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町の教会
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「ほんっっっとーーにごめんなさい!」
エミリアが起きて、開口一番に謝ってきた。
きっと昨日の事を謝っているのだろう、私達は気にしていないと伝えたけれど、それでも申し訳なさそうにしている。
「エミリアが、あんな風になるのなんて久しぶりだったから、楽しかったですよ」
「そ、そう?でも……う~ん……」
まだ、納得出来ていないようだけど、これ以上言っても仕方がないと思ったのだろう。
エミリアは、それ以上何も言わなかった。
それから、私達はすぐにでも出発する事になった。
「あ!おはよう、よく眠れたかい?昨日はうちの常連さんがごめんなさいね」
「いえ、全然大丈夫です!すごく素敵なお宿でした」
朝ごはんを食べようと、食堂に向かうと女将さんに声をかけられた。
どうやら、女将さんも昨日の事を知っていたらしく、申し訳なさそうな顔で謝ってくれた。
私達が笑顔で返すと、ホッとしたような顔をして、朝食を出してくれる。
それを受け取って、席についた。
朝食のメニューは、パンとサラダとスープのシンプルなメニュー
だったけれど、どのお料理もすごく美味しくて、あっという間に食べ終えてしまった。
食後の紅茶を飲んでいると、女将さんが食器を下げに来てくれた。
「今日も観光していくのかい?」
「はい!この辺りで人が多そうな所ってありますか?」
「この辺りだと……教会とか市場かなぁ、後は広場もあるけど」
教会に市場……どちらも見ておきたいけど、時間が足りないかも……
「でも、なんで人が多い所に?」
「この国の方達と交流をしてみたくて」
「なるほどね、じゃあ、これをあげる」
そう言うと、女将さんはメモに地図を書いて渡してくれた。
そこには、色々とお店の名前やメモが書いてある物で、地図と一緒にもらった。
これは、凄く助かる。
ありがとうございますとお礼を言うと、いいんだよと笑いかけてくれた。
そして、私達は宿を出て、まずは教会の方に歩いて行った。
教会は、思ったよりも大きくて立派な建物で、とても綺麗に手入れされていた。
「すご~い!こんなに大きな教会なんて初めて見たかも!」
「……確かに凄いな、俺達の国にも教会はあったがここまでのはなかった」
二人とも感動しているようで、しばらく見上げていると、中に入るように促された。
「どうぞだって!」
「ふふっ、入ってみましょう」
「そうだな、行ってみようか」
そう言って私達は教会の中へと入って行った。
中に入ると、大きなステンドグラスがあって、そこから太陽の光が差し込んでいて、まるでこの場所だけ別世界のような空間が広がっていた。その光景に、思わず息を呑んでしまう。
すると、後ろの方から声をかけられた。
振り返ると、一人の女性が立っていた。
髪は短く、身長も高い、服装は修道服の様な格好をしていて、手には箒を持っている。
「旅のお方ですか?」
そう聞かれたので、はい。と答えると、女性はニッコリ笑って自己紹介をしてくれる。
彼女は、この教会でシスターをやっているらしい。
そして、私達の名前を聞かれた。
隠しているのもおかしいな、と思った私達は素直に答えた。
けれど、シスターの反応は普通で、特に驚く事もなく受け入れてくれて、安心した。けれど、名前を聞いて、何か思い出したのか、ハッとして口を開いた。
「……そう言えば、あなたと同じ名前の聖女様がいるって聞いたことがあるのだけれど、偶然よね?聖女様がこんな所にいるはずがないものね」
シスターはそう言って笑った。
そして、ゆっくりして行ってくださいねと言った後、掃除があるからと言ってその場を離れていった。
「ルカの事こんな遠い所まで噂になってるんだ……」
「私もびっくりしました……」
「それだけルカが凄い聖女だって事だろう?」
「ルーク……ありがとう、そう言われると少し恥ずかしいわね」
「恥ずかしがることないよ!ルカは本当に凄いんだから!」
「ふふっ、エミリアもありがとう。さて、色々と話を聞いて回りましょうか」
