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第02章 旅立ちと出会い

10 新たな孤児院

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 翌日

 昨日は宴会の後、村から連れてきた者たちとポリーを連れてもう一度村へと帰った。
 というのも、孤児院は現在元の建物が1つ残るだけで、あとは更地だ。
 孤児院の建物は小さく、子供たちだけで手いっぱいで、村の者たちが泊まれる場所なんてものはない。
 そこで、俺が転移で村へ送ったというわけだ。

 俺たち、つまり俺とシュンナ、ダンクスの3人は昨日に引き続きワイエノの家に泊まることとなった。

 そんで、朝から孤児院にきて、さらに村まで行って来てくれる村人とポリーを連れてきた。

「それじゃ、さっそく始めるか」
「だな」

 ダンクスの言葉に俺が返事をして、”収納”から、昨日の解体で出した木材の破片をすべて出した。

「スニル、どうするんだ。そんな木片ばかり」

 男衆の1人が俺がなぜ木片を出したのかと聞いてきた。

「見てればわかる……”活性””癒着”」

 俺は2つの魔法を行使、すると、木片が光り輝いたかと思ったら、次の瞬間木片が数本の角材へと変化した。

「なっ!」
「な、なにが……!」

 それを見ていた者たちが一斉に驚いた。
 俺が行使した魔法は植物魔法で、”活性”は植物の細胞を活性化させる魔法で、それからもう1つ”癒着”は細胞同士をくっつける魔法だ。
 これにより、同じ植物であれば木片を1つの木材にすることが可能となる。尤も、普通の魔法だと、ここまできれいな角材にはできない。
 そこはほれ、魔法式をいじって俺がイメージする形になるように癒着させたってわけだ。
 あとは、これを男衆に加工をしてもらい、孤児院の骨組みを作ってもらうってわけだ。

「すげぇな、スニル」
「今のも、魔法なの?」

 男衆もポリーも感嘆の声を上げつつ、驚いていた。

「ああ、植物魔法っていう魔法の1種だよ」
「植物魔法、そんな魔法もあるのね」

 これは後で知ったことなんだけど、実は植物魔法という魔法は、長らく使い手がいないことで失われた魔法だった。
 なんでも、植物魔法は主に俺が使ったようなものばかりで、攻撃に使えるものはほぼないために好まれなかったことが原因だそうだ。
 まぁ、この時の俺はそんなこと知らないし、周りの連中もそこまで魔法に詳しくなかったためにまったく問題なかったけどな。

「まぁ、なんだ、こいつを使って今日は骨組みをやっちまおう、といっても、俺は加工はあまり得意じゃないからな、それはあんたらに任せるぜ。俺はこの力で組むからよ」
「ああ、任せるよ。ダンクス」

 ダンクスが加工は苦手だといい、男衆はそれを容認した。
 どうやら、昨日の宴会で男同士仲良くなったらしい。
 酒も飲み交わしていたしな。
 さてと、あとは大体男たちに任せれば大丈夫だろう。というわけで、俺は、男たちとは別の場所で作業をする。

 というわけで、俺がやってきたのは孤児院の入り口の門。
 孤児院の門といっても、現在あるのは一般家庭にあるような小さなもので、正直ボロく力のある男が攻撃すればあっという間に崩れてしまいそうなものだった。
 まぁ、これまで孤児院を襲撃しようなんて考える奴はいなかったために、無事だったけれど、これからもそうとは限らない。
 せっかく孤児院を改築するなら、この門も変えてしまおうというわけだ。
 ちなみに、昨日”ストーンウォール”で壁を作った際、こちら側と裏側にあった以前の壁は破壊して改めて壁を作った。そうしないと、統一感がないからな。
 んで、門だけはそのまま残していたというわけだ。
 まぁ、それもたった今破壊したけどな。

