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手紙
しおりを挟む「シャル、久しぶりですわね。昨日急に連絡が来て驚きましたわ。」
ノアに送ると言ってもらったが唯一の友人であるカレンには直接渡したいといいカレンに会いに来た。
「あれ、シャーロット? カレンに会いに来たの? 1年ぶりじゃない?」
「カレン、ユート、久しぶりですわ。長い間連絡もとらず申し訳ありません。」
「大丈夫ですわ。それより何か用で?」
「実は……」
結婚式に来て欲しいと伝えるとカレンはぱぁっと顔を輝かせた。ちなみにカレンの言い方がキツいと思うかもしれないがこれが普通だ。ユート曰くつんでれらしい。
「やっとですの? ノア様はずっとシャルのことを思ってらしたわね。あんな浮気者死んで当然です。」
「カレン、言い過ぎ。ごめんねシャーロット。」
「大丈夫よ。」
「それだと、アオイが発狂するだろうなあ。イアンの時もそうだったけど。」
アオイが発狂? どうして……。
「えっ……シャル? もしかして幻覚?」
どうやら、アオイも2人に会いに来たようだ。手に持っていたお菓子を落としている。
「アオイ、お久しぶりですわっ!?」
挨拶をしようとすると急にアオイに抱きしめられた。
「アオイ……?」
「シャル! 1年経っても可愛い。ずっと会えなくて心配してたんだ。あれ、去年より可愛くなってる。あぁもう可愛すぎて死にそう。俺を殺す気?」
アオイは会う度にこんなことを言う。私のことを可愛いと言うなんて変わった人だと初めは思っていたが今ではもう可哀想な人だと認定している。
「離れろ。」
後から来たノアがアオイを私から遠ざける。実は今日は二人で来たのだ。
「ノアっ! なんでお前が俺のシャルと一緒に……」
「結婚するそうよ。その招待状を今受け取ったわ。はい、あなたの分よ。」
「え……、シャル嘘だよね?」
本当のことよ。と言うとアオイは絶望したかのように崩れ落ちた。大丈夫かしら?
壊れたかのようにブツブツと何かを呟いている。可哀想な人からただの変人に昇格しないと。
「シャル、話は済んだか?」
「もう帰るの? お茶していきなさいな。用意しているから。」
用意しているなら帰るのは失礼だろう。私たちは言葉に甘えることにした。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「これって……」
「えぇそうよ。あなたのお気に入り。私の手作りマカロン。味はどうかしら?」
「美味しいわ。すごく。私もノアに作ってあげれたらいいのだけど。」
そう言うとカレンにやめときなさい。と言われてしまった。私は料理が出来ない。貴族だから料理ができなくても支障はないのだが。しかし、料理には1度挑戦した。全て真っ黒になってしまったが。
「俺シャルの料理食べたい。作って。」
「私下手なの。全て真っ黒になってしまうわ。」
「いいよ、シャルの作ったものならなんでも食べる。」
それなら……と思ったがノアに睨まれてしまった。ごめんなさい、とアオイに伝えるとまた崩れ落ちた。本当に悪いと思っているのよ。でも、あれを食べたとしてもお腹を壊してしまうわきっと。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「シャル、手紙書くから返事くれる?」
「えぇ。もちろんよ。」
アオイにそう言われ、そう返した。手紙を書くくらいならいいと思うわ、多分だけど。
「また結婚式出会いましょう。あなたの花嫁姿楽しみにしてるわ。」
2度目だが。楽しみにしてくれているなら気合を入れなければ。あ、ドレスはもう用意しているんだったかしら。
しかし、アオイからの手紙が私に届くことは無かった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「またか。」
俺は毎日届く手紙を燃やすのが日課になった。アオイたちと会ってから毎日のようにアオイからシャルへの手紙が届く。俺とアオイたちは一応知り合いではあるが仲がいいという訳では無い。まぁ、ユートとはよく話した記憶があるが。
「ノア、何してるの?」
「シャルか。何もしてない。ケーキを買ってきたんだが食べるか? 今日はシュークリームを買ってきた。」
俺がそう言うとキラキラを目を輝かせるシャル。きっと、他の人が見ればそんなに表情は変わってないのかもしれない。だが、ずっとシャルを見てきた俺にはわかる。
「嬉しいわ! まだ、夕食前だけどいいわよね?」
笑顔になるシャルを見ると仕事の疲れがすぐに取れる。今日はシャルが疲れて朝起きることが出来なかったため仕事は1人で向かった。会えない時間は長く、辛かった。ヴィルにも何度も注意された。
「シャル……」
俺が名前を呼ぶと顔を真っ赤にさせて目を閉じるシャル。はぁ、かわいい。
シャルに口付け、舌を入れるとシャルは大きな目を見開く。少し涙目になっていて庇護欲をそそられる。
「ノアっ! し、シュークリーム食べるんでしょう!」
顔を真っ赤にしながら文句を言うシャルは本当に可愛い。きっと、照れ隠しなんだろう。
「あぁ、そうだな。」
アオイの手紙を捨てていることがバレないことを祈る。
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