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 長く伸びた髪はかつらでもなければ付け毛でもない。正真正銘の地毛だった。

「まって……瑠璃色の髪……? 私の髪は黒髪だったのに……」

 容姿が違うのに混乱する。
 私は立ち上がろうとした。
 まずは鏡が見たい。誰かに話を聞きたい。
 どうなったのか。
 ここは、どこなのか。

 神殿のようでもあり、教会のようでもある。
 魔術がかけられた空間なのは、なんとなく感じ取られた。
 実家リンドベルク公爵家でないこともわかる。

 その時、かつんかつんと廊下に響く足音が聞こえる。
 見ると、白髪頭を綺麗に結い上げた侍女服姿の女性が、こちらを見て目を丸くしていた。
 私が声をかける前にすぐかけていく。

「レ、レイナード殿下、レイナード殿下……っ!」

 誰かの名を呼びながら去って行く。私は呆然と置いて行かれた。

「レイナード……どこかで、聞いたような……」

 今の女性の侍女服は隣国ゼーディス王国の侍女服だった。
 ということは、ここはゼーディス王国の神殿か何かだろうか?

 待っていると先ほど女性が去った廊下から、女性と若い男性がこちらに歩いてきた。
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