上 下
126 / 321

現れた魔女の気配

しおりを挟む
しばらく三人で話し合って、出た結論は……
まず、魔女がどのタイミングでどんな風に動くかを探ること。
予想では、今日か明日には魔女が動き出すはず、だからまずそのタイミングを見極める。
そして、動くと同時に魔女の居場所を探りそこへ向かう。
「まず、ルークには学園周りの警戒をお願いします、何かあったら私に連絡してください。先生方に何か聞かれたら私に頼まれてと言えば大丈夫なはずです」
私がそういうとルークは分かった。と言い、次にエミリアに視線を向ける。
すると、エミリアは真剣な表情で私を見て答えた。
「ルカ、私は何をすればいい?」
「エミリアは……魔女の動きを監視していて欲しいの、難しい事だとは思うのだけれど……」
私の言葉を聞きエミリアは大丈夫だよと言って頷いた。
エミリアなら、きっと魔女の監視だって完璧にしてくれるはずだ。
あとは……私達が動けるタイミングを見極める。
ルークとエミリアは、学園での警戒もあるため中々動く事が出来ない……だから私は自分で動くことにした。
「私も一人で魔女の動きを探ります、皆別々の
場所から魔女の動きを探っていきましょう」
私がそう言うと、エミリアはゆっくりと頷いた。
ルークは一人で大丈夫なのか……と言って少し不安げな表情を見せたけれど、私は笑顔で大丈夫ですと言った。
だって、私達は一人じゃない……
「私は絶対に皆を助ける……だから、私を信じてください」
と二人に言うと二人は力強く頷いてくれた。
それから私達はそれぞれの配置について話し合いを始めた……
*******
魔女の監視を始めて、数日後の事だった。
いつものように、ルークとエミリアは学園に向かい、私は家で一人魔女の動向を探っていた。
「今日も異常なし……か」
そう思って深くため息をついた、異常が無いのはいい事だけれど、全く動きが見られないのもちょっと困るな……そう思ったとき。
突然、学園の方から嫌な気配と魔力を感じ、私は慌てて二人を学園の近くまで
呼び出した。
「わっ!いきなり魔法で呼び出すだなんて……緊急事態って事?」
「そうみたいだな……学園から感じるこの気配……」
「はい……おそらく魔女です。魔女がいるはずの場所は私の魔法で特定していたのですが、動きが無かったため油断していました……」
「今はそんなやり取りをしてる場合じゃないだろう?」
「そうですね……二人とも私から離れないでくださいね……!」
そう言って私は転移魔法を使い、学園の中へと侵入した。
侵入するとそこは薄暗く、以前裏の森で感じたような不気味な空気が漂っていた。
魔女の魔力を頼りに、私達はどんどん先へと進んでいく。
すると、一際強い魔力が漂っている場所を見つけた。
それは、学園の奥の方にあった生徒会室だった……そして、そこに入ろうとした
時、一人の生徒の姿を見つけた。
こんな所に居たら危険だと、そう思った私はその生徒の姿を見て驚いた。
「フィリス……?」
「えっ!?ルカ!?どうしてここに……」
「それは今はいいんです、ここは危険ですから早く逃げて……」
「沙羅がこの中にまだ残ってるの!私は彼女を置いて逃げれない」
私がそう言うとフィリスはそう言って私に詰めよった。
……まさか、ここに沙羅がいるだなんて、でもフィリスの事も置いておけないし
どうしようかと考えていたらフィリスが口を開いた。
「私も連れて行ってください、私も……沙羅を助けたいんです」
と、フィリスは強い瞳で私を見て言った。
これは私が何を言っても無駄だろうと思い、分かったと言うと、 フィリスはありがとうございますと言いながら頭を下げた。
そして私達は薄暗い生徒会室の中に入っていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました

紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。 ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。 ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。 貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

妹が寝取った婚約者が実は影武者だった件について 〜本当の婚約者は私を溺愛してやみません〜

葉柚
恋愛
妹のアルフォネアは姉であるステファニーの物を奪うことが生きがいを感じている。 小さい頃はお気に入りの洋服やぬいぐるみを取られた。 18歳になり婚約者が出来たら、今度は私の婚約者に色目を使ってきた。 でも、ちょっと待って。 アルフォネアが色目を使っているのは、婚約者であるルーンファクト王子の影武者なんだけど……。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...