6 / 53
ろく。
しおりを挟む
それからシュトロハイムさんは、この世界、『ネフラ』の事も話してくれた。
人間の誰もが魔力と言う力を持ち、魔法を使える。
ただ、その魔力には5つの属性があり、使える魔法も変わってくる。
それは、自分の髪と瞳に現れる。
赤の色なら、火属性
青の色なら、水属性
緑の色なら、風属性
黄の色なら、雷属性
茶の色なら、地属性
魔力の多さ、魔法の強さは色に現れ、濃い色になればなる程能力が高い人物であると証明できる。
基本的には一つの属性だけだが、ごく稀に2属性持っている者もいるとのことだ。
その場合も髪と瞳を見ればわかるらしいが、その2属性のうちのどちらかの属性に力は偏るらしい。
また、私が飲まされたあの液体は、ポーションと言い、それも色ごとに効果が違う。
赤の色は、体力回復
青の色は、魔力回復
緑の色は、病気を治す治癒
黄の色は、外的要因からなる毒や麻痺などの異常回復
紫の色は、欠損部分の再生
これも、色ごとにランクがあり、濃い色ほど効果が高い。
そして、この世界には魔獣というものがおり、狼や蛇、猿など様々な形をしているらしい。
この魔獣は、元から魔獣として生まれるものもいれば、飼っている家畜がなることもあり、原因は、魔法石と呼ばれる石を飲み込んでしまうことで魔獣になるとのことだ。
魔法石とは、魔石に魔力を込めて出来る石であり、大きさは5mm程の小さいものもあれば、5cm程までの大きさの物もあるらしい。
魔石は稀に鉱山から採掘されるとても高価な物で、元は乳白色のその石は、魔力を込めることでその色になるとのことだ。
はじめ、この事が分かった時は、魔獣狩りというのが流行ったらしいが、人間側の負傷者、最悪命を落とす者が多かったことと、魔獣を倒しても魔法石は溶けて魔獣の体に馴染んでしまっていたのか、取り出すことは不可能であったことから、今ではある一定の実力を持った者しか魔獣を相手にしてはいけないと決まったのだ。
「……人間が、魔法石を取り込んだらどうなるんですか…?」
「なかなか危険な発想をするな。…元から魔力属性が決まっているからな。腹を下すか吐き出されるかで特に影響はないな。」
…いや、影響あるでしょう。
そう思ってシュトロハイムさんを見ると、優雅に紅茶を飲んでいた。
「ちなみに、魔獣は目が真っ黒だからな、見ればすぐにわかる。」
森にいた時遭遇しなかったか?と聞かれ、いえ。と首を横にふれば、運が良かったんだな。と返ってきた。
なんでも、私が何日もさまよっていた森は、魔獣が多いと言われる東の森で、一般の人間は立ち入らないらしい。
もし遭遇していたら今頃私はどうなっていたのか…。
薄々気付いてはいたが、やはり私は殺されそうになっていたのかと体がブルリと震えた。
「…そういえば、第1騎士団ってお聞きしましたが、どちらの国の兵士さんなんですか?」
たどり着いた考えを消そうと、話題を変えれば、
「ん?…あぁ、チャロアフロスティク王国のだが?」
「………。」
私は、私を捨てた王子がいる国の騎士様に拾われたらしい。
ガタッ
ここにいては危険だと、警鐘が聞こえる。
慌てて席を立ち、出て行こうとすれば、あと少しと言うところでシュトロハイムさんに腕を掴まれた。
「離してッ!」
「落ち着け!」
「ヤッ!離してよっ…!」
「オイッ!—ッ!」
「ぁ…ごめ、なさ……。」
振り回していた腕が、シュトロハイムさんの顔にあたる。
爪があたってしまったのか、綺麗な顔の頬にスッと赤い筋がひかれた。
思わず一歩後ずさると、グッと腕をひかれる。
その強さに体が前のめりになると、シュトロハイムさんの胸に頭を預ける形になってしまった。
「…なんか騒がしいなと思ったら、お邪魔してしまったかな?」
「—っ!」
離れようと足に力を入れれば、背後からどこかで聞いた事があるような声が聞こえた。
それにびくりと体を固くすると、頭上からシュトロハイムさんの声が聞こえる。
「セシル王子。」
「……お、うじ…?」
王子と言うのは、あれか…?
この国の…?
私を勝手に巻き込んで置いて、魔獣とかいう危険生物がいっぱいいる森に捨て置いた、あの、王子の事だろうか……?