「どうするの?」

 相変わらず俺の隣にいるポリーがそう聞いてきた。

「門を作ろうと思ってな。”ストーンウォール”」

 俺はポリーの質問に答えつつ、魔法を行使。
 それによりできた壁は、地下2m地上0m幅1m長さ5mのもので、もはや壁ではなく、行ってみればコンクリートの地面、しかも、上部には2本の幅5cm深さ5cmの溝が2本できている。

「なに、この溝?」
「これはな、まぁ、口で説明するより見たほうが早いからな、できてからのお楽しみだ」
「えー、そうなの、うーん、まぁいいや、それじゃ、私子供たちのほうに行ってるね。出来たら教えて」
「おう、わかった」

 ポリーはそういうと、孤児院の子供たちのところに向かって走っていった。
 その場所はというと、俺が今いる場所を正面とすると、右側奥、ここは畑にしようと思っている場所で、現在ロッドとサリームの指示のもと、孤児院作りとは別の男衆が子供たちと一緒に畑を耕している。
 ポリーはそれを手伝いに行ったようだな。

「ポリーちゃんは、ずいぶんとスニルになついているわね」

 そんなポリーを見送る俺を見てほほえましいものを見るようにそう言ったのは、壊してしまった門の代わりに門番のようなことをしているシュンナだ。
 ここは、治安もあまりよろしくない貧民街、門がないところに悪い奴が来ても困るので、シュンナに立ってもらっているというわけだ。

「まぁ、村では子供はいたけど俺たちと年の近い子供はいなかったからな。もし、俺がまともに村で育っていたら、幼馴染だっただろうし、そもそも、俺とポリーは乳姉弟みたいなものみたいだし」
「ああ、そういえば、スニルもポリーちゃんも、赤ちゃんの頃、お互いのお母さんのおっぱいを飲んでいたんだっけ」
「みたいだな」

 当然俺は覚えていないが、俺は赤ん坊のころ母さんだけじゃなく、ポリーの母親であるノニスからも母乳をもらっていた。

「なるほどねぇ。でも、なんかそれだけじゃない気がするけど」

 シュンナのいう通り、俺もそれだけの理由でここまでなついているとは思っていない。
 とはいえ、恋愛感情とかそういうものでもない気がする。
 前世でも経験がない俺が言っても説得力はないけどな。

「さぁな、俺にもわからん」

 多分ポリーもよくわかっていない気がする。
 もしかしたら、俺が小さいから姉弟とでも思っているんだろうか。
 まぁ、よくわからんな。わからんものは考えてもしょうがない、この話はここまでにして、俺は作業を再開する。

 というわけで、今度の作業は門扉を作ろうと思う、イメージとしては学校の校門だ。
 そんなわけで、”収納”から昨日ダンクスのために作った100tハンマーを取り出す。

「まずは、これを素材化だな」

 ということで、”素材化”を行使して、ハンマーを鋼のインゴットに戻す。
 あとは、これに魔力を注いでっと。

 鋼に魔力を注ぐと、魔鋼という普通の鋼より強固な魔力伝導率が高い、ファンタジー世界ならではの金属が出来上がる。
 門扉にはこの魔鋼を用いるつもりだ。
 んで、さっそくこの魔鋼を使って”錬成”で形を作る。

「よしっと、できた」

 俺がイメージした通り、魔鋼は学校の校門を彷彿とさせる門扉へと姿を変え、先ほど俺が作ったストーンウォールの地面に掘られた溝に、これまたイメージした魔鋼製の滑車がはまった。

「これが新しい門、なんか重そうね」

 シュンナが門を見てそういった。

「まぁ、そうだろうな、魔鋼製だし、多分相当重いと思うぞ」
「そんなもの、どうやって開けるのよ」

 シュンナが呆れたように突っ込んできた。

「それはちゃんと考えているって。大体、この門を開けるのは基本院長とかソニアとか女性ばかりだからな」

 男なら、力いっぱい押せば開けることはできると思う、実際そこら辺の男よりも力の強いシュンナはちょっと力を入れて開け閉めしてるし。
 だが、この孤児院は基本女性ばかり、この門を開けることはほとんど不可能だろう。
 では、どうすればいいのか、それこそ地球なら機械仕掛けでいいだろう、例えばボタン1つで開けられるようにな。んで、ここは異世界だから機械ではなく魔道具がある世界、というわけで、この門扉を魔道具としてしまおうというわけだ。それなら、魔力さえあれば門を誰でも開けることができるようになる。
 そのために、”収納”から昨日の夜寝る前に作っておいたものを取り出す。

「それって、夜作っていたもの?」
「ああ、これを、ここにはめ込んでやって、あとは、こいつもはめてっと、よし、できた。シュンナ、ここに魔力を通してみてくれ」
「これ?」

 俺が示したのは、門扉の外側、端っこのとってがありそうな場所、先ほど魔石をはめ込んで蓋をした場所だ。
 そこに、シュンナが魔力を流すと、ガラガラガラと音を立てて門扉が自動で開いた。

「開いた!! すごっ!」
「だろ、これは内側にも同じように魔石がはまっているから、当然内側からも開けられるし、また同じところに魔力を流すと、今度は閉まるようになっているんだ」
「そうなの」

 といって、シュンナはもう一度、同じ場所に魔力を流した。
 すると、今度はまたガラガラガラと音を立てて、門がしまったのだった。

「なんか、面白い、これ」
「あははっ、まぁ、そうだろうな」
「これで、完成?」
「いや、このままじゃ、危ないからな」

 この門を開け閉めするとき子供が巻き込まれる可能性がある。それはどうあっても避けなければならない。
 そこで、門があいたとき、門が移動する場所、つまり俺が”ストーンウォール”で作った地面を覆うようにカバーをこれまた”錬成”で石を加工して作った。
 もちろん、これでもまだ安心はできない、なにせ、門がカバーに収まるときに挟まれるかもしれない、だからこそ、このカバーにも魔石をはめ込んだ。
 この魔石に書かれている魔法式は結界魔法の”物理結界”、これは文字通り物体など物理的なものを防いでくれる結界となっている。尤も、ただそれだけだと門がカバー内に収まらなくなってしまう。
 そのため、この結界には門だけは通るようにした。
 通常の”物理結界”にもこの機能はあり、特に特別にいじったわけだはない。

 ちなみにだが、門が通る溝、ここにゴミがたまったらと思うかもしれないが、それは大丈夫だ。
 門を動かす魔石に移動の際に滑車あたりから小さな風魔法を発動するようにしてあるので、門が通るたびにゴミが吹き飛ぶ仕組みとなっている。

「あとは、細かいセキュリティをつけてやれば終わりだな」

 俺はそういうと、いくつかの魔石を取り出して、それを門に取り付けていった。
 これで、門のセキュリティーも完璧だ。

「……終わった」
「ずいぶんと強固になったわね」

 シュンナが呆れたように言ってきたが、確かに孤児院のセキュリティーにしてはかなり強固だ。

「これじゃ、王城のほうが緩いんじゃないの」

 この世界の王城がどれほどセキュリティーをしているかなんて知らないので、シュンナのこの問いには答えられない。というか、この国って、王国なんだな、初めて知ったよ。

「王城? この国って王国?」
「んっ、ああ、そっか、そうだよ。ここはコルマベイント王国っていう名前よ」

 俺は今初めてこの国の名前を知ったよ。

「まぁ、あまり国名とか気にならないからね」

 シュンナのいう通りで、これまで気にしたことすらなかったよ。

「それで、門はこれでできたのよね」
「ああ、まぁな、あとは、院長とかに魔力登録をしてもらう程度じゃないか」

 この門は魔力で開く、そのためのカギとして、魔力を使うことにした。
 なにせ、魔力は人によって違う、親子なら受け継がれるが、全く同じということはない。
 ちなみに、双子でも微妙に違う。
 それを利用したカギを採用したというわけだ。

