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アマミヤから伝えられた事
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アマミヤさんが……異世界から来た人……?
私以外にも異世界から来た人がいた……?そんな、まさか……
混乱する私を他所に、アマミヤさんは話を続ける。
「私がこの国に来たのは……そうね、貴女と同じくらいの歳だった。私も
この国に聖女として召喚されたの」
「アマミヤさんが聖女として……?じゃあ、アマミヤさんにも魔力が……!!」
その言葉に、私は、ガタッ、と音を立てて机から立ち上がり、アマミヤさんの顔をじっと見つめた。
私の様子に少し驚きつつも、アマミヤさんは首を振り
とりあえず、落ち着いてください。と言って私を椅子に座らせた。
私は、アマミヤさんの言葉を頭の中で繰り返し……次第に冷静さを取り戻していった。
「落ち着きましたか……?」
「はい……少しは……」
「良かった、じゃあ続きを……私は聖女としてこの国に召喚されましたが……魔力は、ほんの少ししかありませんでした」
「えっ、じゃあ今の魔力は……」
「完全になくなってしまいました」
アマミヤさんは、そう言うと力なく微笑んだ。
聖女として召喚されて、魔力がなくなって……アマミヤさんはどんな気持ちで過ごしてきたんだろう……? 私の場合は突然こっちに飛ばされてきて、戸惑っていたけれど、ルカがいて……フィリスがいて……皆がいてくれたから、私は今日まで頑張って来れた……
「あぁ、そんな顔をしないでください。魔力が無いなりに楽しく過ごせて
ましたよ。ただ、元の世界に残してきた家族や友人がどうなったか……それだけは気になっていましたね」
そう言って、アマミヤさんは苦笑していた。
私は何も言えず、黙ってアマミヤさんの顔を見つめていた。
アマミヤさんは、元の世界ではどんな人だったのだろう?
私は……あの世界に戻りたいとは思わないけれど、アマミヤさんは、今でも
思っているのだろうか? そんな事を考えていると、アマミヤさんは少し困ったような表情を浮かべながら口を開いた。
「高木さんがそんな顔をする必要はありませんよ」
アマミヤさんはそう言って、優しく微笑んだ。
私は、そんなアマミヤさんの顔を見ながら首を傾げると、アマミヤさんは ゆっくりと続きを話し始めた。
「最初は確かにびっくりしました、けれど……今は、ここに居られることが嬉しいし、楽しいんです」
「アマミヤさん……」
「それに……異世界から来た人は私だけじゃ無かったから」
「えっ!??!??」
私は、アマミヤさんの言葉に思わず声が裏返ってしまった。
そんな私の様子を見て、クスクスと笑うアマミヤさんに抗議の目を向けると、アマミヤさんは笑いを堪えながらごめんなさい。と言って私を見つめてきた。
「今はその人たちは?」
私のその問いに、アマミヤさんは首をゆっくりと横に振ると 小さな声で答えた。
「もういません……ここに召喚された時点で、魔力が無いと判断された人達は
その場で元の世界に返されました、そして魔力が無くなった人達も……」
そう答えたアマミヤさんの顔は、酷く悲しそうだった。
でも、アマミヤさんは魔力が無くなった、と言っていたのに
今、この場所にいて……一体どうして? 私は、そんな疑問が頭から離れなかった。
「今、何で私がここに残っているんだろう?って思いませんでした?」
「えっ!?そんな事……」
「ふふ、隠さなくても大丈夫ですよ。そうですね……私がここに残っていたい、そう思ったから……それに……」
アマミヤさんは、一度言葉を止めて目を閉じ、そしてゆっくりと開いた。
私はその瞳に吸い込まれるように、ジッとアマミヤさんを見つめていた。
そして……アマミヤさんは口を開いた。
私以外にも異世界から来た人がいた……?そんな、まさか……
混乱する私を他所に、アマミヤさんは話を続ける。
「私がこの国に来たのは……そうね、貴女と同じくらいの歳だった。私も
この国に聖女として召喚されたの」
「アマミヤさんが聖女として……?じゃあ、アマミヤさんにも魔力が……!!」
その言葉に、私は、ガタッ、と音を立てて机から立ち上がり、アマミヤさんの顔をじっと見つめた。
私の様子に少し驚きつつも、アマミヤさんは首を振り
とりあえず、落ち着いてください。と言って私を椅子に座らせた。
私は、アマミヤさんの言葉を頭の中で繰り返し……次第に冷静さを取り戻していった。
「落ち着きましたか……?」
「はい……少しは……」
「良かった、じゃあ続きを……私は聖女としてこの国に召喚されましたが……魔力は、ほんの少ししかありませんでした」
「えっ、じゃあ今の魔力は……」
「完全になくなってしまいました」
アマミヤさんは、そう言うと力なく微笑んだ。
聖女として召喚されて、魔力がなくなって……アマミヤさんはどんな気持ちで過ごしてきたんだろう……? 私の場合は突然こっちに飛ばされてきて、戸惑っていたけれど、ルカがいて……フィリスがいて……皆がいてくれたから、私は今日まで頑張って来れた……
「あぁ、そんな顔をしないでください。魔力が無いなりに楽しく過ごせて
ましたよ。ただ、元の世界に残してきた家族や友人がどうなったか……それだけは気になっていましたね」
そう言って、アマミヤさんは苦笑していた。
私は何も言えず、黙ってアマミヤさんの顔を見つめていた。
アマミヤさんは、元の世界ではどんな人だったのだろう?
私は……あの世界に戻りたいとは思わないけれど、アマミヤさんは、今でも
思っているのだろうか? そんな事を考えていると、アマミヤさんは少し困ったような表情を浮かべながら口を開いた。
「高木さんがそんな顔をする必要はありませんよ」
アマミヤさんはそう言って、優しく微笑んだ。
私は、そんなアマミヤさんの顔を見ながら首を傾げると、アマミヤさんは ゆっくりと続きを話し始めた。
「最初は確かにびっくりしました、けれど……今は、ここに居られることが嬉しいし、楽しいんです」
「アマミヤさん……」
「それに……異世界から来た人は私だけじゃ無かったから」
「えっ!??!??」
私は、アマミヤさんの言葉に思わず声が裏返ってしまった。
そんな私の様子を見て、クスクスと笑うアマミヤさんに抗議の目を向けると、アマミヤさんは笑いを堪えながらごめんなさい。と言って私を見つめてきた。
「今はその人たちは?」
私のその問いに、アマミヤさんは首をゆっくりと横に振ると 小さな声で答えた。
「もういません……ここに召喚された時点で、魔力が無いと判断された人達は
その場で元の世界に返されました、そして魔力が無くなった人達も……」
そう答えたアマミヤさんの顔は、酷く悲しそうだった。
でも、アマミヤさんは魔力が無くなった、と言っていたのに
今、この場所にいて……一体どうして? 私は、そんな疑問が頭から離れなかった。
「今、何で私がここに残っているんだろう?って思いませんでした?」
「えっ!?そんな事……」
「ふふ、隠さなくても大丈夫ですよ。そうですね……私がここに残っていたい、そう思ったから……それに……」
アマミヤさんは、一度言葉を止めて目を閉じ、そしてゆっくりと開いた。
私はその瞳に吸い込まれるように、ジッとアマミヤさんを見つめていた。
そして……アマミヤさんは口を開いた。
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