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第01章
04 意外と危なかったみたい
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この街へ帰ってきたお姉ちゃんはようやく僕を見つけた。しかしその時の僕は追いかけられて、いっぱい殴られて、まさに死ぬ寸前だった。
「もう、だめかと思った。でも、でもね。ほんのちょっとだけ、ほんのちょっとだけあなたが動いて、私、慌ててポーションを使ったの。でも、何本も使ったのに、あまりよくならなくて」
動いたというのは、おそらくだけど僕が最期に助けを呼んだ時だと思う、よかったお姉ちゃんに届いたんだ。それからポーションについてだけど、以前聞いた話ではポーションというのはけがなどをすぐに直してくれる薬なんだけど、ものすごく高価で、一本馬車一台分の値段がするらしい。そのためめったに出回ることがなく、一般庶民では一生見ることがないようなものだ。まさかお姉ちゃんはそれを何本も僕のために使ってくれたという。しかもそれだけでは僕の傷は治らず、途方に暮れたという。
「でも、幸い仲間の、さっき話した教会関係者の子、リレーテレスって言うのだけど、その子が回復魔法をかけてくれて、それで何とか完治させることができたの」
お姉ちゃんはそこで嬉しそうに話すけど、回復魔法だって普通はそうそうかけてもらえることはない。確か教会に高いお布施というものを払わないとだめだと聞いた。
「そうですね。ですが、本当に危なかったのですよ」
お姉ちゃんとは別の声が部屋に響いたので、そちらを見ると、ちょっと小柄で白い神官の服を着た綺麗な女の人が何かお盆をもって立っていた。
「テレス? あっ、もしかしてもうそんな時間?」
「ええ、お昼です。それにしてもよかったです意識も戻ったようですね」
「うん、テレスのおかげよ。本当にありがとう」
「いえ、当たり前のことをしただけです」
「それよりよぉ、さっき言ったのってどういうことだテレス」
また別の声が聞こえてきた。その人もお盆を持っているんだけど、というか大きい、言葉遣いも男の人みたいだけど女の人だ。それは間違いないと思う。だって、お胸があるし綺麗だから。それにしてもなんでこの人あんな格好をしているのかな。寒くないのかな。そう思ってしまう。
「クリスも来たの?」
「ああ、あたいもここで食おうと思ってね。おっと、お前がプリオだろ、あたいはクリスメリア、クリスと呼んでくれ、あと、言っておくけど一応女だ」
「一応って、まぁいいです。えっと、私は先ほどパレマが紹介していましたリレーテレスといいます。プリマティオ君、意識を取り戻したようでよかったですね」
「う、うん」
「いや、それでよぉ。テレス」
「先ほどの質問ですね」
「おう、それそれ、どういうことだ?」
「私も気になるんだけど、危なかったって?」
これについては僕も気になる。自分のことだし、危なかったってどういうことだろうか。
「文字通りです。今だから言えることですが、実はあの時プリマティオ君の魂は肉体から離れていたのです。つまり、正確には1分ほどですが、亡くなっていたということです」
「えっ!?」
「おいおいおい、まじかよ!」
「?」
なんと僕は約1分死んでいたという、これには僕もさすがに驚いた。というか、お姉ちゃんたちも驚いている。
「だ、大丈夫なの?」
「はい、今はしっかりと定着していますから問題ありません。ですが、プリマティオ君聞きますが、もしかしてその間、誰かに会いませんでしたか?」
「え、ええと」
「誰に会うってんだよ」
「教会の記録に、今回のプリマティオ君のように一時的に亡くなった方のものがあります。それによるとその亡くなっている間にある方にお会いしていることがあるのです」
「一体誰に?」
「女神様です。実は教会にある女神像や肖像画はそんな彼らの証言に基づいて描かれたものなのです。ちなみにこちらが女神像、いかがですプリマティオ君見覚えはありませんか?」
そう言ってテレスお姉ちゃんが像を見せてくれたけれど、確かに見覚えがあった。
「う、うん、あった。すごくきれいなひとだった」
「やはり、それで女神様はなにかおっしゃいましたか?」
「うん、ごめんなさいって」
「ごめんなさい? 女神様が謝ったの?」
「うん、それから、あっそうだ。確か起きたら近くの人にもう一度鑑定してもらってって言ってた」
「鑑定、ですか、それならおそらく私のことでしょう。私は鑑定スキルを持っていますから」
鑑定のスキルって結構珍しいって聞いたけれど、テレスお姉ちゃんそんなすごいの持っているんだ。
「テレスおねえちゃん、すごいんだね」
「はぅ、え、ええそれほどではありません」
「あははっ、おいテレス、はぅ、ってなんだよ。はぅって!」
テレスお姉ちゃんの反応が面白かったのか、クリスお姉ちゃんが笑っている。
「うるさいですよ。それよりまずはご飯にしましょう、せっかくの料理が冷めてしまいます。鑑定は食事の後にしましょう。いいですか?」
「おう、あたいはそれでいいぜ。というか腹減ったしな」
「そうね。そうしましょう、マティオは食べられる」
「うん、お腹空いた」
それからこの部屋にあるテーブルで、テレスお姉ちゃんとクリスお姉ちゃんがご飯を食べ始め、僕はベッドの上で、まだ病み上がりだからといってお姉ちゃんに食べさせてもらった。久しぶりにおなか一杯食べたというと、お姉ちゃんとテレスお姉ちゃんが涙を流し、クリスお姉ちゃんがもっと食えって言って、自分の分まで僕のお皿に入れてきた。そんなにぎやかで騒がしい食事も本当に久しぶりで、僕まで涙があふれてきてしまった。
