そうだ、壁になりたい ～ ゲーム世界に転生した俺 ～

後日談2

2.弁解

　だから、納得してもらうにはどうしたらって思ってたんだけど。
　困惑顔のアクスはちょっと斜めな方向に考えてたらしい。
「こういうのが、好みなのか？」
　こういうのって、え、どれ？
　強制ご奉仕、素股、脇コキ、複数プレイ、目隠し、尿道責め、モブ姦、玩具責め？
　なんかルイが可哀想になってきた。
「そんな場合じゃない」
「え？」
　必要ないとこはなんで口に出るかな。
「何でもない。ていうか、えっと、全然。好みとかそういう事はなくて」
　いや、読み物としては大好物なんだけども。
　実際ってなったら、正直複数箇所を同時に責められるのって、感覚が分散するだけで、結局一番強いとこだけ追う事になるっていうか。オナるのにおかずとしてハーレム妄想とかはするけど、現実は一箇所集中的に責められる方が好みっていうか。
　別にアクスとのあれそれに不満はないというか。
　いや、てか、ぶっちゃけルイの体が敏感過ぎて複数責めとかされたら、本当に壊れるんじゃねぇかな。
　BLゲーの攻略対象だからなのか何なのか、マジで、体の性感帯がナニに直結してるっていうか。前世じゃ全然乳首感じなかったんだけど、てか、開発しようとかした事もあったんだけど、断念するほど全然感じなかったんだけど、ルイの体だとヤバイ。服の上から擦られただけでじわっと来るし、生で捏ねくり回されようもんなら完勃ちする。舐められたり吸われたりするのも、しつこく続けられたら、イくんじゃないかな、カイルみたいに。
　あ、そういえば、最近はアデル様によるクルスのアナル開発もだいぶ進んでるらしいよ。アデル様って本当に、アデル様だよな。お兄ちゃんに遠慮とか無いんだろうか。無いんだろうな。まぁ、父親があれだししょうがないのかな。
　そのゼウスとイースも、新境地っていうか。近頃は緊縛プレイに乗り出したって聞いた。あぁちくしょう。なんで職員寮は生徒寮から遠いんだよ。気になるわー。いつか絶対覗く。黒髪金目で象牙色の肌のイースが赤い縄で縛られてる姿とか、絶対エロイじゃん。ああ、俺に絵心があればなぁ。
「ルイ？」
　はい、またやりましたぁ。
　つい明後日の方向に思考を暴走させてしまいました。
　そんな場合じゃねぇんだよ、だから。
「えっと、とにかく。それは事実無根の創作だし、俺がそこ書かれてるプレイが好きとかそういう事も、全然ないから」
　くそぅ、まだ微妙に納得してない顔だ。でも、ここでちゃんと誤解を解いておかないと、うっかり複数プレイをしようとか考えられたら絶対アデル様が出張ってくるだろ。無理無理無理。それだけは絶対アウト。
「じゃあ、なんでわざわざ引き出しに」
　あ、そういう事。まぁ、普通に考えたらそうか。自分があーっな目に遭ってる文章引き出しに大事に仕舞っとかねぇよなぁ。えーと、そうだ。もう言っちゃおう。
「アクスは、アルカリ・ジャック三世って、知ってる？」
「一応名前は」
「あれ、ニアさんなんだよ」
　正確には俺も少々お手伝いしてるから、コンビ名というかチーム名なんだよ。
「は？」
「でね、それもニアさんが好意で書いてくれた創作物で、だから、大事にしてるだけ」
　よし、まだ完全に飲み込んではなさそうだけど。渋々納得した、くらいの顔にはなったぞ。よしよし。そんな訳で、俺はすっかり満足した。
　後日アクスがニアさんに訊きに行くとか、全然思ってもみなかった。