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お昼寝の時間が始まったとはいうものの、結局一緒に寝ることになってしまった。そしてシオンは私にも抱きついたままスヤスヤと眠ってしまった。でも、いいんだよ私幸せだから。だって攻略対象の幼少期だよ? 拝めるんだよ? ファンだったら全財産出しても足りないよね?  これくらい開き直らないとやって行けない……。

「ん、リオ……すき」

っ! ね、寝言なのか。こんなに好きって言われたら勘違いしそうになる。私は一応悪役令嬢なんだし、希望を持つだけ無駄なんだろう。頭では理解している。シオンのことを好きになってはいけないと。でも……

「リオもシオンのことすき。だれにもとられたくない。」

「それほんと?」

「ねっ、ねてたんじゃ!」

私の唇に指を当てて、しーっ! みんながおきちゃうよ?  と言ったシオン。5歳児にこんなに色気があるものなのか。それとも私が5歳児になっているからフィルターがかかってみえるのか。

「ね、さっきのほんと?  ぼくのことすきって。」

「いゃ、ちがく……ないけど……。」

「えへへ、うれしい。リオかわいいだいすき。でもねむたいからいっしょにねよ?」

そういえば少し眠たくなってきた気がする。学生になってこんな堂々とお昼寝するなんて機会なかったしね。

「ふぁ、おやしゅみ、シオン」

「うんおやすみ、リオ」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私っていつもこういう時1番に目が覚めるんだろう。まだ眠りたい。そういえばリオって公衆の面前で振られたあとどうなったのだろうか。現代の日本だし、処刑とか国外追放なんてものはない。いじめてたからって刑務所行きなんてわけないしね。まぁ、冤罪なわけなんだけど。ママたちは助けてくれたのかな。パパとは今となっては仲がいいけどゲームの中ではあのままだったかもしれない。兄弟妹たちは私のせいで嫌な目に合ってないだろうか。みんなには幸せでいてほしい。うっすら目を開き時計を見ると40分経っていた。お昼寝は1時間ある。先生たちが起こしに来るにはまだ少しはやい。


シオンってほんと綺麗な顔してるなあ。まつ毛目長い。髪の毛もサラサラだ。髪を触ろうとすると急に腕を掴まれた。

「ん……なに?  ぼくにさわろうとしたの?」

図星をつかれ顔が真っ赤になる。リオってさぐ顔が真っ赤になっちゃうんだよね。怒っても、照れても、泣いても。って、18歳の私が5歳児にまけちゃう!

「そ、そんなことしてないもん!」

「まっかになってかわいい。りんごみたいだね。」

そう言うと私を抱きしめもう一度眠ってしまった。そんな一瞬で眠れるものなの!?  確認したくても起こしてしまえばきっとまたからかわれるのがオチだ。私はあと数分寝る努力をした。結果をいうと眠れなかったんだけどね。

「おはょ、リオ。めがこわいよ? ねむれなかった?」

「シオンがくっついたままねるからはずかしかったの!」

「もうリオかわいすぎるよ。はやくなれて……? ね?」

何回も言うけどこの子本当に5歳児?  私みたいに中身大人だったりしない?

「って、かわいくない! ヒロインのほうがかわいいもん……」

ヒロインにシオンを取られると思うと語尾が段々小さくなっていく。

「ひろいん?  ひろいんよりリオのほうがかわいいよ」

気づかず涙を流していた私の目にキスをしてから言った。え、最近の小さい子ってみんなこんな感じなのかな。私がおかしいの?

「2人ともそろそろ起きてくださいな。皆さん顔を洗っていらっしゃいますよ。」

あ、新しい先生だ。子供にも丁寧に話してくれるなんて好感度上がるなあ。前の先生は依怙贔屓凄かったし、少しバカにされている感じがあったから。
まぁ、5歳だから分からないと思ったんだろうね。

「ねむたい……」

「ぼくはすっきり。あしたもおひるねたのしみ。」

え、ベッドは……?  早く買おう? いや、買ってください!! まだ5歳なんだよ私。なんか早く大人の階段登りそうでシオンが怖い。
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