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第02章 異世界転移
第02話 調査しよう
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「皆様、いかがなされましたか?」
俺たちがパニックを起こしていると不意にそんな声がかけられ、いったい誰がと思い声のした方を見て俺たちは総じて固まった。
「えっ!」
「セ、セビス、チャン」
「しゃ、しゃ、しゃべったぁー」
「いや、喋るのはいいだろ!」
本当にパニックになっているな。セビスチャンというのは俺たちのサポート役として作った執事NPCで名前については、昔から執事といったらセバスチャンだろうということから。しかし、セバスチャンはすでに誰かが使っていた名前であったために使えず、仕方なくこの名にした。とまぁ、それはいいとしてだ、今の問題はセビスチャンが俺たちに向かって言葉を発したことだ。もちろんリアルを追及しているこのゲームにおいてNPCがしゃべらないということはなく、AIによって自己判断で行動できるようになっているし言葉だってちゃんと喋る。ではなぜ俺たちが驚いているのかというと、あまりに自由すぎるとプレイヤーとの区別がつかないし、下手をすると現実の区別がつかなくなる弊害が生まれてしまう可能性があるためにある程度の不自由を設定してある。そのうちの1つがNPCがプレイヤーに話しかけないというものがある。ほかにもいろいろあって、それでプレイヤーに違和感を覚えさせているらしい。それで、このセビスチャンもほかと同じように俺たちに対して自らこうして話しかけるということはありえない、というわけだ。
「みんな、ここはちょっと冷静になろう。まずログアウトできないこととネットにつながらないことですでに異常事態だ。そこにセビスチャンがしゃべった事なんか些細なことだろ。それにセビスチャン」
「何でございましょうか? 旦那様」
俺が呼ぶとセビスチャンはそう呼ぶ。これは俺がギルマスでここの主ということになっていることと、セビスチャンが執事だからということで設定された呼び方だ。
「今現在異常事態が発生している。ダンジョン内及びダンジョン外の状況を確認してくれ。ダンジョン内は守護者たちに、外はお前とメイドで調べてくれ。ただし、今回は状況を確認するだけで無茶はするな。明日の昼には撤退し報告をしろ」
「はっ」
そう言ってセビスチャンは円卓の部屋を出ていった。そのあとについてメイドたちもまた出ていく。
「うわっ、エリエリ、ギルマスみたい」
「ギルマスでしょ」
「ははっ、まぁそれよりセビスチャンたちが帰ってくるまで俺たちはとりあえず落ち着こうぜ」
「そうすっか」
「お茶入れましょ」
これで幾分か冷静になったようだ。それはよかったが、異常が解決したわけじゃない。ほんとどうしたものか。
「何か意見はないか?」
円卓に座り、お茶を一杯飲んだところでみんなに意見を求めてみた。
「それよりさ。エリベルト」
「なんだ、意見か?」
「いや、そうじゃなくて、その後ろの扉ってなに?」
「扉? なにを言って……なにこれ?」
そう言われて背後を振り返ってみるとそこには確かに扉があった。
「いや、知らないよ」
「俺たちこんなところに扉、作ったっけ?」
「いや、作ってないだろ。エリベルトの後ろって壁だったじゃん」
俺が円卓でいつも座っている場所は部屋に入った一番奥、背後には壁がありその上にはギルドのエンブレムがかかっている。そして今そのエンブレムの真下に見たことのない扉があった。
「じゃぁ、なに?」
「さぁ、でも、ここまで異常事態があったんだ。扉ぐらいあっても不思議じゃないだろ」
「いや、十分不思議でしょ」
あまりに異常事態が続いたために耐性が付いてきたみたいだ。
「とりあえず、調べてみる?」
フローレンの意見にみんなが頷いたのでいったん扉の先を調べてみることに。
「それじゃ、あかねん頼む」
「まっかせてー……ええと、うん、罠は、ないみたい。鍵もないから大丈夫だよ」
