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最後の試験
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「うん、ここまで出来れば大丈夫ね」
沙羅が解いた問題を見て呟く。
最初の頃に比べれば、見違えるくらいの成長ぶりだ。
「最初はこの国の言葉も、歴史も全然だったのに……よく頑張ったわね」
「ううん、ルカの教え方が上手だからだよ~」
私は、沙羅に微笑む。
沙羅にそう言ってもらえると、教えた甲斐があったと言うものだ。
「ありがとう、でもこれは沙羅が凄く頑張ったからですよ」
私がそう言うと、沙羅は少し照れたように笑った。
そして、机の上に置いてあるテキストとノートを片付ける。
「さて、次は魔法のお勉強をしましょうか」
「よろしくお願いします……!」
沙羅は、私に向かって頭を下げる。
魔法に関しては、基礎的なことはもうほとんど教え終わっているから、後は実践で使えるかどうかと言うところ。
「基礎は大体教え終えましたから、今日は応用を教えます」
「ほんと……!!」
沙羅は、嬉しそうに声を上げる。
私としても、沙羅がこんなにも早く成長してくれるとは思っていなかったから、嬉しい誤算。
「さぁ、始めましょうか」
「よろしくお願いしますっ!」
こうして魔法のお勉強が今日も始まった。
沙羅は、聖女と呼ばれるだけあって、魔力がかなり強い。
最初の頃は魔法の制御も出来なくて、魔力があるのに魔法が上手く使えない事
があったりしたけれど、それも今ではすっかりなくなった。
そして今日はいよいよ、光魔法の中でも一番重要な治癒の力を教える日。
まずは、自分の中に流れる魔力を感じ取ることから始める。
目を閉じて、自分の中にある魔力に意識を集中させる。
「そう上手……そのまま……この花に魔法を注ぐイメージで」
私はそう言って、テーブルの上に飾ってあった、少し枯れかかった小さな薔薇を指差す。
「分かった……やってみる……」
そう言って、沙羅は集中して両手をかざす。
すると、すぐに沙羅の手のひらに淡い光が宿り、光は徐々に大きくなっていく。
そして、光の玉になったところで、その光をそっと薔薇にかざすと、 見る間に萎れていた薔薇は生き返ったかのように元気を取り戻した。
「やった……!!」
「えぇ、これで完璧ですね」
沙羅は、嬉しそうに笑みをこぼす。
この短期間でこれだけ出来るようになったのだ。
沙羅の才能は計り知れない。
きっとこの子は、素晴らしい聖女になれる。
そう確信した。
沙羅は、嬉しそうな表情のまま私を見つめている。
そんな沙羅の頭を撫でてあげる。
「よく頑張りましたね、これで魔法も合格です」
「ほんと……?やったぁ~!!」
「これで、入学試験もバッチリですね」
「うん………!本当にありがとう、私なんかの為に……」
「私なんか、なんて言わないの。
沙羅はもっと自分に自信を持っていいんですよ」
そう言いながら、私は沙羅を抱きしめる。
沙羅はとても優しい子。
自分の事よりも、他人の事を気にしてしまう。
それは、とてもいいことだけど、もう少し自分の事を大切にして欲しいと思う。
「うん……そうだね、ありがとうルカ」
私の腕の中で、沙羅は幸せそうに目を細めた。
沙羅が解いた問題を見て呟く。
最初の頃に比べれば、見違えるくらいの成長ぶりだ。
「最初はこの国の言葉も、歴史も全然だったのに……よく頑張ったわね」
「ううん、ルカの教え方が上手だからだよ~」
私は、沙羅に微笑む。
沙羅にそう言ってもらえると、教えた甲斐があったと言うものだ。
「ありがとう、でもこれは沙羅が凄く頑張ったからですよ」
私がそう言うと、沙羅は少し照れたように笑った。
そして、机の上に置いてあるテキストとノートを片付ける。
「さて、次は魔法のお勉強をしましょうか」
「よろしくお願いします……!」
沙羅は、私に向かって頭を下げる。
魔法に関しては、基礎的なことはもうほとんど教え終わっているから、後は実践で使えるかどうかと言うところ。
「基礎は大体教え終えましたから、今日は応用を教えます」
「ほんと……!!」
沙羅は、嬉しそうに声を上げる。
私としても、沙羅がこんなにも早く成長してくれるとは思っていなかったから、嬉しい誤算。
「さぁ、始めましょうか」
「よろしくお願いしますっ!」
こうして魔法のお勉強が今日も始まった。
沙羅は、聖女と呼ばれるだけあって、魔力がかなり強い。
最初の頃は魔法の制御も出来なくて、魔力があるのに魔法が上手く使えない事
があったりしたけれど、それも今ではすっかりなくなった。
そして今日はいよいよ、光魔法の中でも一番重要な治癒の力を教える日。
まずは、自分の中に流れる魔力を感じ取ることから始める。
目を閉じて、自分の中にある魔力に意識を集中させる。
「そう上手……そのまま……この花に魔法を注ぐイメージで」
私はそう言って、テーブルの上に飾ってあった、少し枯れかかった小さな薔薇を指差す。
「分かった……やってみる……」
そう言って、沙羅は集中して両手をかざす。
すると、すぐに沙羅の手のひらに淡い光が宿り、光は徐々に大きくなっていく。
そして、光の玉になったところで、その光をそっと薔薇にかざすと、 見る間に萎れていた薔薇は生き返ったかのように元気を取り戻した。
「やった……!!」
「えぇ、これで完璧ですね」
沙羅は、嬉しそうに笑みをこぼす。
この短期間でこれだけ出来るようになったのだ。
沙羅の才能は計り知れない。
きっとこの子は、素晴らしい聖女になれる。
そう確信した。
沙羅は、嬉しそうな表情のまま私を見つめている。
そんな沙羅の頭を撫でてあげる。
「よく頑張りましたね、これで魔法も合格です」
「ほんと……?やったぁ~!!」
「これで、入学試験もバッチリですね」
「うん………!本当にありがとう、私なんかの為に……」
「私なんか、なんて言わないの。
沙羅はもっと自分に自信を持っていいんですよ」
そう言いながら、私は沙羅を抱きしめる。
沙羅はとても優しい子。
自分の事よりも、他人の事を気にしてしまう。
それは、とてもいいことだけど、もう少し自分の事を大切にして欲しいと思う。
「うん……そうだね、ありがとうルカ」
私の腕の中で、沙羅は幸せそうに目を細めた。
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