「盗み聞きですか?」
「ははっ、一国の王子に言うね、ゼノ。…否定はしないけど。」
「はぁ、じゃあ最初っから入って来れば良かっただろう。」
「いやぁ、俺は呼ばれてないからね。」
シュトロハイムさんは私をそのままに、セシル王子と呼んだ人物と話している。
話を聞いていた、と言うことは、私という存在が自分が捨てた異界の者だということが、バレていると言うことだろう。
いつの間にかラフな話し方になっているシュトロハイムさんに、王子にその話し方で良いのかと、混乱している頭の中で突っ込みを入れる。
逆に、冷静な頭の片隅では、逃げなければと言っている。
ただ、未だに掴まれている腕と、前後に立つ人達により退路は絶たれている。
どうしたものかと詰めていた息を吐き出すと、2人の視線が私に向いたような気がした。
人間の誰もが魔力と言う力を持ち、魔法を使える。
ただ、その魔力には5つの属性があり、使える魔法も変わってくる。
それは、自分の髪と瞳に現れる。
赤の色なら、火属性
青の色なら、水属性
緑の色なら、風属性
黄の色なら、雷属性
茶の色なら、地属性
魔力の多さ、魔法の強さは色に現れ、濃い色になればなる程能力が高い人物であると証明できる。
基本的には一つの属性だけだが、ごく稀に2属性持っている者もいるとのことだ。
その場合も髪と瞳を見ればわかるらしいが、その2属性のうちのどちらかの属性に力は偏るらしい。
また、私が飲まされたあの液体は、ポーションと言い、それも色ごとに効果が違う。
赤の色は、体力回復
青の色は、魔力回復
緑の色は、病気を治す治癒
黄の色は、外的要因からなる毒や麻痺などの異常回復
紫の色は、欠損部分の再生
これも、色ごとにランクがあり、濃い色ほど効果が高い。
そして、この世界には魔獣というものがおり、狼や蛇、猿など様々な形をしているらしい。
この魔獣は、元から魔獣として生まれるものもいれば、飼っている家畜がなることもあり、原因は、魔法石と呼ばれる石を飲み込んでしまうことで魔獣になるとのことだ。
魔法石とは、魔石に魔力を込めて出来る石であり、大きさは5mm程の小さいものもあれば、5cm程までの大きさの物もあるらしい。
魔石は稀に鉱山から採掘されるとても高価な物で、元は乳白色のその石は、魔力を込めることでその色になるとのことだ。
はじめ、この事が分かった時は、魔獣狩りというのが流行ったらしいが、人間側の負傷者、最悪命を落とす者が多かったことと、魔獣を倒しても魔法石は溶けて魔獣の体に馴染んでしまっていたのか、取り出すことは不可能であったことから、今ではある一定の実力を持った者しか魔獣を相手にしてはいけないと決まったのだ。
「……人間が、魔法石を取り込んだらどうなるんですか…?」
「なかなか危険な発想をするな。…元から魔力属性が決まっているからな。腹を下すか吐き出されるかで特に影響はないな。」
…いや、影響あるでしょう。
そう思ってシュトロハイムさんを見ると、優雅に紅茶を飲んでいた。
「ちなみに、魔獣は目が真っ黒だからな、見ればすぐにわかる。」
森にいた時遭遇しなかったか?と聞かれ、いえ。と首を横にふれば、運が良かったんだな。と返ってきた。
なんでも、私が何日もさまよっていた森は、魔獣が多いと言われる東の森で、一般の人間は立ち入らないらしい。
もし遭遇していたら今頃私はどうなっていたのか…。
薄々気付いてはいたが、やはり私は殺されそうになっていたのかと体がブルリと震えた。
「…そういえば、第1騎士団ってお聞きしましたが、どちらの国の兵士さんなんですか?」
たどり着いた考えを消そうと、話題を変えれば、
「ん?…あぁ、チャロアフロスティク王国のだが?」
「………。」
私は、私を捨てた王子がいる国の騎士様に拾われたらしい。
ガタッ
ここにいては危険だと、警鐘が聞こえる。
慌てて席を立ち、出て行こうとすれば、あと少しと言うところでシュトロハイムさんに腕を掴まれた。
「離してッ!」
「落ち着け!」
「ヤッ!離してよっ…!」
「オイッ!—ッ!」
「ぁ…ごめ、なさ……。」
振り回していた腕が、シュトロハイムさんの顔にあたる。
爪があたってしまったのか、綺麗な顔の頬にスッと赤い筋がひかれた。
思わず一歩後ずさると、グッと腕をひかれる。
その強さに体が前のめりになると、シュトロハイムさんの胸に頭を預ける形になってしまった。
「…なんか騒がしいなと思ったら、お邪魔してしまったかな?」
「—っ!」
離れようと足に力を入れれば、背後からどこかで聞いた事があるような声が聞こえた。
それにびくりと体を固くすると、頭上からシュトロハイムさんの声が聞こえる。
「セシル王子。」
「……お、うじ…?」
王子と言うのは、あれか…?
