とあるお抱えの不測

nionea

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後.

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 一年半前。
 カシオニアを飲み込んだまま、胸を執拗に弄られ、スイは戸惑う。
「殿下…?」
「ニア、と呼んでくれ」
 近頃カシオニアはスイの体を弄る事に熱心だ。顔が近付き、口付けを交わしながらも、耳元を指がなぞる。
「………ニア」
 息継ぎの合間に名を呼べば、嬉しそうに微笑まれた。
「ぁっん」
 その顔に見蕩れていると、耳を弄っていた手がいつの間にかスイの下腹部をまさぐり始めた。躊躇いないその動きに、戸惑いながらも嬉しくなって、スイはカシオニアの背で指を遊ばせながら、中に居るカシオニアを締め付けた。
「っ…」
 耳元で苦しそうに息を詰めたのを感じながら、スイは呼ぶ事を許されたカシオニアの愛称を囁き続ける。ついでに耳に舌を這わせたが、ぐっと身を離された。焦りの滲む顔に、嫌で身を離されたのではないと解ったので、足を絡めて腕を伸ばす。
「離れないで下さい」
 縋る様に抱き着いて腰を動かす。耳元で徐々に荒くなるカシオニアの呼吸を感じながら自身も昂っていく。
「ニアッ…愛しています」
「っ!」
 互いにあと少しというところで囁いて、僅かにカシオニアが果てるのを早める。恨めしいような顔に口付けを落としながら、うっとりとした顔で微笑む。
(ますます、可愛らしくなる)

 一年前。
 寝台に膝を立てて伏せた状態で背後から突かれて、スイは己の腕を噛みながら息が上がるのを止められなかった。
「ふっ、んっ…ぁっ…」
 拍子よく浅い場所を擦られ続け、イケそうでイケないままひたすら昂りだけが募っていく。自分で当てに行きたいところなのだが、カシオニアにしっかりと腰を掴まれているのでそれもできない。
「ニア…ぁっもう」
 堪えきれなくなり、体を支えていた方の腕を伸ばして自分で扱こうとするが、カシオニアの手が伸びてきて止められる。
「駄目だ、スイ。そのまま」
 覆い被さる様に押さえつけられた。だが、そのおかげで突かれる角度が変わる。
「いいっ、あぁもっと…ニア、ニア」
「スイ、気持ちいいか、ならそのままイってくれ」
「そっん、あぁんっ…」
 スイは無理だと思ったが、カシオニアに激しく突き上げられ、止めどもなく声を上げながら昇り詰め、後を突かれるだけで果てた。ゆっくりと中からモノを引き抜かれ、倒れこむように横倒しになってカシオニアを見る。性的な興奮と、それ以外に何かを達成したような満足気な表情だ。
(でも、まだ…)
 スイは思考力が溶けたような頭のままだったが、ゆっくりとまだ昂ったままのカシオニアに手を伸ばす。慌てるカシオニアにしなだれかかる様にして押し倒し、丁寧に扱きあげた。
(まだ、可愛いままでいてもらわないと…)
 
 半年前。
 カシオニアの突くというよりも引き抜く動作で、腹の中をぞわぞわと昇り詰めた快感が歯の浮くような感覚を生む。口を閉じる事ができず、スイはもうずっと引き抜かれる度に嬌声を上げ続けている。
「スイ、綺麗だ」
 片足を肩に担ぐようにして快楽に溺れるスイの顔を見下ろしながら、カシオニアはうっとりと微笑んでいる。体中に散った自分の付けた痕も、赤く腫れたように膨らんだ乳首も、さっき白濁を己の腹に吐き出しながら今も立ち上がったままのスイ自身も、全てが自分のモノになったような満足感を与えてくれる。
「ニア、もう、出したい」
 先程から塞き止める様に握られているものを開放して欲しいと訴えるが、カシオニアはその哀願するような表情にも笑顔を返す。
「まだだ、スイ。もう少し」
「そんっな…」
 カシオニア自身が果てるのを待たれているのだろうか、もう本気で耐えられなくなっているのだが、緩む事のない手に必死に手を伸ばす。
「ニア、お願いだからもうっ」
 不意にカシオニアの手が外され、伸ばした手と一緒に再び握りこまれる。だが、今回は緩く扱き上げるように動かされた。突然抑制を解かれ、びくりと大きく震えてスイが射精する。
「あっ! だ、めぇっ! ひっ…」
 果てたはずなのにまだ柔らかく立ち上がっていたスイのものにカシオニアが触れる。扱くわけではなく、手のひらで転がすように亀頭をなぶられ、止めようと上げるスイの声が全てただの喘ぎに変わっていく。
「っ…!」
 仰け反りながら息を詰めたスイの鈴口から、カシオニアの手の中に潮が噴き出した。
 ぐったりとするスイを見つめ満足そうに微笑みながら、己のものをそっと鎮めるカシオニアを視界の端に捉え、スイは湧き上がる笑みを抑えられない。
(あぁ…なんて可愛らしぃ………)
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