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ろく。

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それからシュトロハイムさんは、この世界、『ネフラ』の事も話してくれた。

人間の誰もが魔力と言う力を持ち、魔法を使える。
ただ、その魔力には5つの属性があり、使える魔法も変わってくる。
それは、自分の髪と瞳に現れる。

赤の色なら、火属性
青の色なら、水属性
緑の色なら、風属性
黄の色なら、雷属性
茶の色なら、地属性

魔力の多さ、魔法の強さは色に現れ、濃い色になればなる程能力が高い人物であると証明できる。

基本的には一つの属性だけだが、ごく稀に2属性持っている者もいるとのことだ。
その場合も髪と瞳を見ればわかるらしいが、その2属性のうちのどちらかの属性に力は偏るらしい。


また、私が飲まされたあの液体は、ポーションと言い、それも色ごとに効果が違う。

赤の色は、体力回復
青の色は、魔力回復
緑の色は、病気を治す治癒
黄の色は、外的要因からなる毒や麻痺などの異常回復
紫の色は、欠損部分の再生

これも、色ごとにランクがあり、濃い色ほど効果が高い。

そして、この世界には魔獣というものがおり、狼や蛇、猿など様々な形をしているらしい。

この魔獣は、元から魔獣として生まれるものもいれば、飼っている家畜がなることもあり、原因は、魔法石と呼ばれる石を飲み込んでしまうことで魔獣になるとのことだ。

魔法石とは、魔石に魔力を込めて出来る石であり、大きさは5mm程の小さいものもあれば、5cm程までの大きさの物もあるらしい。

魔石は稀に鉱山から採掘されるとても高価な物で、元は乳白色のその石は、魔力を込めることでその色になるとのことだ。

はじめ、この事が分かった時は、魔獣狩りというのが流行ったらしいが、人間側の負傷者、最悪命を落とす者が多かったことと、魔獣を倒しても魔法石は溶けて魔獣の体に馴染んでしまっていたのか、取り出すことは不可能であったことから、今ではある一定の実力を持った者しか魔獣を相手にしてはいけないと決まったのだ。



「……人間が、魔法石を取り込んだらどうなるんですか…?」

「なかなか危険な発想をするな。…元から魔力属性が決まっているからな。腹を下すか吐き出されるかで特に影響はないな。」

…いや、影響あるでしょう。

そう思ってシュトロハイムさんを見ると、優雅に紅茶を飲んでいた。

「ちなみに、魔獣は目が真っ黒だからな、見ればすぐにわかる。」

森にいた時遭遇しなかったか?と聞かれ、いえ。と首を横にふれば、運が良かったんだな。と返ってきた。

なんでも、私が何日もさまよっていた森は、魔獣が多いと言われる東の森で、一般の人間は立ち入らないらしい。

もし遭遇していたら今頃私はどうなっていたのか…。

薄々気付いてはいたが、やはり私は殺されそうになっていたのかと体がブルリと震えた。

「…そういえば、第1騎士団ってお聞きしましたが、どちらの国の兵士さんなんですか?」

たどり着いた考えを消そうと、話題を変えれば、

「ん?…あぁ、チャロアフロスティク王国のだが?」

「………。」


私は、私を捨てた王子がいる国の騎士様に拾われたらしい。



ガタッ

ここにいては危険だと、警鐘が聞こえる。

慌てて席を立ち、出て行こうとすれば、あと少しと言うところでシュトロハイムさんに腕を掴まれた。

「離してッ!」

「落ち着け!」

「ヤッ!離してよっ…!」

「オイッ!—ッ!」

「ぁ…ごめ、なさ……。」

振り回していた腕が、シュトロハイムさんの顔にあたる。

爪があたってしまったのか、綺麗な顔の頬にスッと赤い筋がひかれた。

思わず一歩後ずさると、グッと腕をひかれる。

その強さに体が前のめりになると、シュトロハイムさんの胸に頭を預ける形になってしまった。

「…なんか騒がしいなと思ったら、お邪魔してしまったかな?」

「—っ!」

離れようと足に力を入れれば、背後からどこかで聞いた事があるような声が聞こえた。

それにびくりと体を固くすると、頭上からシュトロハイムさんの声が聞こえる。

「セシル王子。」

「……お、うじ…?」

王子と言うのは、あれか…?

この国の…?

私を勝手に巻き込んで置いて、魔獣とかいう危険生物がいっぱいいる森に捨て置いた、あの、王子の事だろうか……?

「盗み聞きですか?」

「ははっ、一国の王子に言うね、ゼノ。…否定はしないけど。」

「はぁ、じゃあ最初っから入って来れば良かっただろう。」

「いやぁ、俺は呼ばれてないからね。」

シュトロハイムさんは私をそのままに、セシル王子と呼んだ人物と話している。

話を聞いていた、と言うことは、私という存在が自分が捨てた異界の者だということが、バレていると言うことだろう。

いつの間にかラフな話し方になっているシュトロハイムさんに、王子にその話し方で良いのかと、混乱している頭の中で突っ込みを入れる。

逆に、冷静な頭の片隅では、逃げなければと言っている。

ただ、未だに掴まれている腕と、前後に立つ人達により退路は絶たれている。

どうしたものかと詰めていた息を吐き出すと、2人の視線が私に向いたような気がした。
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