「そっか、それじゃルナ3、サナリース」
「探知かけたけど、何もないみたい」
「安全だよ」
まずは盗賊のあかねんが罠などがないかを調べる。あかねんは俺たち唯一の盗賊でもちろんゲーム内最強最高の盗賊でもある。あかねんが罠がないというのなら間違いなくない。そして続いて魔法使いであるルナ3とサナリースが探知系の魔法で扉の向こうを調べる。それによりこの扉は安全であることは間違いないとのことだった。
「一応念のため。俺が明けるぜ」
「頼む」
最後にタンクのガルマジオが大楯を構えて扉に手をかける。そうして、厳重かつ慎重に開け放たれる扉。ガルマジオの大楯の隙間から中を覗いてみた。
「あん?」
中を見た瞬間妙な声を出してしまった。それほどの妙なものがあった。なんというかそこにあったのはベッド、それも全部で13台その上には人が同じ数で13人寝ている。なんだ一体。そう思ってみてみると1台のベッドに目が釘付けになった。
「えっ! 俺?」
そうその中に現実世界の俺の姿があったのだ。どういうこと、なんで俺が? よくわからないがよく見るとその隣には現実のアリアロッテ、ルナ3、あかねんもいた。
「なになに、どったの? ……ほぇ!」
俺が固まっている中あかねんがやってきて中を覗いて俺と同様妙な声を出している。
「どうしたのあかねん。えっ! なにこれ?」
「ちょっと、なに、どうしたの」
そう言って次々にみんなが中を覗き込みみんながみんな固まった。
「って、きゃぁ、ちょっと」
そんな中でミサリオが突然叫び声をあげたかと思うと1台のベッドのもとへ向かった。ちらっと見えたがそこに寝ている人物は下着、それも下だけを履いた状態の女性が寝ていた。そこに向かったということはおそらくあれがミサリオの本体か。っと、それよりもなんでここに俺の体があるのか、ほんと意味が分からない。
「アリアロッテ、これどう思う」
「わ、わからないわよ。でも、ここに私たちの体があるってことは、どう考えても何か超常的な力が働いているのかもしれない。そうなると」
「異世界転移もあり得ると」
「ええ」
アリアロッテは優秀というほどに頭も俺たち一で良い。そのアリアロッテがそう結論付けるということはおそらくそうなのかもしれない。でも、やはりいまだに信じられないな。
「うぉ、すげぇ、まじかよ!」
不意にそんな声が聞こえたので何かと見てみると見知らぬマッチョがいた。その近くにはダラボラらしき奴が床に倒れている。
「ちょっと、どうしたの。ていうかダラボラはどうしたの?」
リリアンが一体何事かとマッチョに訪ねている。
「おいっ、これすげぇぞ。スキルで覚醒ってやつを使ってみろよ。本来の体に戻れるぞ。それにステータスとかもそのままみたいだ」
マッチョが若干興奮気味にそう言っている。というかダラボラが動かないところを見ると間違いなくあのマッチョはダラボラなんだろう。
「覚醒って、ほんとだなんかある」
ダラボラの言葉を聞いた俺たちはいっせいにスキルを確認する。スキルの確認にはコンソールは関係ないので閲覧が可能だ。そして、確かに覚醒というスキルが増えていた。
「やってみるか」
「そだね」
というわけで俺たちはそろって覚醒スキルを使用してみる。普通ならこんな見たこともないスキルをいきなり試すなんてものは危険なんだが、すでにダラボラが実行しており特に危険を感じないので問題ない。
スキルを実行すると視界が突如暗転するも、すぐに先ほどとは違う視界で天井が見えてきた。
「ふぅ、一体、おっ!」
「あっ、ほんとだ戻ってる」
「戻ってるわね」
「うんうん、やっぱり落ち着くよね」
みんなも本来の体に戻ったみたいでそれぞれが起き上がって体の調子を確認しているので、俺もまた確認してみると、なるほど確かにスキルも使えるようだしステータスもそのままだしこぶしを握ってみたら明らかに力がゲームでのそれであった。
「ええと、みんな戻ったんだよな。とりあえず円卓に戻るか」
「そうね。あっ、でもこっちのアバターの方はどうしようか」
「ああ、一応ベッドに戻しておくか」
「おっけ、よっと」
