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気まずい朝
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窓から差し込む朝日で目を覚ます。
何だかいつもと違う朝……それは、昨日のフィリスとの事があったからだろう。
私はベッドから体を起こし、軽く背伸びをする。
「ん~~、着替えないと……」
私はパジャマを脱いで、制服に袖を通す。
そして、自分の髪を整えてから鏡でもう一度自分の顔を見る。
「うん、大丈夫……いつもの私だ」
ニコッと、鏡に映る自分に笑いかけると、私は部屋を出た。
********
教室に着くと、中には数人の生徒が自分の席に着いていた。
その中には、フィリスとの姿もあり、私は深呼吸をしてからフィリスの
席まで歩いていく。
「フィリス、おはよう!」
「沙羅!おはようございます」
「えっと……昨日振りだね……?」
「えぇ……」
私達の間に気まずい空気が流れる。
そりゃそうだ、告白されてキスされそうになったのに……何事も無かったかの様に普通に会話できるほど、今の私に余裕はないのだ。
すると、フィリスが私の手を握ってきた。
「昨日の事は気にしないでください、私、沙羅の嫌がる事は絶対にしませんから」
そう言ってニコッとフィリスは私に微笑んだ。
そんなフィリスを見て、私は手を握り返した。
「その……!!今日フィリスに話したい事が……あるの」
「…………分かりました、お昼に中庭でいいですか?」
「うん……!じゃあお昼に!」
そう言って、私達は手を離して自分の席に向かった。
フィリスに私の気持ちを伝える……緊張しないと言ったら嘘になるけれど……
でも、逃げていたら何も始まらない。
*****
午前の授業が終わり、約束のお昼の時間になった。
私達は、いつもお昼を食べている中庭へと向かった。
いつもと同じ場所なのに、緊張のせいか足取りが重い。
それでも、一歩ずつ足を進めて中庭にたどり着くと……フィリスが先にベンチに座っていた。
「ほら、沙羅、こっちですよ?」
そう言ってフィリスが手招きをして私を呼ぶ。
そんなフィリスに私はぎこちない笑顔を浮かべた。
そして、ゆっくりとフィリスの座っているベンチまで歩いていき……隣に座った。
座ると、より一層緊張が襲ってくる。心臓がバクバクとして顔が熱い。
ふぅ、と深呼吸をして口を開こうとしたその瞬間、私達の名前を呼ぶ聞きなれた声と共に、息を切らしたミホが走ってやって来た。
「ミホ!どうしたの?」
「どうしたの~じゃ無いですわ!今日のお昼は生徒会のお手伝いをする
約束ではありませんでしたの!?」
ミホがそう言うので、私はハッとして鞄からスマホを取り出して
メモを見返すと、今日のお昼に生徒会手伝い。と言うメモが残されていた。
やってしまった……そう思った瞬間、自分のお腹がぐぅ~と音を立てた。
その音を聞いたフィリスがクスッと笑い口を開いた。
「お話はまた今度にしましょうか?ミホさん、お弁当を食べてから向かうので少し待ってて、とユーリに伝えておいてもらえますか?」
「えぇ、でも急いでよ!」
そう言って、ミホは校舎の中に走って戻っていった。
そんなミホの背中を見送ってから、お弁当を広げることにした。
何だかいつもと違う朝……それは、昨日のフィリスとの事があったからだろう。
私はベッドから体を起こし、軽く背伸びをする。
「ん~~、着替えないと……」
私はパジャマを脱いで、制服に袖を通す。
そして、自分の髪を整えてから鏡でもう一度自分の顔を見る。
「うん、大丈夫……いつもの私だ」
ニコッと、鏡に映る自分に笑いかけると、私は部屋を出た。
********
教室に着くと、中には数人の生徒が自分の席に着いていた。
その中には、フィリスとの姿もあり、私は深呼吸をしてからフィリスの
席まで歩いていく。
「フィリス、おはよう!」
「沙羅!おはようございます」
「えっと……昨日振りだね……?」
「えぇ……」
私達の間に気まずい空気が流れる。
そりゃそうだ、告白されてキスされそうになったのに……何事も無かったかの様に普通に会話できるほど、今の私に余裕はないのだ。
すると、フィリスが私の手を握ってきた。
「昨日の事は気にしないでください、私、沙羅の嫌がる事は絶対にしませんから」
そう言ってニコッとフィリスは私に微笑んだ。
そんなフィリスを見て、私は手を握り返した。
「その……!!今日フィリスに話したい事が……あるの」
「…………分かりました、お昼に中庭でいいですか?」
「うん……!じゃあお昼に!」
そう言って、私達は手を離して自分の席に向かった。
フィリスに私の気持ちを伝える……緊張しないと言ったら嘘になるけれど……
でも、逃げていたら何も始まらない。
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午前の授業が終わり、約束のお昼の時間になった。
私達は、いつもお昼を食べている中庭へと向かった。
いつもと同じ場所なのに、緊張のせいか足取りが重い。
それでも、一歩ずつ足を進めて中庭にたどり着くと……フィリスが先にベンチに座っていた。
「ほら、沙羅、こっちですよ?」
そう言ってフィリスが手招きをして私を呼ぶ。
そんなフィリスに私はぎこちない笑顔を浮かべた。
そして、ゆっくりとフィリスの座っているベンチまで歩いていき……隣に座った。
座ると、より一層緊張が襲ってくる。心臓がバクバクとして顔が熱い。
ふぅ、と深呼吸をして口を開こうとしたその瞬間、私達の名前を呼ぶ聞きなれた声と共に、息を切らしたミホが走ってやって来た。
「ミホ!どうしたの?」
「どうしたの~じゃ無いですわ!今日のお昼は生徒会のお手伝いをする
約束ではありませんでしたの!?」
ミホがそう言うので、私はハッとして鞄からスマホを取り出して
メモを見返すと、今日のお昼に生徒会手伝い。と言うメモが残されていた。
やってしまった……そう思った瞬間、自分のお腹がぐぅ~と音を立てた。
その音を聞いたフィリスがクスッと笑い口を開いた。
「お話はまた今度にしましょうか?ミホさん、お弁当を食べてから向かうので少し待ってて、とユーリに伝えておいてもらえますか?」
「えぇ、でも急いでよ!」
そう言って、ミホは校舎の中に走って戻っていった。
そんなミホの背中を見送ってから、お弁当を広げることにした。
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