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ムルのお願い
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『ふんふん~~~』
「あら、随分とご機嫌ね?」
『だって、今日は久しぶりにみんなと沢山遊べたから!』
そう言ってムルは、ご機嫌に鼻歌を歌いながら私の少し先を飛び回る。
ムルが楽しそうにしている姿を見て、私も嬉しくなった。
少し前まで、ムルは一人寂しく過ごしていたから、その反動も大きいのだろう。
『ねぇ、ルカ!明日も二人と会えるかな?』
「えぇ、会えますよ。明日は、二人の好きなお菓子でも持って行きましょうか」
『ムルの好きなお菓子も!』
「はいはい、でも今日は沢山遊んでしまいましたから……明日は少しだけですよ?」
私がそう言ってムルに告げると、えぇ~と言いながら拗ねたような表情を浮かべたけれど
それも、皆の為なんだもんね、と言った。
「そんな顔しないで?今度はルークとエミリアも連れて遊びに出かけましょう?」
『えっ!行きたい行きたい!!ムルね、二人に会ったら話したい事沢山あって……ルカの事でしょ?
それから、沙羅とフィリスと遊んだこと……それからそれから……』
ムルは楽しそうに、二人に会ったら話す事を次々と話していく。
私はそんな楽しそうなムルに、微笑みながら相槌を打ちながら聞いていた。
私がムルの事を思い出せずにいたら、こんなムルの表情も、幸せで暖かい時間も過ごす事が出来なかった
のだと思うと、ムルの記憶を取り戻す事が出来て本当に良かったと心から思った。
『二人に会う時にさ、プレゼントとか渡したい!』
「プレゼント?ルークとエミリアにですか?」
『うん!ルカがお世話になりました~って』
そう言ってムルは、クスクスと笑いながら、いいアイデアでしょ?と自慢げに言う。
私はそんなムルに、確かに良いアイデアですね。と笑いながら答えた。
私の返事を聞いたムルは、だよね!と言って嬉しそうに笑った後、ふわぁ……と欠伸を零す。
「あら?もう眠くなってしまったのですか?」
『うん……なんでだろう……』
私がそう問いかけると、ムルは眠そうに目を擦りながら答える。
原因は、今日いっぱい遊んで、はしゃいだからだろう。
「そのままだと危ないですし……こっちに来てください」
『うん……ご飯になったら起こしてね……むにゃ……』
「ふふ、分かりました」
そういって、ムルは私の手のひらの上で丸くなり、スースーと寝息を立てて眠り始めた。
ムルが寝ているのを確認した後、私はムルを起こさない様にゆっくりと歩きながら家に帰った。
********
家に帰り、自室の机の上にあるムル専用のベッドにムルを寝かせた後
身支度を整え、ベッドに腰掛けた。
夕食の時間までまだもう少し余裕があるので、たまたま近くにあった本に手を伸ばしペラリ、ペラリ……と読み進める。
しばらく本を読み進めていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえ 私は本に栞を挟みパタンと閉じた後
はい。と返事を返すと、扉が開きメイドさんが食事の準備が出来たと呼びに来た。
私は、分かりました。と返事をし、メイドさんが部屋を離れたのを確認した後、ムルに声を掛けた。
が、ムルはぐっすりと気持ちよさそうに眠っていて、起こすのが何だか可哀そうな気がした私は
ムルを起こさないよう、ゆっくりと部屋を離れ食堂へと向かった。
「あら、随分とご機嫌ね?」
『だって、今日は久しぶりにみんなと沢山遊べたから!』
そう言ってムルは、ご機嫌に鼻歌を歌いながら私の少し先を飛び回る。
ムルが楽しそうにしている姿を見て、私も嬉しくなった。
少し前まで、ムルは一人寂しく過ごしていたから、その反動も大きいのだろう。
『ねぇ、ルカ!明日も二人と会えるかな?』
「えぇ、会えますよ。明日は、二人の好きなお菓子でも持って行きましょうか」
『ムルの好きなお菓子も!』
「はいはい、でも今日は沢山遊んでしまいましたから……明日は少しだけですよ?」
私がそう言ってムルに告げると、えぇ~と言いながら拗ねたような表情を浮かべたけれど
それも、皆の為なんだもんね、と言った。
「そんな顔しないで?今度はルークとエミリアも連れて遊びに出かけましょう?」
『えっ!行きたい行きたい!!ムルね、二人に会ったら話したい事沢山あって……ルカの事でしょ?
それから、沙羅とフィリスと遊んだこと……それからそれから……』
ムルは楽しそうに、二人に会ったら話す事を次々と話していく。
私はそんな楽しそうなムルに、微笑みながら相槌を打ちながら聞いていた。
私がムルの事を思い出せずにいたら、こんなムルの表情も、幸せで暖かい時間も過ごす事が出来なかった
のだと思うと、ムルの記憶を取り戻す事が出来て本当に良かったと心から思った。
『二人に会う時にさ、プレゼントとか渡したい!』
「プレゼント?ルークとエミリアにですか?」
『うん!ルカがお世話になりました~って』
そう言ってムルは、クスクスと笑いながら、いいアイデアでしょ?と自慢げに言う。
私はそんなムルに、確かに良いアイデアですね。と笑いながら答えた。
私の返事を聞いたムルは、だよね!と言って嬉しそうに笑った後、ふわぁ……と欠伸を零す。
「あら?もう眠くなってしまったのですか?」
『うん……なんでだろう……』
私がそう問いかけると、ムルは眠そうに目を擦りながら答える。
原因は、今日いっぱい遊んで、はしゃいだからだろう。
「そのままだと危ないですし……こっちに来てください」
『うん……ご飯になったら起こしてね……むにゃ……』
「ふふ、分かりました」
そういって、ムルは私の手のひらの上で丸くなり、スースーと寝息を立てて眠り始めた。
ムルが寝ているのを確認した後、私はムルを起こさない様にゆっくりと歩きながら家に帰った。
********
家に帰り、自室の机の上にあるムル専用のベッドにムルを寝かせた後
身支度を整え、ベッドに腰掛けた。
夕食の時間までまだもう少し余裕があるので、たまたま近くにあった本に手を伸ばしペラリ、ペラリ……と読み進める。
しばらく本を読み進めていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえ 私は本に栞を挟みパタンと閉じた後
はい。と返事を返すと、扉が開きメイドさんが食事の準備が出来たと呼びに来た。
私は、分かりました。と返事をし、メイドさんが部屋を離れたのを確認した後、ムルに声を掛けた。
が、ムルはぐっすりと気持ちよさそうに眠っていて、起こすのが何だか可哀そうな気がした私は
ムルを起こさないよう、ゆっくりと部屋を離れ食堂へと向かった。
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