それから俺たちはそれぞれのアバターをベッドに横たえ先ほどまでいた円卓へ戻ることにしたのだった。
俺たちがパニックを起こしていると不意にそんな声がかけられ、いったい誰がと思い声のした方を見て俺たちは総じて固まった。
「えっ!」
「セ、セビス、チャン」
「しゃ、しゃ、しゃべったぁー」
「いや、喋るのはいいだろ!」
本当にパニックになっているな。セビスチャンというのは俺たちのサポート役として作った執事NPCで名前については、昔から執事といったらセバスチャンだろうということから。しかし、セバスチャンはすでに誰かが使っていた名前であったために使えず、仕方なくこの名にした。とまぁ、それはいいとしてだ、今の問題はセビスチャンが俺たちに向かって言葉を発したことだ。もちろんリアルを追及しているこのゲームにおいてNPCがしゃべらないということはなく、AIによって自己判断で行動できるようになっているし言葉だってちゃんと喋る。ではなぜ俺たちが驚いているのかというと、あまりに自由すぎるとプレイヤーとの区別がつかないし、下手をすると現実の区別がつかなくなる弊害が生まれてしまう可能性があるためにある程度の不自由を設定してある。そのうちの1つがNPCがプレイヤーに話しかけないというものがある。ほかにもいろいろあって、それでプレイヤーに違和感を覚えさせているらしい。それで、このセビスチャンもほかと同じように俺たちに対して自らこうして話しかけるということはありえない、というわけだ。
「みんな、ここはちょっと冷静になろう。まずログアウトできないこととネットにつながらないことですでに異常事態だ。そこにセビスチャンがしゃべった事なんか些細なことだろ。それにセビスチャン」
「何でございましょうか? 旦那様」
俺が呼ぶとセビスチャンはそう呼ぶ。これは俺がギルマスでここの主ということになっていることと、セビスチャンが執事だからということで設定された呼び方だ。
「今現在異常事態が発生している。ダンジョン内及びダンジョン外の状況を確認してくれ。ダンジョン内は守護者たちに、外はお前とメイドで調べてくれ。ただし、今回は状況を確認するだけで無茶はするな。明日の昼には撤退し報告をしろ」
「はっ」
そう言ってセビスチャンは円卓の部屋を出ていった。そのあとについてメイドたちもまた出ていく。
「うわっ、エリエリ、ギルマスみたい」
「ギルマスでしょ」
「ははっ、まぁそれよりセビスチャンたちが帰ってくるまで俺たちはとりあえず落ち着こうぜ」
「そうすっか」
「お茶入れましょ」
これで幾分か冷静になったようだ。それはよかったが、異常が解決したわけじゃない。ほんとどうしたものか。
「何か意見はないか?」
円卓に座り、お茶を一杯飲んだところでみんなに意見を求めてみた。
「それよりさ。エリベルト」
「なんだ、意見か?」
「いや、そうじゃなくて、その後ろの扉ってなに?」
「扉? なにを言って……なにこれ?」
そう言われて背後を振り返ってみるとそこには確かに扉があった。
「いや、知らないよ」
「俺たちこんなところに扉、作ったっけ?」
「いや、作ってないだろ。エリベルトの後ろって壁だったじゃん」
俺が円卓でいつも座っている場所は部屋に入った一番奥、背後には壁がありその上にはギルドのエンブレムがかかっている。そして今そのエンブレムの真下に見たことのない扉があった。
「じゃぁ、なに?」
「さぁ、でも、ここまで異常事態があったんだ。扉ぐらいあっても不思議じゃないだろ」
「いや、十分不思議でしょ」
あまりに異常事態が続いたために耐性が付いてきたみたいだ。
「とりあえず、調べてみる?」
フローレンの意見にみんなが頷いたのでいったん扉の先を調べてみることに。
「それじゃ、あかねん頼む」
「まっかせてー……ええと、うん、罠は、ないみたい。鍵もないから大丈夫だよ」
「そっか、それじゃルナ3、サナリース」
「探知かけたけど、何もないみたい」
「安全だよ」
