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沙羅の気持ち

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エミリアの話を聞いた時、私は凄く驚いた。
だって、私なんかがこんな大役を任せて貰えるなんて思ってもいなかったから。
はぁ……とため息を吐きながら机の上に突っ伏す。
学園に入るための勉強をしようと机に向かったけれど、さっきの事が気になって集中できそうにない。
もう一度深く溜息を吐いて、椅子から立ち上がる。
そして、部屋の中をぐるっと見渡してから、窓を開けベランダに出る。
外は日が沈みかけており、空がオレンジ色に染まっていた。
この時間帯になると、涼しい風が頬を撫でる。
私はその風に身を委ねるように目を閉じた。
「……私にできるのかなぁ」
そう呟いて、もう一度空を見上げる。
皆とルカのやり取りを見て、正直羨ましいな。と思ってしまった。
ルカは、皆に愛されて、必要とされている。
それに比べて私は……とそこまで考えてハッとする。
だめだ、そんなこと考えたら……
ぶんぶんと頭を振り、嫌な考えを消すように首を振る。
私の事だって、皆が助けようと動いてくれているし
、私だって皆の為に何か したいと思っている。
そう、思っているはずなのに……
どうしてこんなにも不安で押しつぶされそうになるのだろうか。
皆にはあんな事を言ったけれど……本当に成功するかも分からないし……
でも、今は行動しないと何も始まらない。
「私も愛されたいなぁ……なんて、贅沢かな」
そんなセリフを吐いて、自嘲気味に笑う。
その時、ふわりと私の髪を揺らすような優しい風が吹いた。
まるで、大丈夫だよ。と言われている気がして、心が軽くなった。
「そうだよね、ここで諦めたら何も始まらないもんね」
そう呟いて、よしっ!と両手で軽く自分の頬を叩き気合を入れた。
それから、勉強を再開する為に机に戻りテキストを開いて、ペンを握る。
まだ不安はあるけれど、ずっと不安で沈んでばかりいたらルカに、皆に心配をかけてしまう。私は、私に出来る事を精一杯やろう。 
*****
「ん~っ、あれ……もうこんな時間だ」
背伸びをして机の上の時計を見る。
いつの間にか時間は七時を過ぎており、もうすぐで夕飯の時間になる所。
私は、急いで机の上のテキスト達を片付けて、メイドさん達が呼びに来るのを
自室で大人しく待つことにした。
「ふぅ……今日は結構進めたかも」
片付けながらそんな事を呟いていたら、コンコンと扉をノックする音が聞こえたので、どうぞ。と言うと、失礼します。と言いながら一人のメイドが入ってきた。
「沙羅様、お食事の用意が出来ました」
そう言われて、はーいと返事をすると、私は急いで食堂へと向かった。
私が席に着き、暫くするとアルマがやってきて、いつものように向かい合う形で座った。
今日、あんな話をしたばかりだからアルマに会うのは少し緊張したけれど、アルマの様子はいつもと変わらなくて、少しだけ安心した。
相変わらず、会話も何もない食事の時間で、早く終わらないかと思っていたら、珍しくアルマの方から話しかけてきた。
内容は、最近のルカの様子の事だった。
ルカは最近どうだ?とか。俺の事を何か言っていたか?とか、私は聖女様とは
あまりお話しないので……と適当に返して、食事を再開した。
私は私に出来ることを……頑張らないとね。
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