この国の…?
私を勝手に巻き込んで置いて、魔獣とかいう危険生物がいっぱいいる森に捨て置いた、あの、王子の事だろうか……?
「盗み聞きですか?」
「ははっ、一国の王子に言うね、ゼノ。…否定はしないけど。」
「はぁ、じゃあ最初っから入って来れば良かっただろう。」
「いやぁ、俺は呼ばれてないからね。」
シュトロハイムさんは私をそのままに、セシル王子と呼んだ人物と話している。
話を聞いていた、と言うことは、私という存在が自分が捨てた異界の者だということが、バレていると言うことだろう。
いつの間にかラフな話し方になっているシュトロハイムさんに、王子にその話し方で良いのかと、混乱している頭の中で突っ込みを入れる。
逆に、冷静な頭の片隅では、逃げなければと言っている。
ただ、未だに掴まれている腕と、前後に立つ人達により退路は絶たれている。
どうしたものかと詰めていた息を吐き出すと、2人の視線が私に向いたような気がした。
1
お気に入りに追加
1,832
あなたにおすすめの小説
集団転送で異世界へ。 ~神の気まぐれによって?異世界生活~
武雅
ファンタジー
永遠の時に存在する神ネレースの気まぐれによって? その創造神ネレースが管理する異世界に日本から30000人が転送されてしまう。
異世界に転送される前になぜか神ネレースとの面談があり、提示された職業に自分の思い通りの職業が無かったので神にダメ元で希望を言ってみたら希望の職業と望みを叶えられその代償として他の転送者よりも過酷な辺境にある秘境の山奥に送られ元の世界に戻りたい以前に速攻で生命の危機にさらされてしまう!
神が面白半分で決めた事象を達成するとその順位により様々な恩恵を授けるとのこと。
「とりあえず町を目指せ!村ではなく町だ!!」とそれ以外特に神ネレースより目的も与えられず転送された人々は・・
主人公は希望の職業を要求した代償としていきなり森を彷徨いゴブリンに追われることに。
神に与えられた職業の能力を使い、チートを目指し、無事に異世界を生き抜くことを目指しつつ自分と同じ転送された人々を探し現実世界への帰還を模索をはじめる。
習慣も風俗も法律も違う異世界はトラブルだらけで息つく暇もなく、転送されたほかの人たちも暴走し・迷走し、異世界からの人々をめぐって国家単位で争奪戦勃発!?
その時、日本では謎の集団集団失踪や、令和のミステリーとして国家もマスコミも世間も大騒ぎ?
転送された人々は無事に元の世界にかえれるのか、それとも異世界の住人になって一生をおえるのか。
それを眺め娯楽とする神の本当の目的は・・・。
※本作は完結まで完成している小説になりますので毎日投降致します。
初作品の為、右も左も分からず作った作品の為、ですます調、口調のブレが激しいですが温かい目でお読み頂ければ幸いでございます。
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
【本編完結】転生隠者はまったり怠惰に暮らしたい(仮)
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
私と離婚して、貴方が王太子のままでいれるとでも?
光子
恋愛
「お前なんかと結婚したことが俺様の人生の最大の汚点だ!」
――それはこちらの台詞ですけど?
グレゴリー国の第一王子であり、現王太子であるアシュレイ殿下。そんなお方が、私の夫。そして私は彼の妻で王太子妃。
アシュレイ殿下の母君……第一王妃様に頼み込まれ、この男と結婚して丁度一年目の結婚記念日。まさかこんな仕打ちを受けるとは思っていませんでした。
「クイナが俺様の子を妊娠したんだ。しかも、男の子だ!グレゴリー王家の跡継ぎを宿したんだ!これでお前は用なしだ!さっさとこの王城から出て行け!」
夫の隣には、見知らぬ若い女の姿。
舐めてんの?誰のおかげで王太子になれたか分かっていないのね。
追い出せるものなら追い出してみれば?
国の頭脳、国を支えている支柱である私を追い出せるものなら――どうぞお好きになさって下さい。
どんな手を使っても……貴方なんかを王太子のままにはいさせませんよ。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる