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第二部/2組目・異国の暗殺者

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※2組目:玩具、乳首攻め、催眠(常識変換)、異種姦などの要素が含まれます。




『魔人』

それは魔物達を統べる上位の魔族。

見た目こそ人族とほぼ変わりないが、その身に秘める力は熟練の冒険者を軽く凌駕するという。

本来であれば熟練クラスが数十人、英雄クラスの人族でも数人が集まってようやく1人の魔人を倒せると言われているのだが…


ーーこの世には、そんな魔人をたった1人で討ち滅ぼす事が出来る者がいた。




「……オウマニン、ですか?」

ダンジョンの改造から一夜明け、例の実験からすっかり回復したキールは主であるダンテの言葉に不思議そうな声を出した。

「あぁ。…最近この国で下級魔人数人が殺されていると聞いてな。調べてみたらその名前が出たというわけだ」

下級とはいえ同胞が殺されたというのにダンテは全く焦る様子もなく作業を続けながら話をする。

オウマニン…『逢魔忍』とはここよりはるか東方の島国出身の戦闘民族で、魔物よりもに特化した能力を持っていると言われている。

「あくまで噂レベルだが…その逢魔忍の一族というのは代々魔人の血を引いているらしい。それで身体能力が普通の人族より高いのだとか」
「眉唾物ですね~。仮にそれが真実だとしても、ホントに人間1人で魔人を倒せるんですか?」
「うむ。それは偵察用の魔法で確認済だ」

魔族には強さのランクがある。
一番弱いものがスライムなどの下級魔物。
次いで中級、上級と魔物が続き、その後に下級、中級、上級魔人の順に強くなっていく。

ーーなお、ごく一部の『特級』魔物は魔人に匹敵する強さを持つのだが…それはまた別のお話。

とにかく対魔人に特化しているとは言え、下級魔人を単独で殺すことが出来る逢魔忍の戦闘能力が高いことは簡単に伺い知れた。

「へぇ…こないだの聖職者以外にもそんな化け物みたいな人間がいるなんて怖いですね~。ま、俺はカテゴリ的には魔物なんであんまり関係ないですけど……」

『で、なんで急にそんな話を?』
可愛らしく(ややウザったらしく)小首を傾げながら問い返すキールにダンテは………



「その逢魔忍が次の挑戦者だ」
「………は?」



いつものように淡々と、ダンジョンの外を映すモニターを見つめながらただ事実だけを述べた。


…………


……………………



ブラスレッタの街の路地裏。

明るい表通りとは違い何処か暗い雰囲気を放つその場所に、大きなマントで顔と体を隠した2人の人影があった。


「……魔人のいる、ダンジョン?」

訝しげな声を上げたのは2人の人影のうち背の高い方。
その声色から察するに男のようであったが、その言葉には何処か異国訛りのようなものが残っている。


男の名は蘇芳すおう

遥か東の国より魔人を倒すためにやってきた希少な一族、『逢魔忍』の1人だ。


「そのような話、俺は聞いたことがないぞ。これまでの魔人は皆数多くの魔物を引き連れて砦などを占拠していたものだが……」
「だからこそよ」

男…蘇芳の言葉を遮ったのはもう1人の人影。
その声は妙齢の女性のもので、蘇芳とは違い流暢な言葉を話している。

「普通とは違う場所に巣食うことで貴方のような『魔人狩り』の目を欺く事が出来る。……しかもそのダンジョンは、発見されてから未だに踏破者が出ていないのよ」
「……なるほど。調べる価値はあるという事か」

目深に被ったマントのフードを軽く指で引っ張ると蘇芳は懐から小さな皮袋を取り出した。

ーージャラッ

「これは情報料だ。…もし本当にそのダンジョンに魔人が居たら残りの半分を渡そう」
「あら、貴方がその魔人にやられたらどうするのよ」

皮袋…金貨の入ったそれを受け取りつつも茶化すように笑う情報屋の女。
しかし蘇芳は顔色ひとつ変えずそのまま女に背を向け表通りへと歩き始める。

「その時は俺の死体を探すといい。…まぁ、その必要は無いだろうがな」
「自信家ね。……じゃ、とりあえず

意味深な笑みを浮かべた情報屋の女。
やがて蘇芳の後ろ姿が表通りに消えていくと、ひらひらと振っていた手を静かに下ろすとぽつりと呟いた。
 


「ーーさて、噂の逢魔忍がどの程度のものか…見物ね」




挑戦者No.6
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スオウ 人間・アサシン
Lv.62 性別:男 年齢:24
HP:278/278
MP:242/242
絶頂回数:0
感度:等倍
状態:処女、非童貞、逢魔の血(魔法耐性、基礎パラメータUP、魔人特攻)
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