「そう、それで、今日はこの後どうするの、もうすぐお昼だけど」
「そうだな、今日は午前中はこれをやろうと思っていたし、それも終わったとなると、ほかに行ってみるかな」

 ダンクスと男衆が手掛ける建築、子供たちが手掛ける畑、その両方の様子でも見ておこうと思う。
 と決まれば、さっそく行ってみるか。

「じゃぁ、あたしも行こうかな、門ができたならここにいる意味もないしね」

 シュンナが門にいた理由は、俺が製作中で門がなかったために、その代わりだった。
 その門ができた以上、シュンナがここにいる理由はない。

「ああ、確かにな。だったら、まずはダンクスたちの様子でも見に行くか?」
「そうね」

 というわけで、俺とシュンナは2人で建築の様子を見に行くことにした。


 様子を見るといっても、その場所は、目と鼻の先みたいなもので、すぐなんだけどな。

「はやっ! なぁ、これって、早すぎないか?」

 俺は門の作成に集中していたために、建築のほうはあまり見ていなかった。
 それでも、半日で一階部分の骨組みが組みあがるって早すぎだろ。
 俺は、思わずシュンナに早すぎないかと尋ねた。

「そうね。確かに、早いとは思うけど、まぁ、人数も多いし、ダンクスがいるからね。その分早いんだと思うわよ」

 シュンナは俺ほどには驚いていない。
 確かに、人数が多いし、ダンクスという人の数倍の力を発揮できる奴がいる。
 ああそっか、作業の様子を見ていた気が付いた。
 俺は建築スピードを日本の常識に当てはめていた。
 この世界の人と地球人というのは、実は身体能力がけた違いだ。
 同じ一般人の身体能力でも地球人の個人差があるために具体的な数値は言えないが、数倍はあるとみていいだろう。
 というのも、この世界は魔物が闊歩する危険な世界、そのため基礎的な身体能力が高く設定されている。
 しかも、その上に身体強化という魔法まで存在している。
 まぁ、あの中で身体強化を使っているのはダンクスだけだが、それでもまるで重機みたいな働きをしているからな。そりゃぁ、この速さとなるか。こうなると、俺が予想していたよりも早く建築が終わりそうだな。

「おう、スニルとシュンナじゃねぇか、どうした?」

 俺が唖然としていると、ダンクスが気が付いて声をかけてきた。

「ああ、こっちの予定していた作業が終わったからな、様子を見に来たんだよ」
「そうか、早かったな」
「いや、そっちのほうが早いだろ、このままじゃ、数日で建っちまいそうだな」
「ああ、そのつもりでやっているからな。いつまでも子供たちをあの狭いところに押し込めていられねぇからな」
「確かに、それはそうだな。でも、あまり急ぎすぎんなよ。下手に組んで崩れたじゃ、目も当てられないぞ」
「わかってる。それは何よりも細心の注意を払ってるぜ」
「なら、いいか」
「でも、スニルのことだからどうあっても崩れないように魔法で何とかするつもりでしょ」
「そりゃぁ、当然だろ。出来たら施すつもりだよ」

 俺はさも当然というようにそう宣言した。

「門といい、このままいくと、この街に何かあっても、この孤児院だけは残りそうね」

 シュンナが冗談めかして言っているが、俺は割と本気でそうなるようにと考えている。
 それを、シュンナに話すと、若干呆れていたが、シュンナもそれがいいことであることは分かっているために、何も言わなかった。

「じゃぁ、俺は畑に行ってみるよ。シュンナはどうする?」
「ああ、あたしも行くよ。気になるし」
「そんじゃな、ダンクス」
「あとでね」
「おう」

 ダンクスと別れた俺とシュンナは続いて、畑へと向かった。
 畑といっても、正確には予定地だけどな。

「あっ、スニル、シュンナさんも、そっちは終わったの?」
「ああ、終わったぞ。んで、こっちの様子を見に来たんだ。どうだ?」
「うん、楽しくやってるよ。ロッドおじいちゃんもサリームおばあちゃんもすごく楽しそうだし」
「そうか、それはよかった」

