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許可を取る為に
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次の日、教室に入るとフィリスに声を掛けられた。
きっと、昨日の話だろうと思い、フィリスの声に耳を傾けた。
「おはよ、フィリス。話って昨日の?」
「えぇ、お昼休みに先生の所に伺おうと思うのだけれど、どうかしら?」
「うん!大丈夫だよ、私もお昼に行こうかなって考えていたから」
「よかった……ルカには許可を取ったのですか?」
「うん、昨日の夜に電話したら、ルカは大丈夫だって」
「そうですか、じゃあ……お昼に行きましょう」
そう言ってフィリスは嬉しそうに微笑んだ。
そんな表情のフィリスを見て、私も嬉しくなって笑顔で返した。
*********
お昼休みになり、私はフィリスに声を掛ける。
「フィリス、もう大丈夫かな?」
「えぇ、行きましょうか」
「はーい、ちょっと緊張しちゃうね」
「沙羅なら大丈夫よ、安心して」
「フィリス……」
そんな会話をしながら、私達はウィル先生のいる筈の
化学準備室へと向かった。
化学準備室の前に着き、扉をノックすると、中からどうぞ。
と返事が返ってきたので、私達は失礼しますと言って教室の中に入った。
けれど、教室の中に先生の姿は見えなくて、私は首を傾げながらウィル先生?と名前を呼んでみた。
すると、床にあった書類の山の後ろから、ひょっこりとウィル先生が顔を出した。
それを見て思わず、わっ!と声を出してしまい、そんな私を見てウィル先生は楽しそうに笑った。
「ははっ、驚かせてごめんね~ちょーと待っててくれるかな」
「は、はい……あの、もしかして邪魔しちゃいましたか?」
「ううん、そんな事ないよ。えっと……この書類がここで……」
そう言ってウィル先生は書類の山と睨めっこをしている。
私達は、それを邪魔しない様に近くにあった椅子に座りながら、ウィル先生を待つことにした。
*****
「はぁ~~お待たせしました、僕に用事って言ってたよね?」
「は、はい……!」
「よいしょ……それで、何の用事かな?まぁ、何となく予想は付くけど」
そう言ってウィル先生は、私とフィリスを見た。
私は小さく深呼吸すると、真っ直ぐにウィル先生を見つめて言葉を紡いだ。
「私に……魔法を教えて欲しいんです」
「やっぱりかぁ………うーん、どうして僕に教わりたいの?」
「それは……ルカが教わっていたと言うのもありますが、先生なら
ちゃんと魔法を教えて頂けると思ったからです!」
私がそう言い切ると、ウィル先生は困った様な表情を浮かべた。
それはそうだろう、出会って間もないのにいきなり魔法を教わりたいだなんて……
そんな無茶なお願いを私がしているのだから。
それでも私は引き下がれない。
「お願いします……!!」
「うーん……そう言われてもなぁ……僕も、今は普通の先生としてすごしたいと
思ってるんだ。だから……」
ウィル先生は困った表情を浮かべながらそう言った。
それでも私は引き下がれなかった。
「迷惑な事は分かっています……でも……!!」
「うーん…………この事、聖女様は知ってるのかな?」
「…………はい、ルカは良いと言ってくれました。」
「そっか……はぁ、あの子が良いって言ったのなら僕も良いって言わなきゃだよね」
ウィル先生はそう言って、私を真っすぐ見つめる。
その真剣な瞳に思わず体が強張ってしまった。
そんな私を見て、ウィル先生はふっと表情を和らげた。
「分かった、引き受けるよ」
「あ、ありがとうございます……!!!」
「ただし!この事は他の生徒や先生には内緒だからね?バレたらまた怒られちゃう」
そう言って、ウィル先生は人差し指を口元にあてて、しーっと内緒のポーズをとった。
そんなウィル先生を見て思わず笑ってしまった。
