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朝のやり取り
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しばらく二人で見つめ合っていたら、後ろから私達を呼ぶ声が聞こえ
振り向くとそこには、笑顔のユーリと、顔を真っ赤にしたミホが立っていた。
「あ、貴女達……!?ここ何処だと思っているの!!?!」
「まぁまぁ、ミホさん落ち着いて……」
「でも!!こんな所で……」
そう言ってミホは、また顔をボッ、っと赤く染めながら
神聖な学園で、あんな事するなんて……と、ブツブツと呟いて
私達の事をチラリ、と見る。
ユーリはと言うと、そんなミホを宥めながら私の事を見てニコニコと笑っていた。
「お二人共、おはようございます」
「お、おはようございます」
「ふふ、いつの間そんなに仲良くなったのか気になる所ですが、もう時間ですので私達はいきますね?ほら、ミホさん行きましょう?」
「は、はい!」
そう言って、ユーリとミホは私達に挨拶した後、そのまま校舎に向かって行った。
ユーリの言っていた時間ってなんだろう?と思い近くにあった時計を見上げる
すると、後数分で予鈴が鳴るという時間だった。
「フィリス!私達も急がないと遅刻しちゃうよ!」
「わっ!沙羅ちょっと……!」
フィリスの手を引いて、私は急いで校舎に向かって走り出した。
私の後ろから、フィリスの慌てている声が聞こえていたけれど、遅刻しちゃったら意味が無いし、私はフィリスの声を無視して走った。
教室に着いたら、フィリスの話をちゃんと聞いて、謝れば
許して貰えるよね……?
**********
「はぁ、はぁ……間に合った……フィリス大丈夫……じゃ無さそうだね、ごめん……ってあれ?まだ全然人がいない」
「はぁ……はぁ……本当です、私の話を聞かないで走り出すんですから……」
「えっ?それってどういう……」
フィリスは、はぁはぁ、と乱れた息を整え、私の方を向くと
とりあえず、席に着きましょう。と言って、歩き出した。
確かに……ここに立って話していたら、皆の邪魔になっちゃうだろうし
私も自分の席に着く事にした。
「それで、さっきのってどういう事?」
自分の席に着き、荷物を片付け隣に座るフィリスに声を掛ける。
すると、フィリスは無言で壁に掛かっている時計を指さす。
私は大人しく時計に視線を移すと、時計が示す時刻はさっき見た時間とは
全く違っていて、予鈴が鳴る時刻まであと数十分以上もあった、それを見た私は
思わずあれ?と言う声を上げてしまった。
「ねぇ、フィリスどういう事?」
「あそこの時計、ズレているんですよ。皆が遅刻しない様にってわざと
ズラしているんです」
「知らなかった……でも、あの二人は時間だって」
「まぁ、わざとじゃ無いですか?あの人私達の事からかうの好きですから……」
ムスッとした顔でフィリスは呟いた。
私はそんなフィリスの姿にクスクスと笑う、するとフィリスは何で笑っているんですか?と不満げに私を見つめた。
「いや、二人が仲良しになって良かったなって」
「仲良し……まぁ、前よりは話すようにはなりましたけど……」
「ふふ、よかったよかった」
そう言って笑えば、フィリスは恥ずかしそうに私から視線を外した。
そんな会話をしている内に予鈴が鳴りだし、先生が教室に入ってきたので私は慌てて、前を向いた。
**********
時刻は、放課後。
今日は図書室でお勉強……では無く、生徒会室でお手伝いをしています。
「お二人共、今日はありがとうございます」
「いえ!全然大丈夫です!」
「別に、私と会長でも平気なのに……」
ミホはブツブツ文句を言っていて、相変わらずだなぁ……なんて思いながらも
はいはい、と宥める。
「今日は、お手伝いの他にも聞きたい事があったのでお二人を呼んだんです」
「聞きたい事ですか?」
「えぇ、今朝のお二人をみて随分と仲良しになったなーと思いまして、ね?」
