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「あなたにとって重要なのは、一人の王弟の運命を変えた事よ。どちらかというと良い方向に――ね」
「……王妃様……」
「あの子は元々、とても情に厚い子なの。身内だと思ったら裏切らない。兄である陛下に対する忠義はもちろん、私や子供達にたいしても、本当に良くしてくれる」

 彼女はふっと言葉を止める。そして真剣な眼差しで私を見た。

「あの子の味方になってあげて。あの子は……陛下の盾として、今も苦労した立場にいるから」
「盾として……ですか?」
「ハイゼン王国の残党が時折陛下を襲うの。レイナードは護衛部隊の隊長をしているの。王弟だからこそ、陛下を狙うような人間は自分に狙いを変えるだろうって。おとり作戦ね」
「……それは、危ないのではないでしょうか」
「ええ。けれどレイナードは自分がハイゼン王国にとって驚異として苛烈に振る舞ったからこそ、ハイゼン王国の破滅が早まったと知っている。解術したときにハイゼン王国が残っていれば、あなたがハイゼン王国の手駒として利用されかねないから。だから……」

 ハイゼン王国が滅びたのは自滅だ。
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