婚約破棄を申し込みます。

海瀬

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本編

ろくわ

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明日の分も予約投稿済みです。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

「自分の部屋で寝てください。」



「僕が今、部屋の外に出たらレオン兄さんに会うよ?」



言われてみれば誰かの声が聞こえます。どうしてわざわざここまで…。
……マリアさんが私に見せつけたいとでも言ったのでしょうか。それなら納得です。



「朝、早く帰ってください。あと同じベッドでは寝ません。」



「やったー!!」


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「んっ」



ライが私の部屋で寝ることは許しましたが、同じベッドで寝る約束はしていません。ソファで寝るとおっしゃったから私は安心していたんです。ライは王子ですが、ソファで寝ると言い張るので仕方なく許しました。そのおかげで私はベッドで眠れましたよ?  しかし、苦しさを覚えて、夜中に目を覚ますとライがベッドにいたんです。しかも私を抱き枕にして。まだ、起きるには早いので私はソファに移動しようとしましたが、ライは離してくれません。それどころか、私が動く度に胸を触ってくるんです。さすがにたまたまですよね……?



「ラ、ライ!  やめてくださ、んっ」



幸い、動かなければ何もされません。私は諦めて朝が来るのを待ちました。

いつの間にか眠っていましたが。



「僕の可愛いリリア。大好きだよ。」



計算高い王子に気づかずに。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


朝、目を覚ますと隣にライはいませんでした。約束は守ってくれたようですね。



「リリア様…あ、起きていらっしゃったんですね。」



「えぇ、おはようセシル。ケーキはどうでしたか?」



「美味しかったです! …お礼と言ってはなんですが…」



セシルは私に小さな箱を渡しました。なんでしょうか…?



「開けてみていいですか?」



「はい…。気に入ってもらえると嬉しい、です。」



箱の中に入っていたのはエメラルド色の髪飾りです。すごく凝っていて絶対に高いものです。私に気を遣わなくても良かったですのに…。

セシルにつけてもらい鏡の前に立ちます。気を遣わなくていいとは思いますが、すごく綺麗です。



「こんな綺麗なものをありがとうございます。セシルの翠眼のようですね。大切にします。」



「っ、これからもつけてくれますか?」



「?  もちろんですよ。」



なぜ、私にプレゼントしたセシルがあんなに喜んでいるのでしょうか。これだと、とても嬉しいのに私が喜んでいないように思われますよ。



「リリアーーっ!  会いに来たよっ!」



急に私の部屋の扉が壊れそうな音をたてて開きます。



「ライ、ノックを忘れてます。」



「え?  でも、リリアの部屋だよ?」



ライに注意した私が間違えてました。



「リリア様、今晩ですが急に予定が入りました。」



「どのような予定ですか?」



「…旦那様たちがお越しになるそうです。ソフィア様は初等部のため来れないそうです。」



お父様たちが…。今更、私になんの用でしょうか。私の両親は私に対していい感情を抱いていません。私の妹…ソフィアの事は大切に思っていますよ。私も両親も。両親は私のことは愛せなかったようですが。お母様は昔病気で私と会えなかったのですがもうとっくに病気は治っています。その証拠がソフィアです。病人が子供を産めるはずがありませんよね。ソフィアが生まれる1年前…私が10歳の頃には完治していたはずです。それなのに私に会いに来なかったということは嫌っているとした思えません。父も私に興味が無いようですし、使用人達と笑い合っていると「笑うな。」と怒られてしまいました。その日から私は感情を消すことにしました。

また、笑えるようになったのは最近のことです。それまでは、セシルの前でさえ笑えませんでした。城で暮らすようになり、殿下のおかげで笑えるようになったのですが、その殿下は今は私のことを嫌っています。マリアさんといるために私は邪魔者でしょうね。



「リリア、大丈夫…?」



「はい。あ、もう朝食は召し上がりましたか?」



「ううん。まだだよ。」



「一緒に食べませんか?  セシルは料理がすごく上手なんです。私も前、一緒にクッキーを作ったんです。」



「え、こいつ……ん"、セシルが料理を作ってるの?  ……うちのシェフは?」



まさか、言ってはだめでしたか?  確かにシェフは雇っていただけましたが、殿下が『金の無駄』と仰ったため、次の日から誰も来なくなってしまいました。その後も1度だけ違う方を雇ったのですが、以下同文です。私のお金ですから、殿下には関係ありませんのに。それに、ライはこのことを知らなかったのですね。殿下が上手く隠しているのでしょうか?

私は誤魔化すようにニコッとライに笑みを向けました。



「…はぁ、リリアが困ってないなら僕はないも言わないけどさぁ。他には?」



「何も困ってないですよ?  心配してくださってありがとうございます。」



迷惑はかけられません、と続けると急にライに抱きしめられました。私、また間違えましたか?



「迷惑なんて思ってないよ。リリアが大切だから不安になるんだよ。早くあいつが廃嫡されればいいのに。」



『あいつ』とはレオン殿下のことですよね。廃嫡…はしないと思いますよ。あんな人でも陛下は殿下のことを愛していらっしゃいますから。王妃様は殿下のことをあまりよく思っていないようですけど。殿下と言うよりマリアさんが、ですね。
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