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第一部/3組目・親子の冒険者

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ーーー2部屋目ーーー


1部屋目を突破したアレクとブレア。

2人が魔法陣に乗って2部屋目に向かうと…


『うにょにょーん!!!!』
「っー!ブレア!!」

ーードスッ!

間抜けな鳴き声が響いた瞬間、アレクは反射的に大剣を振るう。

すると鈍い斬撃音と共に太い触手が床に転がった。

「お、お父さん…これ…!」
だ!まずは壁を背にして結界を!相手はローパーだから間合いに注意しろ!」
「っ、分かった!」

魔物だらけの部屋…いわゆるモンスターハウスにアレクは娘に素早く指示を飛ばし、迫り来るローパー達を大剣で薙ぎ払う。

しかし前の部屋で浴びたガスの影響により、アレクは思ったように体を動かせないでいた。

「っ…く…!(クソっ…派手に動くと、摩擦が…!)」

攻撃、防御、とにかくあらゆる動きと共に重厚な鎧や下着が敏感になった肌を擦り、アレクを苦しめる。

しかもそれだけではなく、ローパーからの攻撃が掠っただけで通常の倍の痛みが体を襲っていた。

「ぐ、ぅ…!(くそっ、この程度で怯むなんて…!)」
結界シールド治療ヒール!」
「っー…た、助かる!」

娘からの支援を受けながら少しづつローパーを減らしていくアレク。

だがその回復魔法すらも肌への刺激となり、アレクは顔を赤らめ、息を荒らげてしまっていた。


「これで…どうだぁ!」

ーーザンッ!

『うにょーん!!』

大量ローパー達と対峙してからおよそ20分。

ようやくローパーの群れが半減し、アレクはブレアを背にして少しづつ前に出ていた。

「はぁ…はぁ…ブレア、まだ行けるか?」
「私は大丈夫!でも、お父さんが…」
「馬鹿言うな。これしきのことでへばるわけないだろ」

強がるように笑い、再び大剣を構える。
そしてアレクはローパーの群れへと……


『にょにょーん!!!!』

ーービュンッ!

「んなっ…!」
「きゃあっ!」


その瞬間、1匹のローパーがその触手を素早くアレクとブレアへ向けて伸ばした。

アレクの鎧の隙間、ブレアのローブの裾から滑り込んだ触手は体を這いずるようにまさぐり……

「ひっ…♡や、やめ、やがれぇ…♡ん、ぁあっ♡♡」
「や、やだっ…そんなところ…あっ!」

不意に『何か』を掴んだと思いきや、その触手は一瞬にして引っ込んでしまう。

「な、何を…ひっ♡」

何をされたのかまだ理解出来ていないアレク。
しかし顔を上げた瞬間、敏感な箇所に直接『冷たいもの』が触れ、思わず小さな悲鳴をあげてしまう。

恐る恐る鎧の中を覗き込むと……そこにあるべきはずの、

「………は、はぁああああ!?!?」

冷たい金属の鎧が乳首や性器などの敏感な場所に直接触れ、下着が擦れるよりも酷い状態になってしまったアレク。
うかつに動くことも出来ず、顔を真っ赤にしてローパーを睨む。

「こ、この変態ローパーめ…!」
『にょにょ~ん』

嘲笑うかのように盗んだ下着を振るローパー。

しかし、盗まれたのはアレクの下着だけではなかった。

「お、お父さん!あれ!私のベルトポーチ!」

ブレアが声を張り上げ、ローパーの触手を指差す。
そこには太めと細め、2つのベルトポーチが。

「あれは…」
「あれ、取り返して!ポーションとが入ってるの!!」
「何…!?」

その言葉にアレクは慌てて大剣を構える。
そして盗人のローパー…ローバーローパーに向けて駆け出したが……

ーーピトッ

「ぅ、あぁっ…♡」

敏感となった肌が金属の鎧に直接刺激を受けてしまい、上手く体を動かすことが出来ない。

その隙にローパーは他のローパーの群れの中へと紛れ込み、逃走を図ろうとしていた。

「に、逃げちゃう!…魔法の矢マジックアロー!」

咄嗟に魔法を飛ばすブレアだが、その魔法も他のローパーに当たってしまい逃走を妨害するには至らない。

そして部屋の最奥、転移の魔法陣へと到達したローバーローパーはそのまま何処かへと消えてしまった。


「あ…い、行っちゃった…」

途方に暮れるようなブレアの声。
回復アイテムと脱出アイテムを全て奪われたことに絶望し、思わずその場に座り込んでしまう。

残っていたローパー達も、ローバーローパーが消えるとそれに続いてぞろぞろと部屋を後にしてしまった。

「ブレア…」
「…お父さん、どうしよう…親子枝、盗まれちゃった…これじゃあ帰れないよ…」

ぽろぽろと涙を零し、首を横に振るブレア。
そんな娘を、アレクはそっと抱きしめる。

「大丈夫だ。親子枝なら俺が1本だけ持ってる。お前はこれで脱出を…」
「でも、そしたらお父さんは?」
「俺はこのダンジョンを攻略する。そうしたら脱出出来るだろう?」
「……だめだよ、そんなの」

『自分だけ安全な所に逃げるなんて出来ない』とアレクの腕を掴む。

「…私も行く!だって、回復や支援は必要でしょう?」
「いやしかし、これ以上危険な目に合わせるのは…」
「1人より2人の方が確実だよ!だって、もし剣が効かない敵が出たらお父さんじゃ勝てないでしょ?」
「むむ…」

娘に論破されたアレクは、眉間に皺を寄せ、大きくため息をつく。

「はぁ…仕方ないな…」
「やった!」
(まだまだ子供だと思っていたが…もう立派な冒険者だな)

娘の思わぬ成長ぶりにアレクは優しく目を細めるのであった。


ーー2部屋目 モンスターハウス 突破ーー


----------------------------
アレク 人間・重戦士 
Lv.58 性別:男 年齢:40
HP:442/570
MP:17/50
状態:敏感、ノーパン
----------------------------

----------------------------
ブレア 人間・聖職者
Lv.28 性別:女 年齢:17
HP:112/145
MP:34/87
状態:アイテム無し
----------------------------


『ところでお父さんは何を盗まれてたの?途中戦う動きもおかしかったけど…』
『うっ…えーと…その………し、下着を…』
『………………えっ?』



 
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