まずは盗賊のあかねんが罠などがないかを調べる。あかねんは俺たち唯一の盗賊でもちろんゲーム内最強最高の盗賊でもある。あかねんが罠がないというのなら間違いなくない。そして続いて魔法使いであるルナ3とサナリースが探知系の魔法で扉の向こうを調べる。それによりこの扉は安全であることは間違いないとのことだった。
「一応念のため。俺が明けるぜ」
「頼む」
最後にタンクのガルマジオが大楯を構えて扉に手をかける。そうして、厳重かつ慎重に開け放たれる扉。ガルマジオの大楯の隙間から中を覗いてみた。
「あん?」
中を見た瞬間妙な声を出してしまった。それほどの妙なものがあった。なんというかそこにあったのはベッド、それも全部で13台その上には人が同じ数で13人寝ている。なんだ一体。そう思ってみてみると1台のベッドに目が釘付けになった。
「えっ! 俺?」
そうその中に現実世界の俺の姿があったのだ。どういうこと、なんで俺が? よくわからないがよく見るとその隣には現実のアリアロッテ、ルナ3、あかねんもいた。
「なになに、どったの? ……ほぇ!」
俺が固まっている中あかねんがやってきて中を覗いて俺と同様妙な声を出している。
「どうしたのあかねん。えっ! なにこれ?」
「ちょっと、なに、どうしたの」
そう言って次々にみんなが中を覗き込みみんながみんな固まった。
「って、きゃぁ、ちょっと」
そんな中でミサリオが突然叫び声をあげたかと思うと1台のベッドのもとへ向かった。ちらっと見えたがそこに寝ている人物は下着、それも下だけを履いた状態の女性が寝ていた。そこに向かったということはおそらくあれがミサリオの本体か。っと、それよりもなんでここに俺の体があるのか、ほんと意味が分からない。
「アリアロッテ、これどう思う」
「わ、わからないわよ。でも、ここに私たちの体があるってことは、どう考えても何か超常的な力が働いているのかもしれない。そうなると」
「異世界転移もあり得ると」
「ええ」
アリアロッテは優秀というほどに頭も俺たち一で良い。そのアリアロッテがそう結論付けるということはおそらくそうなのかもしれない。でも、やはりいまだに信じられないな。
「うぉ、すげぇ、まじかよ!」
不意にそんな声が聞こえたので何かと見てみると見知らぬマッチョがいた。その近くにはダラボラらしき奴が床に倒れている。
「ちょっと、どうしたの。ていうかダラボラはどうしたの?」
リリアンが一体何事かとマッチョに訪ねている。
「おいっ、これすげぇぞ。スキルで覚醒ってやつを使ってみろよ。本来の体に戻れるぞ。それにステータスとかもそのままみたいだ」
マッチョが若干興奮気味にそう言っている。というかダラボラが動かないところを見ると間違いなくあのマッチョはダラボラなんだろう。
「覚醒って、ほんとだなんかある」
ダラボラの言葉を聞いた俺たちはいっせいにスキルを確認する。スキルの確認にはコンソールは関係ないので閲覧が可能だ。そして、確かに覚醒というスキルが増えていた。
「やってみるか」
「そだね」
というわけで俺たちはそろって覚醒スキルを使用してみる。普通ならこんな見たこともないスキルをいきなり試すなんてものは危険なんだが、すでにダラボラが実行しており特に危険を感じないので問題ない。
スキルを実行すると視界が突如暗転するも、すぐに先ほどとは違う視界で天井が見えてきた。
「ふぅ、一体、おっ!」
「あっ、ほんとだ戻ってる」
「戻ってるわね」
「うんうん、やっぱり落ち着くよね」
みんなも本来の体に戻ったみたいでそれぞれが起き上がって体の調子を確認しているので、俺もまた確認してみると、なるほど確かにスキルも使えるようだしステータスもそのままだしこぶしを握ってみたら明らかに力がゲームでのそれであった。
「ええと、みんな戻ったんだよな。とりあえず円卓に戻るか」
「そうね。あっ、でもこっちのアバターの方はどうしようか」
「ああ、一応ベッドに戻しておくか」
「おっけ、よっと」
それから俺たちはそれぞれのアバターをベッドに横たえ先ほどまでいた円卓へ戻ることにしたのだった。
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