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学園編

小さい頃の思い出

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あれから、一日経ったけれど私に考えはまだ固まらずにいた。
玲央様との約束の日はもう、明日だと言うのに、私はまだ自室でうーん……と唸っていた。
「いきなり、玲央様は魔族なんですか!?は………流石に失礼すぎる、いくら私が婚約者だと言っても
そんなこと言ったら怒られるだけじゃすまないだろうな……」
ははっと乾いた笑みを浮かべながら、私は机に置いてある本を手に取った。
これは、私がこの世界に来たばっかりの時玲央様に頂いた不思議の国のアリスの本。
「この時は、まだ何も分からなかったんだよね……なんだか懐かしいなぁ」
そんな事を呟きながら、その本を手に取った。
綺麗な装飾がされたこの本は私にとって、とても大切で
特別なもの。
何度も読んだ本のはずなのに、何故かまた読みたくなった私は
ゆっくりと本を開き、ページを捲り文字を目で追っていく。
そして、最後のページを読み終えた私は本を閉じた。
その時、パサッと音がして何か落ちたような気配がしたので私は床に落ちたものを見た。
それは、一枚の写真だった。
そこには、泣きそうな顔をした幼い私と、楽しそうに笑うお兄様、そして困ったような顔をした玲央様が写っていた。
「そうだ、この時初めて玲央様に出会ったんだっけ……」
私は、写真に手を伸ばし指先で触れながら昔を思い出していた。あの時私は、今の私ではないけれど、小鳥遊百にとって大切な思い出だ。
ふぅと息を吐いてから、目を閉じ写真を元の場所にそっと置いた。
そして、椅子から立ち上がり窓の方へと足を進めた。
そこから見える中庭は、私達が出会った場所……。
あれは……そう、私がまだ幼かった時の事。
かくれんぼがしたい!と駄々をこねた私に
お兄様は仕方がないなぁと呆れながらも 一緒に遊ぶことを了承してくれた。
でも、お兄様は危ないから部屋の中だけでやろうねと、お兄様は言ったけれど私はお兄様を驚かせたい!と思い部屋を出て隠れる為に走り出した。
けれど、私は方向音痴なのですぐに迷子になってしまった。
自分の家の中庭で、同じ家の中で何故迷子になんてなるのだろうと自分でも思うでも、その時の私は怖くて、お兄様どこ………と泣いていた。
「そんな時たまたま来ていた玲央様に助けられたんだっけ……」
その後、私はお兄様に怒られたけれど玲央様がかばってくれて…………
「ふふっ、あの時の玲央様かっこよかったな……」
玲央様は私のヒーローで王子様だ。
だから、私は玲央様の力になりたい。
だから、私は玲央様の力になりたい。
これは、私のエゴかもしれないけれど……でも、私は玲央様に昔から
沢山助けてもらえて、力になってもらえた。
だから今度は、私が玲央様の力になる番。
そう心に決めたら、さっきまで悩んでいたことが嘘のように今は心がすっきりしている。
明日の放課後……ちゃんと話そう、それで何もなければそれでいいんだ。
ただの取り越し苦労なら、それに越したことは無いのだから。
私は、そう決めてからベッドに入り眠りについた。
次の日、私はいつもより早く目が覚めた。
今日は、玲央様とお話をする日だ。
緊張しないわけが無い、けれど緊張していたら話したいことを話すこともできない。
私はすぅ……と大きく深呼吸をして、部屋を出た。
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