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また見た不思議な夢

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『カ……ルカ……』
夢の中の誰かが私の名前を呼ぶ、その声は何処か懐かしく
そして、優しく温かい……私はこの声の正体を知っている、知っている筈なのに
その記憶にだけ、靄がかかったように覆われて……思い出すことが出来ない。
『ねぇ、貴女は誰?私の事を知っているの?』
夢の中の人物にそう問いかけるが、返事は返ってこない。
夢なのだから当たり前か……
『……は……ルカ……のすぐそば……に』
『えっ?』
そんな言葉が聞こえ、なんと言ったのか聞き返そうとしたその時
私は、夢から覚めた。
「また変な夢……あの声……」
ベッドから起き上がり、カーテンを開く。
外は雲一つない青空が広がっている、きっと素敵な一日になるだろう……と私は思いながら背伸びをした。
あの、夢の声の主は一体誰なのだろう……夢の中の私を呼ぶ声はとても優しく温かいもので
そして、その声の主は私のすぐ近くにいるような……そんな気がしていた。
今日も今日とていつもと同じ日常が始まる。
*******
「エミリア、今日はありがとう」
「ううん!ルカの為なら何だってするよ!」
「ふふ、頼もしいわね」
そんな会話を交わしながら私達が向かうのは、あの湖のある裏の森だ。
エミリアに話をしたら、私も協力するよ。と言って私に着いて来てくれた。
私の隣で歩きながらニコニコと笑う彼女を見て、私は思わず微笑む。
まるで子供みたいな笑顔がとても可愛らしくて……ついその頭を撫でてしまう。
頭を撫でられたエミリアは、少し驚いた表情を見せたがすぐに気持ち良さそうに目を細めた。
「ルカの手温かい~」
「そう?」
「うん!なんというか、ルカの魔力が伝わっている感じがして落ち着くんだ~」
エミリアは私に頭を撫でられながら、気持ちよさそうに笑っている。
そんな事を言われたのは、初めてだ。とエミリアに伝えると、みんな思ってるけど恥ずかしくて
言えないんだよ、と言ってニコニコと笑った。
そんな話をしていると、いつの間にか裏の森の入り口までたどり着いていていた。
「えっと、今日は湖まで行くんだっけ?」
「えぇ、よろしくお願いします」
「うん!任せて!」
エミリアはポンッと胸を叩きながら、任せて!と言ってくれる。
そんな彼女にお礼を言いながら、森へと足を踏み入れる……その時だった。
森の木々が風で揺れ動き始め、日の光が差し込んでくる。
「…………気配がする」
「それって、この間言ってた?」
「えぇ…………でも、悪い気配とかじゃ無くて……暖かくて、優しい……そう!夢で聞いた声に似てる」
「うーん……私には分からない……もう少し奥まで行ってみよう?そうすれば私にも何か分かるかも!」
そう言ってエミリアは私の手を引き、森の奥……湖がある場所まで歩き出す。
歩いてる途中、やはり私の傍には何かがいるような気配を感じ取る事が出来た。
その気配はとても温かくて、何処か懐かしい感じがする……ずっと隣にいてくれたようなそんな感じがした。
森を抜け、湖がある場所へと辿り着く……
「ん~~~やっぱり、ここは空気が美味しいし落ち着く……」
「えぇ……本当に……」
陽の光が反射しキラキラと光り輝く湖、頬に触れる優しい風、穏やかで静かなこの場所が私は大好きだ。
「ねぇ、夢を見たって言ってたよね?その話私にも詳しく聞かせてくれる?」
「もちろんです、と言っても面白い話では無いかもしれませんが……」
そう言って、私は今日見た夢の内容をエミリアに話し始めた。
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