上 下
237 / 321

アマミヤさんの秘密

しおりを挟む
次の日、教室へと向かうと昨日と同じところにフィリス、そしてミホにユーリ
までが立っていて、私は急いで三人の元に走って向かった。
「おはよう!三人共集まってどうしたの?」
「おはようございます、ここで沙羅を待っていたら二人が来て、折角なら
一緒に行こうと言う話になったんです」
フィリスはそう説明して、二人の事をチラリと見た。
その視線に釣られるように、私も二人の事を見ると
ミホがコクコクと、首を振っていた。
「そっか、二人共おはよう。えっと……昨日振りです……ね?」
「おはようございます、沙羅さん。私達も一緒に行ってもよろしいですか?」
ユーリが優しく微笑むと、私も笑顔で頷いた。
そのまま四人で学園へと向かい、各々のクラスへと向かう為に別れ、私とフィリスは自分の教室へと入った。
********
放課後まではあっという間で、今日は図書室へと勉強をしに来ていた。
ルカに言われていた物は、終わらすことが出来たけれど、もう少し勉強して
いこうと思って、フィリスに言って一人残って勉強をする事にした。
それに……アマミヤさんの話を聞いてみたいし。
「んん~~やっぱり一人でやってると集中力が……」
私は教科書を閉じて、大きく背伸びをすると窓の外へ視線を向けた。
もうそろそろ日が暮れ始めていて、綺麗な夕焼け空が見える。
その風景に私は思わず溜息を漏らした。
綺麗だなぁ……なんて思いながらボーっと眺めていると、私の前に誰かが
腰掛けた。
誰だろうと思って、視線を下ろすとそこにはアマミヤさんの姿があった。
「アマミヤさん?どうかしましたか?」
「んー高木さんが一人で寂しそうだなって思いまして」
「別に私は寂しくなんか無いです、ただ勉強が進まないな~って」
へらっ、と笑ってそう答えると、アマミヤさんはクスッと笑っていた。
私そんなに変な事を言ったのかな?と思っていると、急に真面目な表情をして私に話しかけてきた。
「高木さんに話したい事があるの、聞いてくれる?」
そう話すアマミヤさんの顔は、いつもとは違う真剣な表情だった。
そんなアマミヤさんの様子から、大事な話なんだって事が伝わってくる。
「話したい事ですか……?」
「えぇ、とても大切な話よ、私と高木さんにとって……」
「私とアマミヤさんに?」
私がそう聞き返すと、アマミヤさんは静かに頷いた。
真剣な表情を崩さずに真っ直ぐ私の事を見つめていた。
私はそんなアマミヤさんに、ゆっくりと頷いて聞かせてくださいと言って
アマミヤさんの瞳をジッと見つめた。
「ありがとうございます……まず、この話は一部の人を除いて他言無用でお願いします」
「一部の……?フィリスやルカには……?」
「そうね……貴女の事情を知っている人以外には話さない事、出来ますか?」
私は、真剣な表情を浮かべながら私を見つめているアマミヤさんの目を真っ直ぐに見つめ返し、しっかりと頷いた。
そんな私の反応を見て、アマミヤさんはホッとしたような表情を見せると ゆっくりと話を始めた。
********
アマミヤさんが話した内容に、私は思わず目を見開いた。
そんな私に気が付いているのかいないのか……いや、多分気が付かないフリをしているんだと思うけれど、気にせず話を続けた。
アマミヤさんが……異世界から来た人……?
私以外にも異世界から来た人がいた……?そんな、まさか……
混乱する私を他所に、アマミヤさんは話を続ける。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結婚式をやり直したい辺境伯

C t R
恋愛
若き辺境伯カークは新妻に言い放った。 「――お前を愛する事は無いぞ」 帝国北西の辺境地、通称「世界の果て」に隣国の貴族家から花嫁がやって来た。 誰からも期待されていなかった花嫁ラルカは、美貌と知性を兼ね備える活発で明るい女性だった。 予想を裏切るハイスペックな花嫁を得た事を辺境の人々は歓び、彼女を歓迎する。 ラルカを放置し続けていたカークもまた、彼女を知るようになる。 彼女への仕打ちを後悔したカークは、やり直しに努める――――のだが。 ※シリアスなラブコメ ■作品転載、盗作、明らかな設定の類似・盗用、オマージュ、全て禁止致します。

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

別れてくれない夫は、私を愛していない

abang
恋愛
「私と別れて下さい」 「嫌だ、君と別れる気はない」 誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで…… 彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。 「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」 「セレンが熱が出たと……」 そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは? ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。 その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。 「あなた、お願いだから別れて頂戴」 「絶対に、別れない」

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】魅了が解けたあと。

恋愛
国を魔物から救った英雄。 元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。 その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。 あれから何十年___。 仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、 とうとう聖女が病で倒れてしまう。 そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。 彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。 それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・ ※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。 ______________________ 少し回りくどいかも。 でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

処理中です...