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思いついた事

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「さて、お話はこれぐらいにして……もう、下校時間を過ぎてるから
早く帰りなさい」
時計を見ると、もう下校時間を過ぎていた。
そんな時間になるまで話し込んでいたのか、と少し驚きながらも
私達はウィル先生に挨拶をして、生徒会室を後にした。
******
「結局先生の事は分かったような良く分からなかったような……」
うーん、と唸りながら、寮までの道を歩く。
隣にいるフィリスも、私の話を聞きながらそうですね、と返事を返しながら
歩く。
「…………ねぇ、ちょっと思ったことがあるんだけど聞いてくれる?」
「思った事ですか?それなら、歩きながらじゃ無くてお部屋に帰ってからにしませんか?」
「あーそうだね、あんまり人に聞かせる話じゃない気がするし」
「じゃあ、私の部屋の方が近いですから、私の部屋に行きましょう」
そう言って、フィリスは私の手を握って歩くスピードを速めた。
そんなフィリスの手を握り返して、私は歩幅を合わせた。
*****
フィリスの部屋に着くと、フィリスはお茶を淹れにキッチンに向かっていった。
私も手伝おうとキッチンの方へ行くと、良いですから座ってて下さいと言われてしまい、大人しく座り直す事にした。
フィリスを待っている間、ウィル先生が話してくれた事を思い出す。
私とルカが似ている……そんな事、本当にあり得るんだろうか?
先生が私の事をからかって、適当な事を言ってるんじゃ無いか? 私はそんな事を考えながら、うーん……と悩んでいると フィリスがお茶と、お茶菓子をもって
戻って来た。
「どうぞ、お茶が入りましたよ」
「ありがとう、フィリス」
フィリスが淹れてくれた紅茶の香りに、心が落ち着いていく。
その香りを堪能しながら私は、ゆっくりと口を付ける。
とても優しい味が口の中に広がって行くのを感じながら、私は口を開く。
「さっき言っていた事なんだけれどね……ウィル先生に魔法を教えて貰えないかなって考えたの」
「ウィル先生にですか?確かに先生はルカに魔法を教えていたみたいですけど……」
「そう!だから私も教えて貰えないかなって……聖女の為の勉強なら、聖女に詳しい人の方が良いかなって……」
ルカは私に教えてくれると言っていたけれど、ルカにあまり負担を掛けるのも良くないかな、と思っていた所にウィル先生からルカの名前が出て、これはチャンスだと、そう思った。
「まぁ………ウィル先生の事はまだ良く分からないけれど、でも悪い人じゃ無いとは思ってるから……」
「そうですね、私もウィル先生は悪い人ではないと思います。ただ……」
フィリスはそこまで言って、口を閉ざした。
そして、少し悩むような仕草をしながら言葉の続きを話してくれた。
「ルカとウィル先生が許可してくれるでしょうか?」
フィリスの不安そうな声を聞いて、私も確かに……と思った。
先生だって暇じゃない、私のこんな面倒くさい
お願いなんて 聞いてくれる訳がない。
もし、私の勝手な行動のせいでルカに迷惑をかけたら……
そんな考えが私の頭の中をよぎった。
「どうしよう……フィリス……」
「大丈夫、私も一緒に行きますから……」
そう言って、フィリスはニコリと微笑んでくれた。
そんなフィリスの言葉を聞いて、私は少し気が楽になった様な気がした。
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