若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

待ち合わせ

パジャマを脱ぎ、制服に手を通す。
そして、ドレッサーの前に座り、ブラシを手に取り髪を整えた。
「ふんふん～」
鼻歌を歌いながら、髪を梳かし髪を整えていく。
今日の髪形は、ハーフアップにしようと決めていたので、ハーフアップにする為の髪留めをドレッサーから取り出し、髪を括る。
「うん、綺麗に出来た」
鏡で綺麗に括れたハーフアップを見て、私は満足気に頷く。
髪を整えた後、服を整えて何処も変な所が無いかチェックした。
時計をチラリとみると、時刻はもうすぐで登校時間まであと少し、と言うところだった。
「大変……！早く朝ごはん食べないと！」
私は慌ててキッチンへ向かうと、すぐに食べられそうなパンとコーヒーの準備した。
トースターに、パンを入れその間にケトルでコーヒー用のお湯を沸かす。
その間に、パンに塗るジャムやコーヒーに入れるミルクや砂糖の準備を
していると、パンが焼けた事を知らせる音が鳴った。
私はパンをトースターから取り出し、お皿にのせるとジャムやバターを乗せていく。
「うん、完璧！って、……わぁ～！お湯沸いちゃった！」
慌てて、コーヒーを淹れ、ミルクと砂糖をたっぷり入れたら
簡単な朝ごはんの完成だ。
こっちに来てから、朝ごはんという物をきちんと食べるようになって改めて、朝ごはんの大切さが分かった気がする。
向こうの世界に居た時は、朝はほぼ食べていなかったし、昼も食べてると言っていいのかくらいの量を食べていた。
あの頃は、正直食という物に興味がそこまで無かったんだと思う。
「んん～～美味しい～！ここのお店のパン初めて買ったけど中々……一緒に買ったジャムも美味しい」
もぐもぐ、とパンを頬張りながら、ミルクと砂糖を入れたコーヒーを一口飲む。
コーヒーも最近買ったばかりの物で、どんな味がするのかドキドキしていたけれど、これも当たりだったみたいで私好みの味だった。
「こんな美味しい物朝から食べられて幸せだ～」
そんな事を呟きながら、朝食を食べ終えた私は食器を片付けて、登校する準備を始めた。
鞄に教科書達を詰め、筆記用具を詰めたら、最後にまた鏡をチェックして
部屋を出た。
昨日約束した待ち合わせ場所に急いで向かうが、まだフィリスは来ていないようで私は、辺りを見渡した。
すると、少し離れた所からフィリスが歩いてくる姿が見えたので、思わず勢いよく手を降った。
「フィリス～！おはよう！」
そんな私の声に気が付いたのか、フィリスはにっこりと笑い
私に向かって手を振ってくれた。
その姿がとてもきれいで、心臓がドキリと跳ねたけれど、何とか悟られないように私は平然を装いフィリスに駆け寄った。
「フィリス、おはよう」
「おはようございます、沙羅。昨日はよく眠れましたか？」
そう言ってフィリスは私の目の下を指でなぞった。
その仕草が本当に綺麗で、私の心臓はドキドキと煩くなった。
「その……ドキドキして眠れなくて……」
「ふふ、じゃあ私とお揃いです」
そう言ってフィリスは楽しそうに笑った。
そんな姿も可愛くて、私は心臓がドキドキと煩くて、視線を逸らした。
すると、フィリスが私の頬にそっと触れて微笑んだ。
その微笑みが美しくて、私は思わず見惚れてしまった。
「フィリスもドキドキしてた……？」
「えぇ、証拠にほら、ドキドキしてるでしょう？」
フィリスの手が私の胸に当てられた。
手から、フィリスのドキドキとした鼓動が伝わってきて、フィリスの方を
バッと見ると、恥ずかしそうな仕草で 頬を赤く染めていた。
あぁ……やっぱりフィリスは綺麗だ……