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さんじゅうろく。

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チュンチュン

チュンチュン


「…ん……、」

小鳥の囀りが聞こえ、目を覚ます。

また、やってしまった。

そう思いながら目を開けると、ここ最近見慣れた天井が目に入った。

3度目だ。

ゼノさんの前で泣いて、寝落ちをしてしまったのは。

「はぁ……。」

次はいつ、会えるだろうか?

昨日はありがとうざいました。とお礼と謝罪をしたい。

昨日は、色々ありすぎた。

でも、吐き出したからだろうか。昨日より頭はすっきりしているような気がする。

メリル様にもきっと、気を使わせてしまった。

もしかしたら、心配をかけてしまったかもしれない。…これは、私の願望も入っているけれど。

「準備しなきゃ。」

昨日は、シャワーも浴びずに寝てしまった。

なんとも言えない気持ち悪さを流そうと、シャワーを浴びる。

少し冷たい水を浴びれば、朝特有の眠気も覚め、すっきりとする。

タオルで体を拭き、もう着慣れた服を纏えば、いつもの私になった。


洗面台の前で自分を確認していると、コンコン、と扉を叩く音が聞こえる。

こんな朝早くから誰だろうか?

早足で扉に向かい開ければ、朝から眩しいメリル様がいた。

「おはよう。」

「おはようございます。メリル様。」

そう笑顔で言うと、何かに気付いたメリル様が頭に手をかざす。

あ、これは……。

そう思っていれば、暖かい風が吹いた。

「はい。終わり。」

「ありがとうございます!」

「朝ごはん、食べるでしょ?」

「はいっ。」

髪が乾き、メリル様と研究室に向かう。

「今日からポーション作りをやってみようか。」

「え⁉︎本当ですか⁉︎」

「うん。いつまでも薬草すり潰しているのも嫌でしょう?」

そう言って笑うメリル様の笑顔は、日の光のように暖かく感じた。




メリル様と朝食のサンドウィッチを食べ、ポーションの材料を準備する。

浄化された水だけは作れないので、メリル様が準備してくれた。

鍋に水を入れ、粉になった薬草を入れる。

1グラムも間違わないように慎重に測ったから大丈夫だろう。

メリル様も頷いてくれたし、絶対成功させる!

そう決意して、ガラス棒でかき混ぜていく。

焦がさないように気を付けながら混ぜていくと、いっぱいだった水が、徐々に減っていく。

蒸発するより早い減りに内心ワクワクして入ると、茶色と緑が混ざったような色をしていた水が、黄色く色付いた。

「うん、成功したね。」

上出来だよ。

そう言って私の所から鍋を取る。

そのままテーブルに置いていた容器に入れて貰えば、初めて完成したポーションに嬉しさがこみ上げる。

へへっ、と笑ってそれを見ていると、元気でたね。とメリル様が呟いた。

なんだなんだ…?

もしかして、メリル様は心配してくれたのだろうか?

なんだかくすぐったい気持ちになる。

「なに?変な顔して。」

そんな顔してるくらい暇なら鍋洗ってよ。というメリル様に、元気よく返事をしたのだった。





お昼過ぎ。

メリル様は用事があると言い出かけていく。

いってらっしゃい、と見送ると、これしといてね。と言われた薬草の在庫チェックとすり潰しの作業を開始した。




「よしっ、チェックおわりー。」

30分程して、在庫のチェックが終わる。

それが終わり、次は薬草を…。とすり鉢を棚から取っていた時、

コンコン

来客を告げる音がした。

念の為フードをかぶり、扉を開ければ、

「ちょうどよかった、リウ。」

私の中では、随分と久しぶりに見る、セシル王子がそこにいた。




「どうぞ。」

紅茶を淹れたカップをセシル王子の前に置く。

お口に合うかわかりませんが…。と言えば、一口飲んだ後に、うん、美味しいよ。と綺麗な笑みを浮かべた。

それに少しホッとし、私も向かいに座る。

セシル王子の視線が私に向き、手に汗を握った。

昨日のこずえちゃんの話を聞いた時から、セシル王子には聞きたいことばかりだ。

まだうまく整理は出来ていないが、ある程度はまとまった。

「昨日、聖女様にあったんだってね。」

カップを置きながら、セシル王子が言った。

それに、はい。と答えれば、セシル王子が真剣な瞳を向ける。

自分の心臓が、ドクリと脈打った時、セシル王子が口を開いた。







__________俺は、後1年も生きられない。












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