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おまけ ※基本3人称

・緊縛 ゼウス×イース話

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 イースはゼウスの背に自分が付けた爪痕を見つけて、軽く青褪めた。
「あの、陛下…」
 そのため、自分の首から抜いたタイを渡して、手を縛って欲しいと頼んだ。だから、確かに、自分の体を拘束してくれと頼んだのはイースの方だったのだが、それはちょっと手をタイで縛っておいて欲しいと頼んだだけだ。
「あの…陛下?」
 まさか、しっかりと鞣された赤い麻縄をゼウスが出してくる事など一切想定していない。
「ああ…思った通り、お前の象牙の肌によく似合う」
 だが、心底感心したようにそう囁かれれば、イースには抗うという選択肢すら思いつけなくなる。戸惑いながらもゼウスに縛られるに任せ、気が付けば理非知らずの状態で、いつの間にか点けられた灯りの中で視姦される事になった。
 見られているだけならば、多少耐性もついていたイースだが。ゼウスは自分が見ている状況を一々口に出して伝えてくる。
「艶かしいな…少し赤く腫れているだろうか? 昨日は酷くし過ぎたか…敏感な場所なのに、すまなかったな。今日は、たっぷりと潤滑剤を使おう。こうして、濡らして、丁寧に馴染ませて。解るか? イース、今指先を入れた所だ。ほら、痛くはないだろう? 糸を引くほど濡らしたからな。音が、するだろう。私の指をしゃぶる音だ」
 しかし、どれほど羞恥心で身を捩ろうとしても、縄で縛られた体ではどうしようもない。顔を背けて目をふさいでも、耳はふさげないため、ゼウスの言葉と粘液の音が快感を煽る。
 中指の第一関節部分だけを何度も何度も抜き差しされ、もうすっかり受け入れる事を覚えたイースの後孔はひくひくと震えた。
「陛下…御慈悲を」
「ん? ああ、まだ足りないか?」
 ゼウスは二本の指で広げた穴に潤滑剤を流し込んだ。
「んぅっ!」
 そして、再びイースの浅い場所を丁寧になぶり始めた。
 指は二本に、三本に、と増えていくが、ひたすら浅い場所を行き来する感覚に悶絶する。イースは身を捩りたくともどうにもならない。泣いてせぐりあげる様な喘ぎを上げ、硬く屹立した自身からも腹の上に溜まる程涙が溢れ出していた。
 この責め苦から解放される方法を、イースはもう解っている。だが、それは諸刃の剣だ。迂闊に口にすれば今以上に苦しむ事になりかねない。
 だが、後先を考えるような思考は、募る刺激で次第に溶けていく。
「ゼウス様…」
 イースの呟くような声にゼウスの指が止まった。
「お好きなようになさってください」
 不安を浮かべ、だが期待に濡れたイースの目をみて、ゼウスは笑う。のしかかるようにして、イースの頬に触れた。
「愛い事を言うなイース。私の好きにして良いのか?」
「…はい」
 唇が触れそうな距離で、囁かれ、その目に吸い込まれるような思いで言葉を返す。体を折られる様にされているため、息苦しいのだが、更に口付けされ、頭がクラクラとした。掻き回される口中の刺激と、ゼウスの腹に時折イース自身が触れる刺激で追い詰められ、もう何も考える事ができなくなる。
 互いの唇が離れた。
「可愛いな、イース」
 濡れて半開きになったイースの唇は荒く呼吸を繰り返す。溶けた理性を取り戻す前に、ひくつく後孔にゼウスの熱い杭が打ち込まれた。
「あぁあ、んぅん………はぁ、はぁ、はぁ」
 待ち望んだ刺激に、不自由な体を精一杯に仰け反らせて反応する。イースの腹の上には、ゼウスに突き上げられる度、透明な体液が散らばった。
 不自由な状態で懸命に自身を呑み込み、搾り取るように締め付ける姿に、ゼウスは愛しさが込み上げる。だが、夜は長いのだ。出来る事ならじっくりと愉しみ続けたい。
「そんなに締め付けるられるとすぐに果ててしまいそうだ。もう少し力を抜けないか」
 律動が緩められ、そんな事を言われたが、体が勝手に反応しているのだ。緩めようにもイースには解らない。だが、刺激がゆっくりとしたものに変わる事で、刺激を与えられている箇所に意識が集中してしまう。抜けていくゼウスを、逃さないよう意識的に締め付けてしまっていた。そして、そんな自身のいやらしい反応に、戸惑う。緩める事は出来ないのに、何故締め付ける事は意識してできるのかと。
 動きを止められたイースに思考力が戻ったのを感じながら、ゼウスは話しかける。見下ろす結合部では潤滑剤が白く泡立っていた。
「たっぷりと濡らしたせいだな、泡立ってしまった…解るか?」
 確かに、初めは粘ばついた音がしていたはずなのに、いつの間にかぷちぷちと泡が破裂するような音が混ざっていた。だが、そんな事を問いかけられても、恥ずかしさで首を横に振る事しかできない。
「解らないか?」
「ひぅっ」
 雁首の根元ぎりぎりまで引き抜かれ、内壁が捲れるような感覚と排泄感が襲う。ゼウスを飲み込んで広がっている口を、泡を潰すように指がなぞった。動きを止められ、より羞恥を煽られ、イースはもう耐えられくなる。
「解ります…」
「ん?」
 懇願するイースに微笑みかけ、ゼウスは再び指を動かした。だが、肝心の中は止まったままだ。
「解ります。だから、もう…」
「もう?」