 俺はそう答えつつも2人の様子を見たら、子供たちに囲まれてとても喜んでいるように見える。
 この光景を見ただけでも、この2人を連れてきてよかったのかもしれないな。 
 子供たちも、2人にすっかりなついているみたいだしな。
 まるで、本当の祖父母と孫みたいだ。
 まぁ、あくまでイメージだけどな、俺には前世も今世でも祖父母というものとほとんどかかわっていないからな。
 前世では、父方で一年に1週間程度、しかもあまり記憶にないほど幼いころだし、母方に至っては、一年に1日ぐらいしか会わなかったから、人見知りの激しい俺にとってはなつけなかったからな。
 もしかしたら、じいちゃんもばあちゃんもそこは寂しかったかもしれないな。

 まぁ、俺の前世のことはどうでもいいとして、今は畑の状況を見てみよう。
 畑では、村から来た男衆が鍬を手に持ち、せっせと耕しているところから少し離れた場所で、孤児院の子供たちが小さな鍬やしゃべるなどを持ちながらワイワイと土いじりをしていた。
 それを、ロッドとサリームがにこにこと眺め、男衆の一部が、子供たちの隣に座り一緒になって土いじりという名の耕しを行っていた。
 そのため、耕すペースは遅い。
 ま、これはこれでいいんだよな。焦ることでもないし、ゆっくりとやってもまったく問題ない。

 俺が作った門や、ダンクスたちが作っている建物は早いほうがいいからな。
 畑については、この後肥料を入れたり、何かをしたりしてから種を撒くってところだろうけど、俺には何をするかはわからない。前世の知識には、たしか石灰を撒くとかあったような気がするけど、よく知らない。
 今世は農村の出身ではあるし、幼いころは多少の畑仕事はさせられていた。でも、工程とかなど教わるわけがないために知らないんだよな。まぁ、そこらへんはロッドたちに任せるさ。
 さて、子供たちを見ていると、ふとあることを思い出した。
 そう言えば、俺はまだここの子供たちについて話していなかったなっと。

 ここで、簡単に説明しておこうと思う。
 これはダンクスから聞いた話だが、孤児院というのは成人するまでの子供、つまり14歳未満が在籍できる。
 でも、この孤児院には10歳までの12人しかいない。とういうのもこれまで何度も言っているようにここは、孤児院といっても普通の家だから狭い。そんなところに13歳までの子供がいると寝る場所すらない状態となってしまう。
 そこで、ある程度大きくなると早めに出て、ソニアなど孤児院を出たものたちや協力者の家に移住して、そこで12歳になるまで世話になり、それからは見習いとしてそれぞれの職業に就くらしい。
 そう言った事情があり、現在畑にいる子供たちというのは、孤児院の子供12人プラス、本来なら孤児院にいるはずの子供たち11歳から13歳までの4人も混じっている。

「あの子たちも、ダンクスたちが今作ってる建物ができたら、移ってくるのかしら」
「さぁ、どうだろうな。一応そうなっても問題ないようにつくっているけど、そこらへんは本人たちの希望とかだろ」
「それもそうか、でも畑仕事はなるべく参加してほしいところだけどね」
「確かにな、10歳までの子供じゃ、できない作業もあるだろうしな」
「そうなんだよね」

 俺とシュンナ、ポリーの3人で子供たちの作業を見ながらそう言った話をしていた。

「お昼よー」
「おひるー」
「ごはーん」

 話をしているとどうやら昼飯に時間となったようで、村から来ていた女性陣からそんな声がかかり、子供たちが元気よく反応した。
 余談だが、女性陣が飯を作っている場所は、孤児院のキッチンではなく敷地の空きスペースに作った簡易の炊事場を作っているので、そこで作成されている。食材などの食費などは俺や、村からの提供だ。

 というわけで、午前の作業は休憩し昼飯を食べることとなった。
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