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ルカとウィル先生
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大体の書類整理が終わった辺りで、コンコンと生徒会室の扉がノックされた。
ユーリはそれに答えるように、どうぞ。と言うと、生徒会室の扉がゆっくりと開き、そこから………
「やぁ、頑張ってる?」
「ウィル先生!どうかされましたか?」
「んーちょっとね、君達がそろそろ僕の正体が気になってる頃かな~って、違う?」
そう言ってウィル先生は、ニコリと笑みを浮かべる。
そしてそのまま暫く沈黙が続き、最初に口を開いたのは、ユーリだった。
「正体だなんて……貴方も悪い魔法使いか何かなのですか?」
「わわっ、そんな怖い顔で睨まなくても……安心して、僕は一応君達の味方だから」
「一応………………詳しく聞かせてもらっても?」
美人の笑顔ってこんなにも迫力があるんだ、と私はユーリの笑顔を見て思った。
ウィル先生は、苦笑いしながら教室の奥に進み、ソファに座った。
ウィル先生の後を着いていくように、私達もソファに座るとウィル先生は
話を始めた。
「まず何処から話せばいいかな………とりあえず、僕が悪い奴じゃないって事は
信じてもらって大丈夫だよ。あんな事があったばっかりだからね、疑いたくなる気持ちも分かるけど……今は信じてくれると嬉しいな」
そう言って、ウィル先生は悲しそうな顔をした。
そんなウィル先生を見て、私は胸が苦しくなる。
まるで私が悪い事をしているような気分になったからだ。
「分かりました、疑ってしまってごめんなさい」
「いやいや!君達が謝る必要は無いよ、僕が紛らわしいのが悪いんだから。
それで………僕の正体だったね、と言ってもそんなに凄いものじゃないけれど
僕はこれでも、魔法使いなんだよ」
ウィル先生はそう言って、優雅に微笑んだ。
私はその話をすぐに信じることは出来ずにいたが、ユーリとミホは 驚きもせずに納得している様子だった。
それに気が付いたのか、ウィル先生は苦笑いしながら話を続けた。
「まぁ、この世界だから魔法使いなんて珍しくないもんね、そんな反応になるのも分かるよ」
うんうん、
と頷きながらウィル先生は腕を組んで何かを考え始めた。
そして、考えがまとまったのか人差し指を立てて私達の方を見ながら、口を開いた。
「実はこれでも凄腕の魔法使いでね、聖女様以外で僕に敵う奴なんてそうそういないと思う」
そう言って、ウィル先生は凄いでしょ?と私達に同意を求めてきた。
けれど、私はまだその内容を理解する事に
精一杯で、反応出来ずにぽかんと 口を開けていた。
そんな私の様子を見てウィル先生はクスクスと笑うと話を続けた。
「聖女様とは長い付き合いでね、彼女がこの学園にいた時から面倒を見ていたんだよ」
そう言って、ウィル先生は懐かしそうに目を細めた。
私はそんなウィル先生を見て、ふと疑問に思った事を聞いてみた。
「ルカの面倒って……もしかして、裏の森の事とかを聞いたのって」
「あぁ、聖女様だよ。なんでも、力を付けたいなんて言っててね、僕が練習相手になってあげたんだ」
そう話すウィル先生の目はとても優しくて、嘘なんてついているようには見えなかった、やっぱりルカもあの森へ行ったんだ。
そう思ったら、何だか急に嬉しくなり、私はウィル先生にルカの事をもっと
聞きたいと、頼み込んだ。
ユーリはそれに答えるように、どうぞ。と言うと、生徒会室の扉がゆっくりと開き、そこから………
「やぁ、頑張ってる?」
「ウィル先生!どうかされましたか?」
「んーちょっとね、君達がそろそろ僕の正体が気になってる頃かな~って、違う?」
そう言ってウィル先生は、ニコリと笑みを浮かべる。
そしてそのまま暫く沈黙が続き、最初に口を開いたのは、ユーリだった。
「正体だなんて……貴方も悪い魔法使いか何かなのですか?」
「わわっ、そんな怖い顔で睨まなくても……安心して、僕は一応君達の味方だから」
「一応………………詳しく聞かせてもらっても?」
美人の笑顔ってこんなにも迫力があるんだ、と私はユーリの笑顔を見て思った。
ウィル先生は、苦笑いしながら教室の奥に進み、ソファに座った。
ウィル先生の後を着いていくように、私達もソファに座るとウィル先生は
話を始めた。
「まず何処から話せばいいかな………とりあえず、僕が悪い奴じゃないって事は
信じてもらって大丈夫だよ。あんな事があったばっかりだからね、疑いたくなる気持ちも分かるけど……今は信じてくれると嬉しいな」
そう言って、ウィル先生は悲しそうな顔をした。
そんなウィル先生を見て、私は胸が苦しくなる。
まるで私が悪い事をしているような気分になったからだ。
「分かりました、疑ってしまってごめんなさい」
「いやいや!君達が謝る必要は無いよ、僕が紛らわしいのが悪いんだから。
それで………僕の正体だったね、と言ってもそんなに凄いものじゃないけれど
僕はこれでも、魔法使いなんだよ」
ウィル先生はそう言って、優雅に微笑んだ。
私はその話をすぐに信じることは出来ずにいたが、ユーリとミホは 驚きもせずに納得している様子だった。
それに気が付いたのか、ウィル先生は苦笑いしながら話を続けた。
「まぁ、この世界だから魔法使いなんて珍しくないもんね、そんな反応になるのも分かるよ」
うんうん、
と頷きながらウィル先生は腕を組んで何かを考え始めた。
そして、考えがまとまったのか人差し指を立てて私達の方を見ながら、口を開いた。
「実はこれでも凄腕の魔法使いでね、聖女様以外で僕に敵う奴なんてそうそういないと思う」
そう言って、ウィル先生は凄いでしょ?と私達に同意を求めてきた。
けれど、私はまだその内容を理解する事に
精一杯で、反応出来ずにぽかんと 口を開けていた。
そんな私の様子を見てウィル先生はクスクスと笑うと話を続けた。
「聖女様とは長い付き合いでね、彼女がこの学園にいた時から面倒を見ていたんだよ」
そう言って、ウィル先生は懐かしそうに目を細めた。
私はそんなウィル先生を見て、ふと疑問に思った事を聞いてみた。
「ルカの面倒って……もしかして、裏の森の事とかを聞いたのって」
「あぁ、聖女様だよ。なんでも、力を付けたいなんて言っててね、僕が練習相手になってあげたんだ」
そう話すウィル先生の目はとても優しくて、嘘なんてついているようには見えなかった、やっぱりルカもあの森へ行ったんだ。
そう思ったら、何だか急に嬉しくなり、私はウィル先生にルカの事をもっと
聞きたいと、頼み込んだ。
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