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少女に出会って3年後から。さん。

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今日は、会いに来たと言っても、本当に彼女であるかの確認と、無事でいるかの確認だけだとヴァンス王子に言われている。

なぜ俺のことを話してはいけないのかと抗議すれば、もし彼女が君の事を忘れていたらどうする?それと、覚えていたとしても待っていなかったら?と言われ、俺は何も言えなかった。

不安と緊張で汗ばむ手に力を入れ、少し古びた食堂の扉を開ける。

カランカラン

そんな音が鳴りながら中に入ると、

「いらっしゃいま…せ……。」

元気な声が聞こえたかと思ったら、その声が尻すぼみになっていった。

目の前にいた女性は、ピンクの瞳を大きく見開き、ポカンと口を開けている。

あの頃よりも綺麗になっているこの女性が、彼女だとすぐに気付く。

柔らかいプラチナブロンドの髪を一つに結び、コップを両手に持っている彼女に、心臓がドクンと大きく鳴った。

俺に気付いているのかは分からないが、先に用事を済まさなければと、席を確認する。

その後、テキパキと片付けをした彼女は、どうぞお好きな席へ。と笑顔で言った。

その笑顔に、自分の顔が赤くなるのが分かる。

隠すようにお礼を言い、外に出ると、ニヤニヤとこちらを向いていた。

それに舌打ちしたい気分をグッと抑え、中へ促す。

ヴァンス王子が店に入った時、彼女が彼を呼ぶ声がした。

「久しぶりだね、レイラ。」

そう言って、彼女に笑みを向けるヴァンス王子に嫉妬心が芽生える。

俺はこんなにも心の狭い男だったのかと、苦笑した。


フランはここね。とヴァンス王子に言われ、彼の向かいの席に座る。

水を配り終えた彼女に、料理を注文すれば、周りからの視線が痛かった。

カウンターに注文の書いた紙を渡したのを確認すると、ヴァンス王子が彼女を呼ぶ。

ヴァンス王子が、こちらを見てニヤリと笑った気がした。

なんでしょう?と言って近付いてくる彼女に、心臓が早くなる。

そんな俺の状況などお構い無しに、ヴァンス王子は彼女と話を進めていた。

何回か言葉を交わしているのを耳にした時、ヴァンス王子が、初恋の人かと質問した。

その言葉に目を丸くしたのは、彼女だけではない。俺もだ。

そんな話を聞いたのは初めてだ、と彼に視線を送る。

初恋の人が誰だかは分からないが、その人の為に大事な婚約を破棄したと言うのだろうか?

それなら、俺に勝ち目なんて……。と思った気持ちは、すぐにかき消された。

彼女が、首元につけていた、あのネックレスを大事そうに触れたからだ。

なぜ今までそこにあるのを気付けなかったのかと、自分を責めるのと同時に、心が震えた。

彼女の、今でも忘れられない。と言う言葉を聞き、今すぐに口を開きたいのをグッと堪える。

レイラちゃん!とその後すぐに呼ばれた彼女は、料理を運び始める。

美味しそうに湯気のたつ料理は、緊張で味が分からなかった。



食事が終わり、会計を済ませ外に出る。

馬車や馬の準備をしている中、ヴァンス王子が彼女と話をしていた。

準備が終わり、ヴァンス王子を見送る彼女の近くに行く。

最後に、どうしても確認しておかなければならない事があるのだ。

彼女の名前を呼び、俺の名前を教えれば、フラン様、と名を呼ばれる。

夢にまで見たその言葉に、自分でもひくくらい気分が高揚した。


「初恋の人、と言うのはまだ忘れられないのですか?大事な婚約を、無しにしてしまうほどに。」

そう彼女に聞くと、その綺麗な瞳でこちらを見つめ返してくる。

「……そうですね。私もバカだとは思っているのですが。」

おかげで、結婚適齢期も過ぎそうです。と彼女は笑った。

そんな彼女に、胸が苦しくなる。

背後から小さな声で、出るぞ。と団長が言った。

最後に一つだけ、と思い、深く息を吸い、口を開く。

「会いたいと、思いますか。…迎えに来て欲しい、と。」

緊張で乾いた口から出たのは、呟くような声だった。

しかし彼女にはちゃんと届いたらしい。

「はい。」

綺麗な笑顔で、そう、答えた。



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