にっこり、とユーリが笑った。
これは……長くなりそうな予感がする……
振り向くとそこには、笑顔のユーリと、顔を真っ赤にしたミホが立っていた。
「あ、貴女達……!?ここ何処だと思っているの!!?!」
「まぁまぁ、ミホさん落ち着いて……」
「でも!!こんな所で……」
そう言ってミホは、また顔をボッ、っと赤く染めながら
神聖な学園で、あんな事するなんて……と、ブツブツと呟いて
私達の事をチラリ、と見る。
ユーリはと言うと、そんなミホを宥めながら私の事を見てニコニコと笑っていた。
「お二人共、おはようございます」
「お、おはようございます」
「ふふ、いつの間そんなに仲良くなったのか気になる所ですが、もう時間ですので私達はいきますね?ほら、ミホさん行きましょう?」
「は、はい!」
そう言って、ユーリとミホは私達に挨拶した後、そのまま校舎に向かって行った。
ユーリの言っていた時間ってなんだろう?と思い近くにあった時計を見上げる
すると、後数分で予鈴が鳴るという時間だった。
「フィリス!私達も急がないと遅刻しちゃうよ!」
「わっ!沙羅ちょっと……!」
フィリスの手を引いて、私は急いで校舎に向かって走り出した。
私の後ろから、フィリスの慌てている声が聞こえていたけれど、遅刻しちゃったら意味が無いし、私はフィリスの声を無視して走った。
教室に着いたら、フィリスの話をちゃんと聞いて、謝れば
許して貰えるよね……?
**********
「はぁ、はぁ……間に合った……フィリス大丈夫……じゃ無さそうだね、ごめん……ってあれ?まだ全然人がいない」
「はぁ……はぁ……本当です、私の話を聞かないで走り出すんですから……」
「えっ?それってどういう……」
フィリスは、はぁはぁ、と乱れた息を整え、私の方を向くと
とりあえず、席に着きましょう。と言って、歩き出した。
確かに……ここに立って話していたら、皆の邪魔になっちゃうだろうし
私も自分の席に着く事にした。
「それで、さっきのってどういう事?」
自分の席に着き、荷物を片付け隣に座るフィリスに声を掛ける。
すると、フィリスは無言で壁に掛かっている時計を指さす。
私は大人しく時計に視線を移すと、時計が示す時刻はさっき見た時間とは
全く違っていて、予鈴が鳴る時刻まであと数十分以上もあった、それを見た私は
思わずあれ?と言う声を上げてしまった。
「ねぇ、フィリスどういう事?」
「あそこの時計、ズレているんですよ。皆が遅刻しない様にってわざと
ズラしているんです」
「知らなかった……でも、あの二人は時間だって」
「まぁ、わざとじゃ無いですか?あの人私達の事からかうの好きですから……」
ムスッとした顔でフィリスは呟いた。
私はそんなフィリスの姿にクスクスと笑う、するとフィリスは何で笑っているんですか?と不満げに私を見つめた。
「いや、二人が仲良しになって良かったなって」
「仲良し……まぁ、前よりは話すようにはなりましたけど……」
「ふふ、よかったよかった」
そう言って笑えば、フィリスは恥ずかしそうに私から視線を外した。
そんな会話をしている内に予鈴が鳴りだし、先生が教室に入ってきたので私は慌てて、前を向いた。
**********
時刻は、放課後。
今日は図書室でお勉強……では無く、生徒会室でお手伝いをしています。
「お二人共、今日はありがとうございます」
「いえ!全然大丈夫です!」
「別に、私と会長でも平気なのに……」
ミホはブツブツ文句を言っていて、相変わらずだなぁ……なんて思いながらも
はいはい、と宥める。
「今日は、お手伝いの他にも聞きたい事があったのでお二人を呼んだんです」
「聞きたい事ですか?」
「えぇ、今朝のお二人をみて随分と仲良しになったなーと思いまして、ね?」
にっこり、とユーリが笑った。
これは……長くなりそうな予感がする……
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