毒姫ライラは今日も生きている

エイシュケル王国第二王女ライラ。
だけど私をそう呼ぶ人はいない。毒姫ライラ、それは私を示す名だ。

ひっそりと森で暮らす私はこの国において毒にも等しく、王女として扱われることはなかった。
そんな私に、十六歳にして初めて、王女としての役割が与えられた。

それは、王様が愛するお姫様の代わりに、暴君と呼ばれる皇帝に嫁ぐこと。


「これは王命だ。王女としての責務を果たせ」
暴君のもとに愛しいお姫様を嫁がせたくない王様。

「どうしてもいやだったら、代わってあげるわ」
暴君のもとに嫁ぎたいお姫様。

「お前を妃に迎える気はない」
そして私を認めない暴君。

三者三様の彼らのもとで私がするべきことは一つだけ。

「頑張って死んでまいります!」

――そのはずが、何故だか死ぬ気配がありません。
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