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さん。

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「—ッ!ゴホッ、ガッゲホッ!ウェッ、ゲホッ、」

喉を通る異物の感覚に激しく咳き込む。

「ゲホッ、はぁ、ゴホッ、ゲホッ、はぁ、はぁ、」

「おい!大丈夫か⁉︎」

「はぁ、はぁ、…はぁ。」

咳が落ち着き、息を整える。

咳き込んでいる間、背をさすってくれていた人物を見上げる。

「—ハァ⁉︎ガッ、ゲホッ、ゴホ、ゴホッ、」

私は視界に入ってきた光景に自分の目を疑った。

濃紺の髪に、同じ色した深い青の瞳。

驚きの声をあげ、咳き込んでしまうほどの_____イケメンだったのだ。

「おい、無理するな。」

「ちょっ、ゴホッ、ゲホッ、ヒュッ、はぁ、あんま、ゲホッ、近よゴホッ、ないで…!ゴホッ、はぁ、はぁ、」

「は?何言って…。」

「ゲホッ、だ、か、はぁはぁ、ヒュッ!ゲホッ、ゲホッ、顔が!ゴホッ、イケメンだから、はぁ、ゲホッ、わた、しの、ゴホゴホッ、目が、はぁ、はぁ、オーラ、で、やら、ゲホッ、る…!ゲホッ、ゴホッ、」

「は⁉︎おい!…おい?……え、マジか?」

そのイケメンの顔面の破壊力に興奮しすぎたのか、それとも咳き込み過ぎての酸素不足か。

私の意識はそこで途切れたのであった。






次に目が覚めた時は、清潔なベッドの上でした。

_____と言う事はなく、凄く揺れる物の上に乗せられていた。

「なに、こ、痛ッ!」

目を開ければ、まだ森の中ではある事が分かるが、過ぎていく景色が速い。

これは何だろうかと口を開けば、揺れる振動に舌を噛む。

痛みに呻けば、私の背後から声が聞こえた。

「起きたのか?」

そう問われるが、口を開けばまた舌を噛みそうで、コクリと頷いてみる。

それで相手には伝わったのか、揺れが少し落ち着き、景色もゆっくりと流れる速さに変わった。

「後少しで着くから、大人しく乗っておけ。」

背後にいる人物が誰か分からないが、あの、最後に見たイケメンであって欲しいような、欲しくないような。

心地の良い低い声になぜか安心し、私はまた、目を閉じた。





「ん…。」

ガヤガヤざわざわと音がするのを感じ、目を開ける。

未だ重い上半身を無理矢理起こし、周りを確認する。

「ここは…?」

あたりを確認すると、10人程が雑魚寝出来そうな程の大きさのテントの様な物の中に寝かされていた。

服は着替えさせられ、体も拭かれたのだろうか。少しスッキリとしているような気がする。

私の荷物や服は、側に置かれていた。

水を飲もうかとリュックを開け、ペットボトルを取れば、中身は空だった。

そう言えば無くなってから川の水を飲んだんだっけ…。と曖昧な記憶を思い出していると、あ、起きた?と、声をかけられた。

ビクリと体を震わせ、声がした方を振り向く。

「あ…。」

綺麗…。

思わず出てしまった言葉にハッと口を押さえると、ふふっ、ありがとう。とその人は笑った。

鮮やかな濃い緑の髪に、綺麗な緑の瞳の女性。

その笑顔もまた綺麗だな…。と思っていると、一度消えたその女性が、手に何かを持って戻ってきた。

「はい、これ飲んで。」

「……え?これを…?」

そう言って目の前に差し出されたのは、学生の時に実験で使った試験管の様な物に入っている緑と赤の液体が一本ずつ。

着色料の凄そうなそれに、思わず顔を顰めてしまう。

「あれ?ポーションだよ?早く飲んで?」

見つめるだけの私に、体調悪いんでしょう?と心配気に見てくるその女性には悪いが、今それを飲んだ方が体調が悪化しそうな気がする。

どうしようかと視線を彷徨わせていると、どうした?と別の人物が現れた。

「—ッ!」

チラリとそちらを見ると、森の中で見た青年であり、その輝きはやはり本物であったと実感する。

美男美女の2人が何やら話しているが、見ているこちらとしては眼福ものである。

思わず拝んでしまっていると、先程の液体を持った青年が私の元にやって来た。

やはりそれを飲まなきゃいけないのだろうか…。と視線を下げた時、青年が私の顎を掴む。

意外に強い力の手は、私の顔を上に向かせた。

驚きで口をポカンと開ける私と視線が合い、青年がにこりと笑う。

イケメンの笑みの破壊力に呆然としていると、

「フガッ!」

先程の液体を口に突っ込まれた。

喉奥にくる衝撃に、思わず飲み込んでしまう。

あまり量の多くなかったそれを私が飲み干すのを確認すると、ゆっくりと試験管らしき容器が抜かれた。

ゲホゲホと咳き込みながら涙目で青年を見ると、私の目の前に赤い液体が入った容器をチラつかせる。

少しずつ落ち着いていく咳に、はぁはぁと呼吸を荒くしながら、私は今、あの、得体の知れない緑の液体を飲んでしまったのかと顔を青くした。

「な、に飲ませッ…!」

「ん?ポーション。」

それはさっき聞いた。と思い、赤い液体を持つ青年から後ずさる様に逃げれば、あれ?と違和感を覚える。

「…体が、痛くない…?」

さっきまでの熱独特の怠さや、関節の痛みが無くなっているのだ。

何がどうなっているのかと青年を見ると、思ったより近くにその顔があった。

ヒッ!と驚いてズルズルと後ずさると、逃がさない、と言うふうに足を掴まれる。

何をされるのかと恐怖に震えれば、また、顎を掴まれ、口に赤い液体を突っ込まれた。

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