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少女
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「はぁ、疲れた」
愚痴をこぼしながら家路につく。
友達が行っているのを聞いて自分も行きたいと親にねだったバレー、もうすぐ小学校最後の大会で練習にも熱が入り、毎日猛特訓の真っ最中だ。
7月の終わり、体育館の暑さは凄まじい。
毎日1リットルの麦茶が空になる。
家までの足取りも重い。
きぃっと高い嫌な音がする扉を開けた。
「ただいまー」
「おかえり、今日も疲れたでしょ?お風呂入っておいですぐにご飯にするから」
私がバレーを初めてから2年くらい。
背が高くて運動神経もわりと良かったのですぐに花形のアタッカーになれた私。
お母さんは嬉しいみたいでいつも帰ったらお風呂も沸かしてくれていてご飯の準備もできている。
ちょっと辞めようかななんて思うときもあるけど嬉しそうなお母さんの顔を見ると言えない。
「お父さんは?」
今日は休みのはず、また川に行ってガラクタ集めをしているのだろうか?
いつだったか拾ってきた物がネットで高く売れたと喜んでいた。
「上のガラクタ部屋にいるんじゃない?」
お母さんもガラクタと言いきっている。
「今日も拾ってきてたの?」
「指輪拾ってきてたよ」
「いいやつ?」
「見るからに安物」
お母さんと一緒に大笑いした。
ここ二週間ぐらい家の中で変なことがよくある。
パンッパンッと急に弾けるような音が聴こえてきたり。
視界の端っこでナニか動いたような気がして振り向いても何もなかったり。
お母さんも金縛りになったと言っていた。
お父さんが拾ってきた物が原因なんじゃないかと私は思っている。
お風呂場に行ってアコーディオンカーテンを引いて汗だくの服を脱ぎながらお父さんに拾ってきた物を早く処分するように言ってみよう。
お化け屋敷に住むのは嫌だ、そんな事を考えながら服をかごに放り込んでお風呂の扉を開けた。
ちょうどいい具合にお風呂が沸いて湯気で白い浴室に入る、早く湯船に浸かりたい。
シャワーをひねって頭を流して薄目を開けてシャンプーを探す。
一瞬ナニか違和感を感じた気がした。
違和感がナニか考えながら頭を洗い、泡を流して目の前の鏡を見たら自分がくっきり映っている。
違和感に気づいた。
アレ?鏡が曇っていない。
そう思った瞬間、自分の後ろに誰かが立っていることに気付いた。
血塗れの女がこっちを睨みつけている。
叫びたいのに声がでない。
浴室は広くないのに女は遠い所に立っているように見える。
その女がゆっくりこっちに歩いてきた。
声を出さなくちゃ。
でも声がでない。
ゆっくり近づいてくる。
目が血走っていて歯をむいている。
声がでない声がでない声がでない
女がとうとう真後ろまでやって来て私の首に手をかけようとした瞬間
ガタンガタンとお風呂場の窓が揺れた
その音で金縛りのように動けなかった体がパッと動いた。
「いやあぁァァァァ」
っと叫んで前に倒れ込みながら後ろを振り返った。
そこには誰もいなかった。
シャワーのザーっという音だけが浴室に響いていた。
愚痴をこぼしながら家路につく。
友達が行っているのを聞いて自分も行きたいと親にねだったバレー、もうすぐ小学校最後の大会で練習にも熱が入り、毎日猛特訓の真っ最中だ。
7月の終わり、体育館の暑さは凄まじい。
毎日1リットルの麦茶が空になる。
家までの足取りも重い。
きぃっと高い嫌な音がする扉を開けた。
「ただいまー」
「おかえり、今日も疲れたでしょ?お風呂入っておいですぐにご飯にするから」
私がバレーを初めてから2年くらい。
背が高くて運動神経もわりと良かったのですぐに花形のアタッカーになれた私。
お母さんは嬉しいみたいでいつも帰ったらお風呂も沸かしてくれていてご飯の準備もできている。
ちょっと辞めようかななんて思うときもあるけど嬉しそうなお母さんの顔を見ると言えない。
「お父さんは?」
今日は休みのはず、また川に行ってガラクタ集めをしているのだろうか?
いつだったか拾ってきた物がネットで高く売れたと喜んでいた。
「上のガラクタ部屋にいるんじゃない?」
お母さんもガラクタと言いきっている。
「今日も拾ってきてたの?」
「指輪拾ってきてたよ」
「いいやつ?」
「見るからに安物」
お母さんと一緒に大笑いした。
ここ二週間ぐらい家の中で変なことがよくある。
パンッパンッと急に弾けるような音が聴こえてきたり。
視界の端っこでナニか動いたような気がして振り向いても何もなかったり。
お母さんも金縛りになったと言っていた。
お父さんが拾ってきた物が原因なんじゃないかと私は思っている。
お風呂場に行ってアコーディオンカーテンを引いて汗だくの服を脱ぎながらお父さんに拾ってきた物を早く処分するように言ってみよう。
お化け屋敷に住むのは嫌だ、そんな事を考えながら服をかごに放り込んでお風呂の扉を開けた。
ちょうどいい具合にお風呂が沸いて湯気で白い浴室に入る、早く湯船に浸かりたい。
シャワーをひねって頭を流して薄目を開けてシャンプーを探す。
一瞬ナニか違和感を感じた気がした。
違和感がナニか考えながら頭を洗い、泡を流して目の前の鏡を見たら自分がくっきり映っている。
違和感に気づいた。
アレ?鏡が曇っていない。
そう思った瞬間、自分の後ろに誰かが立っていることに気付いた。
血塗れの女がこっちを睨みつけている。
叫びたいのに声がでない。
浴室は広くないのに女は遠い所に立っているように見える。
その女がゆっくりこっちに歩いてきた。
声を出さなくちゃ。
でも声がでない。
ゆっくり近づいてくる。
目が血走っていて歯をむいている。
声がでない声がでない声がでない
女がとうとう真後ろまでやって来て私の首に手をかけようとした瞬間
ガタンガタンとお風呂場の窓が揺れた
その音で金縛りのように動けなかった体がパッと動いた。
「いやあぁァァァァ」
っと叫んで前に倒れ込みながら後ろを振り返った。
そこには誰もいなかった。
シャワーのザーっという音だけが浴室に響いていた。
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