「動いて下さい。お願いします」
 請われたゼウスは、態とらしく困ったような顔をしてみせる。
「私の、好きにして良いのではなかったか?」
「申し訳ありません…でも、もう…」
「もう、どうしたというのだイース。教えてくれ。私の好きにしている事がお前にとって耐えられない事なのか?」
 ゼウスは優し気な笑みを浮かべていた。いっそ、意地の悪い笑みで追い詰められたら、イースはどこか諦めをもって羞恥を捨てる事が出来ただろう。だが、それは許してもらえないらしい。本当は顔を隠してしまいたかった。だが、手はせいぜい顎先にしか届かない。真っ直ぐに自分を見つめてくる目を必死に見つめ返した。
「早く、欲しいのです。貴方の種が。どうか、中に注いで下さい」
 優し気な笑みが、獰猛な獣が牙を剥く様へ変わる。
 イースの背筋をぞくりとした悪寒が走るが、それは決して、内腿を逆撫でされたせいではない。湧き上がったのは確かに恐怖であったのに、下腹部はしっかりと血を滾らせたままで、その瞳に浮かぶのも期待だけだ。
 ゼウスの手がイースの腿をしっかりと掴み、押し広げる。
「そうか…イースは私の種が欲しいか」
「…はい」
 ぞわぞわと腹部は落ち着かず、歯が浮くようなむず痒さがある。そんな今の状況をゼウスの激しい奥への一突きが消し去る。思わず息が詰まったが、引き抜かれる刺激で、すぐに嬌声を上げることになった。
 思考や理性が溶けるほど絡みつくように変わるイースの内壁に、ゼウスの昂りも果てが見え始める。
 だが、それよりもイースの限界の方が早かった。
「あ、あ、あぁっ!」
 仰け反る象牙色の喉から腹を眺めて、ゼウスは白濁したものを溢れさせたイースの亀頭に触れる。
「だっめ…やぁ、ひぃぁ、あぁ」
 直後の敏感になった鈴口を指が穿ったかと思えば、全体を手のひらで転がすようにいじられ、イースの口から悲鳴が漏れた。だが、ゼウスの執拗な手技は止まらない。
 もたらされるものが何であるのか、解っているイースは必死に言葉を紡いで制止する。だが、ゼウスは止まってはくれない。いつもであったなら、身を捩るなり手を伸ばして止めるなりしただろうが、今は叶わない。射精とは違う果てが、尿でないのだとは解っていたが、イースにとって潮を吹くという行為は漏らしている事と同義だった。いつだってゼウスの前でそんな事だけはしたくないと拒否してきたのだが、今はどうにもならない。
「私の、好きにして良いのだろう?」
 今度こそ、意地悪気に微笑まれて、イースの堪えていた関が決壊する。
「やぁあ、見ないでくだ、さ…あぁ…」
 ゼウスの手の中に潮を吹き出して、イースの体を震えが走った。自身のしでかした事に慄いたのだ。
 だが、ゼウスは愉しげ笑うと、再び律動を再開する。容赦無く前立腺を突き上げるように動かれ、止めようもなく喘ぎ声が上がり続けた。拒み続けていた行為を強制して、イースの砦を破壊し尽くし、征服欲や支配欲が満たされていく。
「私の種を欲しいのだったな」
 自身の体液に塗れた象牙色の腹を撫で、ゼウスの律動が一層激しさを増した。
「あっやぁ、んぅ、くださいっ、奥に…ほしぃ…」
 頭のどこか片隅で、自分を守るために残していた最後の関も突破され、イースはもう何一つゼウスに支配されていないものが無い事を痛感している。
「種、あんっ、ください。ほしいぃ…」
 内壁がきゅうきゅうと絡みついて搾り取ろうとしているのが解った。だが、それを望んでいる。自分の意志で、いやらしく猥らに、ただ欲していた。
「孕むくらい…ゼウス様の種で、満たしてぇ」
 蕩けたようなイースの金の目を見つめて、ゼウスは心底愛おしく思う。
「勿論だ…すぐに満たしてやるからな」
「ああぁ…」
 ゼウスが果て、律動が止まり、イースは自分の中に注がれたものを思って微笑んだ。
 そんな微笑みを浮かべるの頬を一撫でして、中に収まったままの自身を引き抜くと、ゼウスはイースの体を縛っている縄を解きにかかる。
「大丈夫か?」
 放心したようなイースの縄目が残る肌を撫で、問いかけた。
 ゆっくりとした動作で身を起こしたイースは、腕を伸ばしてゼウスの首にしがみつくと、そのまま押し倒す。
「まだ」
 腰を跨ぐように位置を合わせ、後ろ手に先程まで中に居たゼウスに触れ、ゆっくりと竿を扱きあげた。
 その艶かしい様に、ゼウスもすぐに反応する。
「もっと、いっぱい」
 硬くなったそれを、潤滑剤とゼウスの精子でどろどろになった後孔に導くと、ゼウスに見せつけるようにゆっくりと飲み込んでいった。
「孕むまで注いで下さい」
「ああ、いくらでも注いでやるとも」
 自分の上で乱れるイースに、嗜虐心にも似た愛しさが込み上げる。まだ、彼の中にはこんな一面が隠れていたのかと、驚くと共に隠されたものを暴き出したい情動が激しく蠢いたのだ。
 その夜は、もはや吐き出すものの失くなったイースが、失神するまで行為は続いた。
 翌朝。
 己のしでかした事に蒼白になったイースだったが、もう二度とこんな事にならないようにしなくては、と思う彼はまだ知らない。自分の肌に縄目がつかない日が無い程、責め立てられる未来など。
(なんで、こんな事に…)
 全く予想もしていないのだった。

□fin
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