それを見てウィル先生も笑った。
私とフィリスはそんなウィル先生にお礼を伝えながら頭を下げた。
きっと、昨日の話だろうと思い、フィリスの声に耳を傾けた。
「おはよ、フィリス。話って昨日の?」
「えぇ、お昼休みに先生の所に伺おうと思うのだけれど、どうかしら?」
「うん!大丈夫だよ、私もお昼に行こうかなって考えていたから」
「よかった……ルカには許可を取ったのですか?」
「うん、昨日の夜に電話したら、ルカは大丈夫だって」
「そうですか、じゃあ……お昼に行きましょう」
そう言ってフィリスは嬉しそうに微笑んだ。
そんな表情のフィリスを見て、私も嬉しくなって笑顔で返した。
*********
お昼休みになり、私はフィリスに声を掛ける。
「フィリス、もう大丈夫かな?」
「えぇ、行きましょうか」
「はーい、ちょっと緊張しちゃうね」
「沙羅なら大丈夫よ、安心して」
「フィリス……」
そんな会話をしながら、私達はウィル先生のいる筈の
化学準備室へと向かった。
化学準備室の前に着き、扉をノックすると、中からどうぞ。
と返事が返ってきたので、私達は失礼しますと言って教室の中に入った。
けれど、教室の中に先生の姿は見えなくて、私は首を傾げながらウィル先生?と名前を呼んでみた。
すると、床にあった書類の山の後ろから、ひょっこりとウィル先生が顔を出した。
それを見て思わず、わっ!と声を出してしまい、そんな私を見てウィル先生は楽しそうに笑った。
「ははっ、驚かせてごめんね~ちょーと待っててくれるかな」
「は、はい……あの、もしかして邪魔しちゃいましたか?」
「ううん、そんな事ないよ。えっと……この書類がここで……」
そう言ってウィル先生は書類の山と睨めっこをしている。
私達は、それを邪魔しない様に近くにあった椅子に座りながら、ウィル先生を待つことにした。
*****
「はぁ~~お待たせしました、僕に用事って言ってたよね?」
「は、はい……!」
「よいしょ……それで、何の用事かな?まぁ、何となく予想は付くけど」
そう言ってウィル先生は、私とフィリスを見た。
私は小さく深呼吸すると、真っ直ぐにウィル先生を見つめて言葉を紡いだ。
「私に……魔法を教えて欲しいんです」
「やっぱりかぁ………うーん、どうして僕に教わりたいの?」
「それは……ルカが教わっていたと言うのもありますが、先生なら
ちゃんと魔法を教えて頂けると思ったからです!」
私がそう言い切ると、ウィル先生は困った様な表情を浮かべた。
それはそうだろう、出会って間もないのにいきなり魔法を教わりたいだなんて……
そんな無茶なお願いを私がしているのだから。
それでも私は引き下がれない。
「お願いします……!!」
「うーん……そう言われてもなぁ……僕も、今は普通の先生としてすごしたいと
思ってるんだ。だから……」
ウィル先生は困った表情を浮かべながらそう言った。
それでも私は引き下がれなかった。
「迷惑な事は分かっています……でも……!!」
「うーん…………この事、聖女様は知ってるのかな?」
「…………はい、ルカは良いと言ってくれました。」
「そっか……はぁ、あの子が良いって言ったのなら僕も良いって言わなきゃだよね」
ウィル先生はそう言って、私を真っすぐ見つめる。
その真剣な瞳に思わず体が強張ってしまった。
そんな私を見て、ウィル先生はふっと表情を和らげた。
「分かった、引き受けるよ」
「あ、ありがとうございます……!!!」
「ただし!この事は他の生徒や先生には内緒だからね?バレたらまた怒られちゃう」
そう言って、ウィル先生は人差し指を口元にあてて、しーっと内緒のポーズをとった。
そんなウィル先生を見て思わず笑ってしまった。
それを見てウィル先生も笑った。
私とフィリスはそんなウィル先生にお礼を伝えながら頭を下げた。
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