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学園編
この世界の事と夢の私
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その日の夜、私はお風呂の中で考えていた。
どうやってあかりに話すか、玲央様にもちゃんと謝らないと
だけど 何を話せばいいのか……とか色々考えて結局まとまらず、とりあえず明日 あかりに言う事に決めて湯船から上がった。
部屋に戻り髪を乾かし終えた後、ベッドにダイブする。
ふかふかなベッドに体が沈んでいくのを感じながら目を閉じた。
……いつの間に眠ってしまったんだろう。時計を見ると針は深夜を指していた。
喉が渇いていたので、水を飲みに行く為に起き上がり部屋を出た。
キッチンに着く頃には、頭がすっきりとしていて冷静になっていた。
コップに水を注ぎ、それを一気に飲み干した。
ふぅと一息ついてから、部屋に戻り再び眠りについた……
はずだった……
私は真っ暗な闇の中を歩いていた。
ここはどこ?どうしてここにいるのかわからない。
ただ分かることは、これは夢だってこと。
歩いていると遠くの方で人影が見える。
私はそこに向かって走り出す。
だんだん近づいてくるにつれてその姿がはっきりしてくる。そこに居たのは私で、私と同じ姿形をした私がいた。
私は私を見て驚いた。そして、これがもう一人の自分だと言う事がわかった。
もう一人の自分は、私に何か伝えてくれようとしてくれていたけれど、私には何も聞こえなかった。それでも、なんとなくだけど分かった気がする。
この世界は私にとって大切なもの。だから……この世界を選ぶ事は出来ない。
――ごめんね
そこで目が覚めた。
カーテンの隙間から光が差し込んでいて、外では鳥の鳴き声が聞こえる。
朝が来たことを知らせてくれる。
ゆっくりと体を起こし、まだ覚醒しきっていない頭で考える。
今のは……?夢にしてはリアルすぎる……
私は、制服に着替え身支度を整えた後、リビングへと向かった。
朝食を食べ終え、学園へと向かう。教室に入るとすでに登校していたあかりが駆け寄ってきた。
おはよう。と挨拶を返したあと相談があるんだけど今日大丈夫?と聞くと あかりは一瞬きょとんとした顔をしてからすぐに笑顔になって、もちろん!と答えた。
その日の放課後、あかりと一緒に屋上へ向かった。
あかりに、夢の事、そしてこの世界の事全部話した。すると、 う~んと腕を組んで何か考えている様子だったけれど、しばらくして、あかりが口を開いた。
それは……と少し言い淀んでいる様子だったので、私は先を促すようにうん。と返事をする。するとあかりは真剣な顔で私を見つめて言った。
「このゲームをクリアすればこの世界から出られるはず……」
「やっぱり!」
「でも、ここに残るって選択肢もあるんじゃないの?」
私はその言葉を聞いて驚いていた。まさかそんな事を言われるなんて思っていなかったし、そもそもそんな考えは思いつきもしなかった……
「でも、夢の中の私がこの世界を選ぶことはできないって言ってたの」
「他には?」
「この世界は私にとって大切なもの。って」
「なるほどねぇ……その夢の百は前にこの世界にいた百だろうね」
あかりは確信を持ったような表情でそう告げる。
そうなのかな?と疑問に思ったけど、あかりの言葉に納得している自分もいた。
考え込んでいると、突然あかりが立ち上がった。
「とりあえずこんな所で話してても仕方ないし行こう!」
「えっ!?どこに??」
「みんなの所!」
そう言ってあかりは私の手を取り走り出した。着いた場所は生徒会室。
あかりはノックもせずドアを開ける。
「聞いて欲しい事があるんです!」
あかりはそう言って、みんなに事情を話し始めた。
どうやってあかりに話すか、玲央様にもちゃんと謝らないと
だけど 何を話せばいいのか……とか色々考えて結局まとまらず、とりあえず明日 あかりに言う事に決めて湯船から上がった。
部屋に戻り髪を乾かし終えた後、ベッドにダイブする。
ふかふかなベッドに体が沈んでいくのを感じながら目を閉じた。
……いつの間に眠ってしまったんだろう。時計を見ると針は深夜を指していた。
喉が渇いていたので、水を飲みに行く為に起き上がり部屋を出た。
キッチンに着く頃には、頭がすっきりとしていて冷静になっていた。
コップに水を注ぎ、それを一気に飲み干した。
ふぅと一息ついてから、部屋に戻り再び眠りについた……
はずだった……
私は真っ暗な闇の中を歩いていた。
ここはどこ?どうしてここにいるのかわからない。
ただ分かることは、これは夢だってこと。
歩いていると遠くの方で人影が見える。
私はそこに向かって走り出す。
だんだん近づいてくるにつれてその姿がはっきりしてくる。そこに居たのは私で、私と同じ姿形をした私がいた。
私は私を見て驚いた。そして、これがもう一人の自分だと言う事がわかった。
もう一人の自分は、私に何か伝えてくれようとしてくれていたけれど、私には何も聞こえなかった。それでも、なんとなくだけど分かった気がする。
この世界は私にとって大切なもの。だから……この世界を選ぶ事は出来ない。
――ごめんね
そこで目が覚めた。
カーテンの隙間から光が差し込んでいて、外では鳥の鳴き声が聞こえる。
朝が来たことを知らせてくれる。
ゆっくりと体を起こし、まだ覚醒しきっていない頭で考える。
今のは……?夢にしてはリアルすぎる……
私は、制服に着替え身支度を整えた後、リビングへと向かった。
朝食を食べ終え、学園へと向かう。教室に入るとすでに登校していたあかりが駆け寄ってきた。
おはよう。と挨拶を返したあと相談があるんだけど今日大丈夫?と聞くと あかりは一瞬きょとんとした顔をしてからすぐに笑顔になって、もちろん!と答えた。
その日の放課後、あかりと一緒に屋上へ向かった。
あかりに、夢の事、そしてこの世界の事全部話した。すると、 う~んと腕を組んで何か考えている様子だったけれど、しばらくして、あかりが口を開いた。
それは……と少し言い淀んでいる様子だったので、私は先を促すようにうん。と返事をする。するとあかりは真剣な顔で私を見つめて言った。
「このゲームをクリアすればこの世界から出られるはず……」
「やっぱり!」
「でも、ここに残るって選択肢もあるんじゃないの?」
私はその言葉を聞いて驚いていた。まさかそんな事を言われるなんて思っていなかったし、そもそもそんな考えは思いつきもしなかった……
「でも、夢の中の私がこの世界を選ぶことはできないって言ってたの」
「他には?」
「この世界は私にとって大切なもの。って」
「なるほどねぇ……その夢の百は前にこの世界にいた百だろうね」
あかりは確信を持ったような表情でそう告げる。
そうなのかな?と疑問に思ったけど、あかりの言葉に納得している自分もいた。
考え込んでいると、突然あかりが立ち上がった。
「とりあえずこんな所で話してても仕方ないし行こう!」
「えっ!?どこに??」
「みんなの所!」
そう言ってあかりは私の手を取り走り出した。着いた場所は生徒会室。
あかりはノックもせずドアを開ける。
「聞いて欲しい事があるんです!」
あかりはそう言って、みんなに事情を話し始めた。
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