「もう、だめかと思った。でも、でもね。ほんのちょっとだけ、ほんのちょっとだけあなたが動いて、私、慌ててポーションを使ったの。でも、何本も使ったのに、あまりよくならなくて」
動いたというのは、おそらくだけど僕が最期に助けを呼んだ時だと思う、よかったお姉ちゃんに届いたんだ。それからポーションについてだけど、以前聞いた話ではポーションというのはけがなどをすぐに直してくれる薬なんだけど、ものすごく高価で、一本馬車一台分の値段がするらしい。そのためめったに出回ることがなく、一般庶民では一生見ることがないようなものだ。まさかお姉ちゃんはそれを何本も僕のために使ってくれたという。しかもそれだけでは僕の傷は治らず、途方に暮れたという。
「でも、幸い仲間の、さっき話した教会関係者の子、リレーテレスって言うのだけど、その子が回復魔法をかけてくれて、それで何とか完治させることができたの」
お姉ちゃんはそこで嬉しそうに話すけど、回復魔法だって普通はそうそうかけてもらえることはない。確か教会に高いお布施というものを払わないとだめだと聞いた。
「そうですね。ですが、本当に危なかったのですよ」
お姉ちゃんとは別の声が部屋に響いたので、そちらを見ると、ちょっと小柄で白い神官の服を着た綺麗な女の人が何かお盆をもって立っていた。
「テレス? あっ、もしかしてもうそんな時間?」
「ええ、お昼です。それにしてもよかったです意識も戻ったようですね」
「うん、テレスのおかげよ。本当にありがとう」
「いえ、当たり前のことをしただけです」
「それよりよぉ、さっき言ったのってどういうことだテレス」
また別の声が聞こえてきた。その人もお盆を持っているんだけど、というか大きい、言葉遣いも男の人みたいだけど女の人だ。それは間違いないと思う。だって、お胸があるし綺麗だから。それにしてもなんでこの人あんな格好をしているのかな。寒くないのかな。そう思ってしまう。
「クリスも来たの?」
「ああ、あたいもここで食おうと思ってね。おっと、お前がプリオだろ、あたいはクリスメリア、クリスと呼んでくれ、あと、言っておくけど一応女だ」
「一応って、まぁいいです。えっと、私は先ほどパレマが紹介していましたリレーテレスといいます。プリマティオ君、意識を取り戻したようでよかったですね」
「う、うん」
「いや、それでよぉ。テレス」
「先ほどの質問ですね」
「おう、それそれ、どういうことだ?」
「私も気になるんだけど、危なかったって?」
これについては僕も気になる。自分のことだし、危なかったってどういうことだろうか。
「文字通りです。今だから言えることですが、実はあの時プリマティオ君の魂は肉体から離れていたのです。つまり、正確には1分ほどですが、亡くなっていたということです」
「えっ!?」
「おいおいおい、まじかよ!」
「?」
なんと僕は約1分死んでいたという、これには僕もさすがに驚いた。というか、お姉ちゃんたちも驚いている。
「だ、大丈夫なの?」
「はい、今はしっかりと定着していますから問題ありません。ですが、プリマティオ君聞きますが、もしかしてその間、誰かに会いませんでしたか?」
「え、ええと」
「誰に会うってんだよ」
「教会の記録に、今回のプリマティオ君のように一時的に亡くなった方のものがあります。それによるとその亡くなっている間にある方にお会いしていることがあるのです」
「一体誰に?」
「女神様です。実は教会にある女神像や肖像画はそんな彼らの証言に基づいて描かれたものなのです。ちなみにこちらが女神像、いかがですプリマティオ君見覚えはありませんか?」
そう言ってテレスお姉ちゃんが像を見せてくれたけれど、確かに見覚えがあった。
「う、うん、あった。すごくきれいなひとだった」
「やはり、それで女神様はなにかおっしゃいましたか?」
「うん、ごめんなさいって」
「ごめんなさい? 女神様が謝ったの?」
「うん、それから、あっそうだ。確か起きたら近くの人にもう一度鑑定してもらってって言ってた」
「鑑定、ですか、それならおそらく私のことでしょう。私は鑑定スキルを持っていますから」
鑑定のスキルって結構珍しいって聞いたけれど、テレスお姉ちゃんそんなすごいの持っているんだ。
「テレスおねえちゃん、すごいんだね」
「はぅ、え、ええそれほどではありません」
「あははっ、おいテレス、はぅ、ってなんだよ。はぅって!」
テレスお姉ちゃんの反応が面白かったのか、クリスお姉ちゃんが笑っている。
「うるさいですよ。それよりまずはご飯にしましょう、せっかくの料理が冷めてしまいます。鑑定は食事の後にしましょう。いいですか?」
「おう、あたいはそれでいいぜ。というか腹減ったしな」
「そうね。そうしましょう、マティオは食べられる」
「うん、お腹空いた」
それからこの部屋にあるテーブルで、テレスお姉ちゃんとクリスお姉ちゃんがご飯を食べ始め、僕はベッドの上で、まだ病み上がりだからといってお姉ちゃんに食べさせてもらった。久しぶりにおなか一杯食べたというと、お姉ちゃんとテレスお姉ちゃんが涙を流し、クリスお姉ちゃんがもっと食えって言って、自分の分まで僕のお皿に入れてきた。そんなにぎやかで騒がしい食事も本当に久しぶりで、僕まで涙があふれてきてしまった。
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