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断罪は当然の結果ですわ。
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一瞬、会場中全てから音が消え去った。
「え、はえ?」
次に聞こえた音は、ルカーシュの腑抜けた声。
そして、テオドール、ベリーラ、ライトの怒声に罵声だった。
「はぁ!?俺がなんでそんなことをしないといけないんだ!!」
「そうよっ!テオドールさまはともかく!わたし関係ないわ!!」
「何故侯爵であるこの儂が伯爵令嬢如きの言うことを聞かねばならぬ」
わんわん喚く愚か者に、リリーシアは不満そうに満面の笑みを浮かべる。
「構いませんわよ。この契約書にサインしなくとも。そうなれば、お受けに謀反を起こそうとした者として一族郎党晒し首になるだけですから。わたくし、これでもみなさまの命がしばらくの間助かるよう、動いておりますのよ?その良心を踏み躙るなんて………!!」
途端、おいおいと泣くふりを始めたリリーシアを、ルカは優しく抱きしめる。
そして、舞踏会の会場中に殺気をばら撒く。
「貴様ら、よくも私の可愛いリリーシアを泣かしたな?」
ゆらっとゆらめく陽炎のような酷い怒りに、契約を求められた者たちがピシャッと背筋を伸ばす。
そして、リュディガーとルカーシュを除く面子が契約書を読まずしてささっとサインしてしまった。
(………引っ掛かりましたわね。わたくし、許すとは一言も言っておりませんし、殺さないとも一言も言っておりませんのに、そんなにも安堵したお顔をなさって………、お可愛いこと)
他の面子とは違い真っ青な顔で、娘のやらかしのせいで何もしていないにも関わらず契約書を読んでいるリュディガーは、契約書の内容に涙をこぼし始めた。
そして、契約書に丁寧にサインをした。
「ご温情、感謝申し上げます。リーラー伯爵令嬢、いいえ、クロエ商会商会長」
「しっかりと励んでくださいまし」
契約書記載後わんわん喚いていた3名は、涙を流すリュディガーの横で衛兵に蹴られながら別室へと連行される。
この先の未来に待つ地獄の世界を知らないからこそ、こんなにも騒がしくできるのだろう。
そう思うと、リリーシアは彼らが可愛くてたまらなくなった。
(バカドール、軟弱者の貴方が大っ嫌いな泥に塗れて鉱山で石を掘るなんて、本当にできるのですかね?出来なかったら鞭打ちっていう文章もありますのに………、ふふふっ、先が楽しみだわ)
こぼれかけた笑みを抑え、愛らしい少女に視線を向ける。
(ベリーラ、貴方の大好きな男の人がいっぱいのところに送ってあげますわ。パパ活でいっぱいドレスを買っていただいていた貴方なら、絶対にナンバーワンの婦人になれますわ。頑張ってくださいまし)
今日ベリーラが身につけていたネックレスが、クロイツ侯爵家の当主のみが知る部屋に隠されているの家宝であることに気づいているリリーシアは、親子仲良く同じ少女を愛した侯爵に侮蔑の視線を投げかける。
(ひとまわりも小さな女の子への恋は、さぞ楽しかったことでしょうね、侯爵。貴方のせいで自殺した可哀想な下級貴族の少女たちの分まで、せいぜい苦しんでくださいましね?ご安心ください、何度手足をぶった斬られても、内臓を引き摺り出されても、新作の回復薬の実験で治していただけますわ。まぁ、新薬の治験ですので、正しく治る保証はどこにもございませんけど)
強く握りしめた拳が僅かに震えたことを、愛おしいルカーシュはすぐに察知してくれた。
「リリー。優しい君は、あんな奴らが苦しむことでさえ心を痛めてしまうのだね。でも、」
「分かっておりますわ、ルカさま。断罪は当然の結果ですわ」
「え、はえ?」
次に聞こえた音は、ルカーシュの腑抜けた声。
そして、テオドール、ベリーラ、ライトの怒声に罵声だった。
「はぁ!?俺がなんでそんなことをしないといけないんだ!!」
「そうよっ!テオドールさまはともかく!わたし関係ないわ!!」
「何故侯爵であるこの儂が伯爵令嬢如きの言うことを聞かねばならぬ」
わんわん喚く愚か者に、リリーシアは不満そうに満面の笑みを浮かべる。
「構いませんわよ。この契約書にサインしなくとも。そうなれば、お受けに謀反を起こそうとした者として一族郎党晒し首になるだけですから。わたくし、これでもみなさまの命がしばらくの間助かるよう、動いておりますのよ?その良心を踏み躙るなんて………!!」
途端、おいおいと泣くふりを始めたリリーシアを、ルカは優しく抱きしめる。
そして、舞踏会の会場中に殺気をばら撒く。
「貴様ら、よくも私の可愛いリリーシアを泣かしたな?」
ゆらっとゆらめく陽炎のような酷い怒りに、契約を求められた者たちがピシャッと背筋を伸ばす。
そして、リュディガーとルカーシュを除く面子が契約書を読まずしてささっとサインしてしまった。
(………引っ掛かりましたわね。わたくし、許すとは一言も言っておりませんし、殺さないとも一言も言っておりませんのに、そんなにも安堵したお顔をなさって………、お可愛いこと)
他の面子とは違い真っ青な顔で、娘のやらかしのせいで何もしていないにも関わらず契約書を読んでいるリュディガーは、契約書の内容に涙をこぼし始めた。
そして、契約書に丁寧にサインをした。
「ご温情、感謝申し上げます。リーラー伯爵令嬢、いいえ、クロエ商会商会長」
「しっかりと励んでくださいまし」
契約書記載後わんわん喚いていた3名は、涙を流すリュディガーの横で衛兵に蹴られながら別室へと連行される。
この先の未来に待つ地獄の世界を知らないからこそ、こんなにも騒がしくできるのだろう。
そう思うと、リリーシアは彼らが可愛くてたまらなくなった。
(バカドール、軟弱者の貴方が大っ嫌いな泥に塗れて鉱山で石を掘るなんて、本当にできるのですかね?出来なかったら鞭打ちっていう文章もありますのに………、ふふふっ、先が楽しみだわ)
こぼれかけた笑みを抑え、愛らしい少女に視線を向ける。
(ベリーラ、貴方の大好きな男の人がいっぱいのところに送ってあげますわ。パパ活でいっぱいドレスを買っていただいていた貴方なら、絶対にナンバーワンの婦人になれますわ。頑張ってくださいまし)
今日ベリーラが身につけていたネックレスが、クロイツ侯爵家の当主のみが知る部屋に隠されているの家宝であることに気づいているリリーシアは、親子仲良く同じ少女を愛した侯爵に侮蔑の視線を投げかける。
(ひとまわりも小さな女の子への恋は、さぞ楽しかったことでしょうね、侯爵。貴方のせいで自殺した可哀想な下級貴族の少女たちの分まで、せいぜい苦しんでくださいましね?ご安心ください、何度手足をぶった斬られても、内臓を引き摺り出されても、新作の回復薬の実験で治していただけますわ。まぁ、新薬の治験ですので、正しく治る保証はどこにもございませんけど)
強く握りしめた拳が僅かに震えたことを、愛おしいルカーシュはすぐに察知してくれた。
「リリー。優しい君は、あんな奴らが苦しむことでさえ心を痛めてしまうのだね。でも、」
「分かっておりますわ、ルカさま。断罪は当然の結果ですわ」
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