「「はーい」」
私達はそう言って、早速、近くの人に話しかけてみることにした。
エミリアが起きて、開口一番に謝ってきた。
きっと昨日の事を謝っているのだろう、私達は気にしていないと伝えたけれど、それでも申し訳なさそうにしている。
「エミリアが、あんな風になるのなんて久しぶりだったから、楽しかったですよ」
「そ、そう?でも……う~ん……」
まだ、納得出来ていないようだけど、これ以上言っても仕方がないと思ったのだろう。
エミリアは、それ以上何も言わなかった。
それから、私達はすぐにでも出発する事になった。
「あ!おはよう、よく眠れたかい?昨日はうちの常連さんがごめんなさいね」
「いえ、全然大丈夫です!すごく素敵なお宿でした」
朝ごはんを食べようと、食堂に向かうと女将さんに声をかけられた。
どうやら、女将さんも昨日の事を知っていたらしく、申し訳なさそうな顔で謝ってくれた。
私達が笑顔で返すと、ホッとしたような顔をして、朝食を出してくれる。
それを受け取って、席についた。
朝食のメニューは、パンとサラダとスープのシンプルなメニュー
だったけれど、どのお料理もすごく美味しくて、あっという間に食べ終えてしまった。
食後の紅茶を飲んでいると、女将さんが食器を下げに来てくれた。
「今日も観光していくのかい?」
「はい!この辺りで人が多そうな所ってありますか?」
「この辺りだと……教会とか市場かなぁ、後は広場もあるけど」
教会に市場……どちらも見ておきたいけど、時間が足りないかも……
「でも、なんで人が多い所に?」
「この国の方達と交流をしてみたくて」
「なるほどね、じゃあ、これをあげる」
そう言うと、女将さんはメモに地図を書いて渡してくれた。
そこには、色々とお店の名前やメモが書いてある物で、地図と一緒にもらった。
これは、凄く助かる。
ありがとうございますとお礼を言うと、いいんだよと笑いかけてくれた。
そして、私達は宿を出て、まずは教会の方に歩いて行った。
教会は、思ったよりも大きくて立派な建物で、とても綺麗に手入れされていた。
「すご~い!こんなに大きな教会なんて初めて見たかも!」
「……確かに凄いな、俺達の国にも教会はあったがここまでのはなかった」
二人とも感動しているようで、しばらく見上げていると、中に入るように促された。
「どうぞだって!」
「ふふっ、入ってみましょう」
「そうだな、行ってみようか」
そう言って私達は教会の中へと入って行った。
中に入ると、大きなステンドグラスがあって、そこから太陽の光が差し込んでいて、まるでこの場所だけ別世界のような空間が広がっていた。その光景に、思わず息を呑んでしまう。
すると、後ろの方から声をかけられた。
振り返ると、一人の女性が立っていた。
髪は短く、身長も高い、服装は修道服の様な格好をしていて、手には箒を持っている。
「旅のお方ですか?」
そう聞かれたので、はい。と答えると、女性はニッコリ笑って自己紹介をしてくれる。
彼女は、この教会でシスターをやっているらしい。
そして、私達の名前を聞かれた。
隠しているのもおかしいな、と思った私達は素直に答えた。
けれど、シスターの反応は普通で、特に驚く事もなく受け入れてくれて、安心した。けれど、名前を聞いて、何か思い出したのか、ハッとして口を開いた。
「……そう言えば、あなたと同じ名前の聖女様がいるって聞いたことがあるのだけれど、偶然よね?聖女様がこんな所にいるはずがないものね」
シスターはそう言って笑った。
そして、ゆっくりして行ってくださいねと言った後、掃除があるからと言ってその場を離れていった。
「ルカの事こんな遠い所まで噂になってるんだ……」
「私もびっくりしました……」
「それだけルカが凄い聖女だって事だろう?」
「ルーク……ありがとう、そう言われると少し恥ずかしいわね」
「恥ずかしがることないよ!ルカは本当に凄いんだから!」
「ふふっ、エミリアもありがとう。さて、色々と話を聞いて回りましょうか」
「「はーい」」
私達はそう言って、早速、近くの人に話しかけてみることにした。
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