はしなくって!」
 地上の野生生物の中で、一番マウンティングの激しい生物はなんでしょう?
 答えは簡単、私の目の前にいる人です。

「勝負はモノのでかさではない、使い方……それと愛だ!!!私はそれを証明してやった!」
「口きかないよ!!!!!タチ!!!」
「イヤだ!!我慢する!!!」
 しゃべらない、しゃべらない。初めてのキノコを、上手に使えた自慢話なんか、人前でするものじゃありません。
 私の強い語気のおかげで、ポンポンと弾んだ会話が、ストンと落ちた。

 そのままポーンと飛ぼうもんなら、洞窟で起きた、アレやコレやを暴露さねかねない。
 死ぬほど恥ずかしいので、それだけは阻止せねば。

「よろしい。良い子です!」
 口をつぐんだタチの頭を撫で、少しばかりのご褒美をあげる。
 私も少しは、躾ける事を覚えなければなるまい。

 
 
 次の日には、みんな、タチから全てを「自慢」されていたけど。
 
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