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フィリスの本当の気持ち
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私の作ったご飯を、嬉しそうに食べる沙羅を眺めながら私は
ここまで順調に事が運んでいる事に安堵していた。
これで、沙羅の力が覚醒すれば沙羅は聖女として正式に認められるだろう。
……私が何で沙羅の事をここまで気にするのか、それは……
*****
私は小さい頃から聖女に憧れていた。
強くて、綺麗で、優しくて……聖女に憧れない子なんてきっといないだろう。
小さい頃の私は聖女になる為、努力を沢山重ねてきた。
けれど、両親から告げられたのは、私に聖女になる為の素質がないと言う残酷な事実だった。
聖女とは、神に愛された女性でなくてはならない。
けれど、小さい頃の私は魔力が少し強いだけの女の子で、聖女には到底なれるような存在ではなかったのだ。
その瞬間、聖女になる事は諦めよう……ただの憧れでいようと……。
けれど、出会ってしまった『高木沙羅』に。
彼女は異世界から現れた女の子。
彼女は周りから聖女と呼ばれていて、しかも、あの聖女様に可愛がられていると噂になっていた。
正直、嫉妬した。正直憎いと思ってしまった時もあった。
聖女に憧れて、努力して努力して……それなのに素質無いと言われてしまった私に対して、魔法も聖女も知らないであろう、異世界からやってきた女の子は
聖女だと崇められ、可愛いがられて……これが憎く無い訳がないだろう?
だから、私は沙羅の事を避け、話が入ってこないようにしていたのに……
沙羅がこの学園に入学すると言う話を先生達から告げられた。
沙羅は私と同い年らしく、先生たちに『君なら聖女様を安心して任せられるからよろしくな』なんてこと言われ、どうして私があの子なんかを……とあの時は思っていた。
沙羅の顔を見ると、あの時感じた嫉妬……憎しみ……色々な感情が私を襲った。
けれど、そんな感情を表に出してはいけない。私は自分の気持ちを押し込んで沙羅と会話をした。
沙羅は人懐っこい性格で、誰にでもニコニコと笑顔を振りまくような、そんな女の子だった。聖女、と呼ばれるのも納得できるような女の子で
『こんな子を私は……嫉妬して……勝手に憎んで……私が聖女になれないのも当然ね』あの時の私はそんな事を考えていたと思う。
沙羅と触れ合っていく内に私に一つの感情が生まれた、それは”好き”と言う感情。
それは家族や友達へ向ける感情では無くて……けれど、沙羅の気持ちが
私に向いていない事ぐらい私にだって分かる。
沙羅はきっとルカの事が好き………それが、私と同じ気持ちなのかは分からないけれど。
だから私は、沙羅の為ならなんだってしてあげたい……
その為にまずは、聖女の力を覚醒させてあげなくちゃ。
そう思った私は沙羅に森へ行こうと誘ったが先約があると言われてしまう。
先約とは、どうやら聖女様達と遊ぶ約束だったようで、一緒に行けば沙羅の事をもっと分かる様になるかも!と無理やりついて行くことを決めた。
……あのお泊り会のお陰か、私と沙羅は前よりも、もっと仲良くなれた気がする。あの時、お泊りをしたいと言ってきたエミリアには感謝してもしきれない。
*****
「沙羅?」
「ん?なぁに?」
「好きです」
「私も、フィリスの事好きだよ!」
そう言って、ぱぁっと明るい笑みを浮かべる沙羅。
沙羅と私の好きは違うよ。そう言いたい気持ちを抑えて私はにっこりと笑顔を返した。沙羅……大好きですよ。
ここまで順調に事が運んでいる事に安堵していた。
これで、沙羅の力が覚醒すれば沙羅は聖女として正式に認められるだろう。
……私が何で沙羅の事をここまで気にするのか、それは……
*****
私は小さい頃から聖女に憧れていた。
強くて、綺麗で、優しくて……聖女に憧れない子なんてきっといないだろう。
小さい頃の私は聖女になる為、努力を沢山重ねてきた。
けれど、両親から告げられたのは、私に聖女になる為の素質がないと言う残酷な事実だった。
聖女とは、神に愛された女性でなくてはならない。
けれど、小さい頃の私は魔力が少し強いだけの女の子で、聖女には到底なれるような存在ではなかったのだ。
その瞬間、聖女になる事は諦めよう……ただの憧れでいようと……。
けれど、出会ってしまった『高木沙羅』に。
彼女は異世界から現れた女の子。
彼女は周りから聖女と呼ばれていて、しかも、あの聖女様に可愛がられていると噂になっていた。
正直、嫉妬した。正直憎いと思ってしまった時もあった。
聖女に憧れて、努力して努力して……それなのに素質無いと言われてしまった私に対して、魔法も聖女も知らないであろう、異世界からやってきた女の子は
聖女だと崇められ、可愛いがられて……これが憎く無い訳がないだろう?
だから、私は沙羅の事を避け、話が入ってこないようにしていたのに……
沙羅がこの学園に入学すると言う話を先生達から告げられた。
沙羅は私と同い年らしく、先生たちに『君なら聖女様を安心して任せられるからよろしくな』なんてこと言われ、どうして私があの子なんかを……とあの時は思っていた。
沙羅の顔を見ると、あの時感じた嫉妬……憎しみ……色々な感情が私を襲った。
けれど、そんな感情を表に出してはいけない。私は自分の気持ちを押し込んで沙羅と会話をした。
沙羅は人懐っこい性格で、誰にでもニコニコと笑顔を振りまくような、そんな女の子だった。聖女、と呼ばれるのも納得できるような女の子で
『こんな子を私は……嫉妬して……勝手に憎んで……私が聖女になれないのも当然ね』あの時の私はそんな事を考えていたと思う。
沙羅と触れ合っていく内に私に一つの感情が生まれた、それは”好き”と言う感情。
それは家族や友達へ向ける感情では無くて……けれど、沙羅の気持ちが
私に向いていない事ぐらい私にだって分かる。
沙羅はきっとルカの事が好き………それが、私と同じ気持ちなのかは分からないけれど。
だから私は、沙羅の為ならなんだってしてあげたい……
その為にまずは、聖女の力を覚醒させてあげなくちゃ。
そう思った私は沙羅に森へ行こうと誘ったが先約があると言われてしまう。
先約とは、どうやら聖女様達と遊ぶ約束だったようで、一緒に行けば沙羅の事をもっと分かる様になるかも!と無理やりついて行くことを決めた。
……あのお泊り会のお陰か、私と沙羅は前よりも、もっと仲良くなれた気がする。あの時、お泊りをしたいと言ってきたエミリアには感謝してもしきれない。
*****
「沙羅?」
「ん?なぁに?」
「好きです」
「私も、フィリスの事好きだよ!」
そう言って、ぱぁっと明るい笑みを浮かべる沙羅。
沙羅と私の好きは違うよ。そう言いたい気持ちを抑えて私はにっこりと笑顔を返した。沙羅……大好きですよ。
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