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不安と悩み
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「そういえば、さっきムルを助けたいって言っていたけど……」
「うん、夢を見たんだ。悪いやつにムルが連れ去られる夢……」
「エミリアも夢を?」
「と言う事はルークも見たんだ?」
何となく、エミリアの言葉に引っ掛かっていたけれど、エミリアも夢を見ていたんだ。
エミリアも力を持つ者だから予知夢を見る事はあるだろうけれど
多分、これはムルの力なんだろう。
ムルが俺達に助けを求める為に力を飛ばして夢を見せた。
精霊のムルなら簡単にできる筈だ。
「ねぇ、ルーク」
「ん?なんだ」
「この事はルカに伝えるの?」
「いや、伝えたらきっと心配して私も行くと言うだろうからな……」
「そっか、私もそれでいいと思う」
俺がそう言うと、エミリアは納得したように首を縦に振った。
きっと、エミリアも俺と同じ事を考えていたのだと思う。
ルカの性格上、自分だけ安全な場所に居るなんて出来ないはずだ。
だからこそ、ルカには伝えない。
そんな会話をしていた時、エミリアのスマホが鳴った。
エミリアは、出ようか悩んでいるようだったので、俺が出ていいよ。
と言うと、エミリアはありがとう。と言って電話に出た。
「もしもし、ルカ?」
どうやら、電話の相手はルカだったらしい。
タイミングがいいのか、悪いのか……
『もしもし、エミリア?家に行ってもいなかったから……』
「ご、ごめんね~今少し出掛けてて……それで、電話してくるって事は何か大切な用事だったんでしょ?」
『うん、あのね……沙羅が今度の休みに皆に会いたいって……大丈夫かな……?』
「沙羅が?そっか…沙羅は学園に入ったんだっけ。私は全然大丈夫だよ!」
『ほんと!じゃあ、あとはルークだけど……』
「きっと、大丈夫じゃない?」
『そうよね、明日ルークに電話して聞いてみる』
「うん、きっといいって言ってくれるよ!」
『そうだといいんだけれど……それじゃあ、またね』
「うん、バイバイ~」
どうやら、電話は終わったようで、エミリアは電話を切った。
話は良く聞こえなかったけれど、どうやら沙羅が休みの日に俺達に会いたい
と言う話だったみたいだ。
沙羅が学園に入学して数か月が経っただろうか。
きっと、沙羅も話したいことが沢山あるのだろうと想像出来る。
明日、ルカから電話がかかってきた時は了承しようと心に決めた。
「はぁ~それにしてもびっくりした~ルカの話をしてたらルカから電話が掛かってくるんだもん」
「あぁ、まるで俺達がルカの話をしてるのを知っていたようなタイミングの良さだったな」
「ルカならあり得るかもね~」
そう言ってエミリアはクスクス笑いながら笑っている。
本当に、ルカならあり得そうな気がするがするから不思議だ。
「あ、もうこんな時間なのか……」
「ほんとだ!早く帰らないと怒られちゃう」
「もしかして……何も言わずに家を出てきたのか?」
「あたり~よくわかったね?」
「エミリアの事だからね、送って行こうか?」
「ううん、一人で大丈夫」
「そっか、気を付けて帰るんだぞ?」
「は~い!じゃあ、また後で!」
「あぁ、またな」
エミリアを玄関まで送り届けた後、俺は部屋に戻りベッドに横になった。
ルカの事……沙羅の事……そしてムルの事。
考えることが沢山あって、頭がパンクしてしまいそうになっている。
俺達はこれから何が起きるか分からない。
その時、後悔しないように考えなければいけない。
俺は目を閉じ、深く息を吸いゆっくりと吐き出す。
「黒服の男……一体何者なんだ……」
俺はまだ見ぬ敵に不安を抱きながらも眠りについた。
「うん、夢を見たんだ。悪いやつにムルが連れ去られる夢……」
「エミリアも夢を?」
「と言う事はルークも見たんだ?」
何となく、エミリアの言葉に引っ掛かっていたけれど、エミリアも夢を見ていたんだ。
エミリアも力を持つ者だから予知夢を見る事はあるだろうけれど
多分、これはムルの力なんだろう。
ムルが俺達に助けを求める為に力を飛ばして夢を見せた。
精霊のムルなら簡単にできる筈だ。
「ねぇ、ルーク」
「ん?なんだ」
「この事はルカに伝えるの?」
「いや、伝えたらきっと心配して私も行くと言うだろうからな……」
「そっか、私もそれでいいと思う」
俺がそう言うと、エミリアは納得したように首を縦に振った。
きっと、エミリアも俺と同じ事を考えていたのだと思う。
ルカの性格上、自分だけ安全な場所に居るなんて出来ないはずだ。
だからこそ、ルカには伝えない。
そんな会話をしていた時、エミリアのスマホが鳴った。
エミリアは、出ようか悩んでいるようだったので、俺が出ていいよ。
と言うと、エミリアはありがとう。と言って電話に出た。
「もしもし、ルカ?」
どうやら、電話の相手はルカだったらしい。
タイミングがいいのか、悪いのか……
『もしもし、エミリア?家に行ってもいなかったから……』
「ご、ごめんね~今少し出掛けてて……それで、電話してくるって事は何か大切な用事だったんでしょ?」
『うん、あのね……沙羅が今度の休みに皆に会いたいって……大丈夫かな……?』
「沙羅が?そっか…沙羅は学園に入ったんだっけ。私は全然大丈夫だよ!」
『ほんと!じゃあ、あとはルークだけど……』
「きっと、大丈夫じゃない?」
『そうよね、明日ルークに電話して聞いてみる』
「うん、きっといいって言ってくれるよ!」
『そうだといいんだけれど……それじゃあ、またね』
「うん、バイバイ~」
どうやら、電話は終わったようで、エミリアは電話を切った。
話は良く聞こえなかったけれど、どうやら沙羅が休みの日に俺達に会いたい
と言う話だったみたいだ。
沙羅が学園に入学して数か月が経っただろうか。
きっと、沙羅も話したいことが沢山あるのだろうと想像出来る。
明日、ルカから電話がかかってきた時は了承しようと心に決めた。
「はぁ~それにしてもびっくりした~ルカの話をしてたらルカから電話が掛かってくるんだもん」
「あぁ、まるで俺達がルカの話をしてるのを知っていたようなタイミングの良さだったな」
「ルカならあり得るかもね~」
そう言ってエミリアはクスクス笑いながら笑っている。
本当に、ルカならあり得そうな気がするがするから不思議だ。
「あ、もうこんな時間なのか……」
「ほんとだ!早く帰らないと怒られちゃう」
「もしかして……何も言わずに家を出てきたのか?」
「あたり~よくわかったね?」
「エミリアの事だからね、送って行こうか?」
「ううん、一人で大丈夫」
「そっか、気を付けて帰るんだぞ?」
「は~い!じゃあ、また後で!」
「あぁ、またな」
エミリアを玄関まで送り届けた後、俺は部屋に戻りベッドに横になった。
ルカの事……沙羅の事……そしてムルの事。
考えることが沢山あって、頭がパンクしてしまいそうになっている。
俺達はこれから何が起きるか分からない。
その時、後悔しないように考えなければいけない。
俺は目を閉じ、深く息を吸いゆっくりと吐き出す。
「黒服の男……一体何者なんだ……」
俺はまだ見ぬ敵に不安を抱きながらも眠りについた。
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