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 私は幼い頃から別邸に住んでいたので、領民たちとの距離が近かった。
 領民たちが必死に雨の日も風の日も働いてくれるおかげで、貴族は生きられるのだと強く感じた。それと同時に私は父と兄に搾取され続けてきた。父と兄は私から奪うだけ奪って、最後には死ねと命じた。辛かった。……あれは辛かったのだ。

「甘やかされて、大事にされるだけで、何も返さないのは父と兄と同じです。私は……父と兄とは、別の道を進みたい」
「あなたは違います。現に、あなたはビリーだった頃の僕を守ってくれた」
「あの頃のように、私もまた、夫となる人の力になりたいのです」

 私は目を見て告げた。彼が目を見開いた。

「助けてくださって、守ってくださって、ありがとうございます。……私も与えられるだけではなく、あなたにこれからも何かを与えられる人でありたい。お互いに、助け合いたい。……夫婦として生きるなら……家族となるのなら、私は、そういう温かい思いやりを交わし合う関係を築きたいのです」
「アスリア様……」
「……私ごときが、役に立ちたいと思うのは……わがままかも、しれませんが」
「そんなことありません。……そうか、そうですよね」
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