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第一章 新世界から冒険する賭剣士

第24話 落ち目のない身体

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 溶岩とは。
 岩石の溶融状態にあるものおよび地表に噴出して固結したもの。
 温度700~1200℃


 雨露ー
 あれから1時間ほど経過しただろう。

 冷め下がる大地が空気を冷やしていく。
 雨で冷やされた溶岩が冷やされ、火成岩がそこら中に広がっている。
 地はどこまで見てもゴツゴツと真っ黒に染まっていた。
 木々は姿を消し、見渡す限りの黒。
 一片の地も見えてこない。

 火成岩と同化して倒れているエルシャ(メイド)がいた。
 目を凝らして見ないとわからない。保護色している。

 仰向けで横たわり、力を使い果たしていた。

 一方ミイの姿は見えない。
 推測だが、生きているのか、死んでいるのかわからないが、どこに身体があるのかは一目瞭然。
 火成岩が埋め尽くす中、高さ10mまで積まれた火成岩が見える。
 エルシャの攻撃、溶岩龍が3分間に渡って攻撃のループを繰り返したため、覆い重なった溶岩が雨によって急激に冷やされ、山盛りの火成岩が登場したのだろう。


 ***


 元ジェントルマンと執事は火成岩によって阻まれた道に苦戦し、1時間経過した現在もエルシャの元へ辿り着いてはいなかった。

「一体なんなんだこれは!?」
「砲撃の次は溶岩かよ!?」

「十中八九あの2人、どちらかの攻撃によるものでしょう」
「地形を変えるほどの攻撃など、あの2人以外考えられません」
「とりあえず急ぎましょう」

 身長よりも高く積まれた火成岩を乗り越えながら、徐々に歩み寄っていた。


 ***


 エルシャが火成岩と保護色している中、エルシャの瞼が突如と開いた。

 身体ゆっくり起こすと、保護色されていた火成岩は剥がれ落ちていく。
 記憶を遡るエルシャは、事細かく身に起こったことをフラッシュバック。

 記憶が頭を巡り終えると周囲を確認。
 ミイの存在を確認した後、自身の外傷も確認。

 エルシャは火成岩に掌を合わせた。
 その意味は、火成岩に埋まるミイの生存の確認だ。
 溶岩の力を手にしたエルシャが発揮できる力の一つ。
 脈の心拍が火成岩に伝わり自身の身体に伝わってくる。
 そもそも、火成岩が重なり合わさっていることによって、地上からの高さが底上げされているのだ。
 その高さ2m。

 溶岩を自由自在に操れるエルシャにとって、火成岩もその一つに分類されるため、
 火成岩を微妙に動かし操作することによって、地中に埋まる物体の居場所や種類を確認することができるのだ。

「・・・・」

 まるで、火成岩に埋まる物体を目視するように自身の身体に伝わってくる。
 灰と化した分からない物質。
 地中に埋まったいた岩。

「・・・・」
「・・・・ドクン・・・」
「・・・・ドクン・・・ドクン」

 エルシャは冷や汗をかいた。

「生きている・・」

 エルシャはすかさず再び技を繰り出した。

 地に両手を合わると、徐々に大きくなる地響きが、
 高さ10mまで積まれた火成岩の先端から溶岩が噴火。
 まるで噴火口のようだ。

 噴火と共にエルシャは積まれた火成岩に向かって走っていった。

 そもそも、溶岩に包まれて身体が溶けない時点で普通じゃない。
 この程度で死ぬわけがない。

 エルシャは溶岩の噴火から出てくるミイを狙い撃ちするつもりだ。
 右腕が溶岩でコーティングされ、この拳をミイに放つと思われる。

 感じられる心拍を辿り、飛び出るミイに向けて飛び上がった。

 そこから噴火口から出て来たのは、ミイの腕ー

 エルシャは何が起こったのか分からない。
 時が止まったように、、

 すると、激しい破壊音と飛び散る火成岩と共に、
 高さ10mまで積まれた火成岩の側面から左腕を失っているミイが飛び出してきた。

 反応速度が間に合わない。
 エルシャは自身の顔面に迫り来る、ミイの右足を目視するが、ガードまでには至らない。

 エルシャの顔面へ蹴りがクリーンヒット。
 額から伸びたツノがカチ割れながら、100mほど飛ばされた。

 可憐だった皮膜が一部ズタボロに破壊されているが、美しく靡かせ、火成岩がビッシリ埋まる地へ降り立った。
 右手で左腕の切り口を力強く握りしめる。
 血管が浮き出るほどの力強さで圧迫し、左腕を素早く止血した。

 ミイの身体には至る所に火傷の痕。
 黒く変色している。

「砲撃に溶岩。素晴らしい!」
「拍手に値する」
「・・・聞いていないか・・」

 エルシャは意識を失っていた。

「・・・・」
「気を失っているところ申し訳ないが、今度はこちらの攻撃の番なんでね」

 ミイはそう言うと、思いっきり両腕を上げて天へ掲げた。
 腕を掲げると同時の勢いと共に、直径20cmの黒い球がいくつも周囲に浮遊。
 その数、約20玉。

 禍々しいその球体から発せられる力は、ここからどのような攻撃に変貌してくるのか予想はできないが、危険大過ぎることは窺える。

 凄まじい吸引音。

【NEXT】

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