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勃発
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「なにこれ、通帳?使えって何に?」
みてもいいのか?と聞いてから、中を見てみると結構な金額1500万円が入っていた。
「は?随分な大金だな。なんだよこれ…え、まさかマンションにってこと?」
通帳を手にして思わず京介の顔を見てしまう。
「いや、流石にマンション一棟だと太刀打ち出来ない金額だろうけど、俺らの部屋を買った気でってことでさ、俺にも出させてほしいんだよ」
京介にしてみたら仮にてつやがマンションを建てなかったとしても、いずれは二人で住む家を買うことになるんだし、ということで今度住む家の分くらいは出したいと思っていた。そこだけは流石に、てつやにおんぶに抱っこという訳には行かない。
しかしてつやは
「いや、いらねえよ。前から言ってるけど、俺は昔からお前らに迷惑や心配かけっぱなしできてるんだ。俺の当時の夢も知ってるだろ。みんなの助けになったり、みんなが困った時には助けたいっていうさ。今回はそういうのではないかもだけど、お前に金出してもらうわけにはいかねえよ。マンション建てるのも俺の勝手なんだからさ」
「俺もそう言う訳にはいかないんだよ。自分が住むところの責任…の半分くらいは持たせてくれよ」
頼むからさあ、と和やかに受け取ってもらうように言ってみるが、てつやは頑なに通帳を押し返してきて、
「いや、いらねえ。金の算段はもう全部ついてるから、今そんな大金渡されても俺が困る。俺が使うわけにもいかねえしさ」
「その算段の中に組み込んでくれたらいいし、間に合わないんなら運営資金でもいいじゃんよ。お前会社立てなきゃなんなくなったっていってただろ、それに使ったっていいしさ。なんでそんなにムキになるんだよ。俺ら2人でやってくんだろ?お前に家を建ててもらって、ラッキーって喜べると思うか?」
てつやは、今まで確定申告を一般でやっていてテナントビルやマンションの収入を不動産収入としてやっていたが、会社作って管理すれば少しは税金免除になると不動産屋の友達に言われ、その方がきっちりするのかなと考えたのだ。
会社というにはなんだが、まあ小規模なものを立てて、青色申告に切り替えるところだった。
「会社設立に使えって言うのはそれこそ話が変わってくる。それなら尚更受け取れない。だからさ喜べばいいんだよ。俺はお前にもなんでもしてやりたいし、俺のそばにいて笑っててほしいんだから」
「俺だって同じ気持ちだぞ。でも、与えられた家でのほほんとは暮らせねえって言ってんのよ。そこわかってくれって」
「だから、のほほんと暮らせばいいんだって。俺が好きでやったことにお前に迷惑かけらんねえよ」
頑なに手を引っ込めててつやは通帳を拒否する。
「俺はさ、本当にお前達に助けられてきたんだよ。その恩返しさせてくんねえかな…」
「恩返しはいいけど、それとこれは話が違うんだって。そこもわかってくれよ」
「お前頑固だな京介」
「頑固はお前だろ。世の中の親父たちが1人で家族養って家建ててローン払ってると思ってんのか?お前はたまたま金があってこう言う事になったけど、住む家に金を出すのは住む者全員の義務であり責任であり、住むための対価だ。家賃だって払ってただろお前だって。2人で住む家なんだ。俺だって半分…になるかわかんねえけど少しは負担させてほしい。これは当然のことなんだ。『俺』の家でもあるわけだからさ」
「どこの当然なのかわかんねえけど、俺の当然もわかってくれてると思ってた。そうだよ、俺は自分でやりたくて金稼いでビル買ってマンション買って、こんどは建てるんだよ。仕事の一環。そこに自分の…今はお前と俺の家として『ついで』に部屋を作っただけなんだ。その「ついで」には対価も何も発生しなくねえか?責任も無いよな。義務も無い。俺だって、改めてマンションの部屋を買ったわけでも無いしさ、なんでお前がそこにこだわるかわかんねえ」
「お前の当然は自己満足だろ!」
流石に京介が声を荒げた。
「自己満足上等なんだよ!俺は曲げねえからな。早く通帳しまってくれよ。俺は使わねえから」
京介の前にずいっと押し戻しててつやは京介を睨んだ。
ここは引けない京介もてつやを睨み返し
「出したものは引っ込められねえよ。受け取らないんだったら、直接業者にいくまでだ」
「そんなことしてみろ!お前と一緒には…」
そこまで言って、てつやは口をつぐんだ。流石に言ってはいけないことだった。
京介もてつやが言いかけたことはちょっと勘に触る。
「そうか、わかった。お前がそこまで頑固だとは思ってもいなかった。これからのこととか色々考えなくちゃなんだな。俺が金出さないと言うことは俺は出来た部屋には住めないってことだから」
目を見つめたまま京介が、今まで見たこともないような冷たい目で言ってきた。
てつやもそれには少し気持ちが引く思いがする。
京介は通帳はそのままに立ち上がり、部屋へ戻ってコートを持ってくると、
「お前行き場所ねえだろうからここにいて良いから。俺はちょっと出てくわ。頭も冷やしたいしな。俺はこの件に関しては引く気はないし、お前がそんなに嫌なら…その『一緒には…』の続きになるのかもしれないな」
京介は通帳に目をやりながらそういうと、部屋を出ていった。
さっきまで楽しかったのに…なんでこんなことになった?京介があんなこと言い出さなければこんな事にならなかったのに…
てつやは恨みがましくテーブルの上の通帳を見つめ、残ったケーキの皿にフォークを投げて後ろに寝転んだ。
解ってくれてると思っていた。
色々あった学生時代の事も全て知った上で理解して、一緒に暮らすことまで考えるようになったのだから、マンションを建てて自分達の家を作るって言った時も喜んでくれた。
「受け取れ無いんだよ…俺だけでやりたいから…なんでわかんねえのかな!」
不意に起き上がって残ったシャンパンをグラスに注ぎ、一気に飲む。
酔えない体質が今は恨めしかった。
みてもいいのか?と聞いてから、中を見てみると結構な金額1500万円が入っていた。
「は?随分な大金だな。なんだよこれ…え、まさかマンションにってこと?」
通帳を手にして思わず京介の顔を見てしまう。
「いや、流石にマンション一棟だと太刀打ち出来ない金額だろうけど、俺らの部屋を買った気でってことでさ、俺にも出させてほしいんだよ」
京介にしてみたら仮にてつやがマンションを建てなかったとしても、いずれは二人で住む家を買うことになるんだし、ということで今度住む家の分くらいは出したいと思っていた。そこだけは流石に、てつやにおんぶに抱っこという訳には行かない。
しかしてつやは
「いや、いらねえよ。前から言ってるけど、俺は昔からお前らに迷惑や心配かけっぱなしできてるんだ。俺の当時の夢も知ってるだろ。みんなの助けになったり、みんなが困った時には助けたいっていうさ。今回はそういうのではないかもだけど、お前に金出してもらうわけにはいかねえよ。マンション建てるのも俺の勝手なんだからさ」
「俺もそう言う訳にはいかないんだよ。自分が住むところの責任…の半分くらいは持たせてくれよ」
頼むからさあ、と和やかに受け取ってもらうように言ってみるが、てつやは頑なに通帳を押し返してきて、
「いや、いらねえ。金の算段はもう全部ついてるから、今そんな大金渡されても俺が困る。俺が使うわけにもいかねえしさ」
「その算段の中に組み込んでくれたらいいし、間に合わないんなら運営資金でもいいじゃんよ。お前会社立てなきゃなんなくなったっていってただろ、それに使ったっていいしさ。なんでそんなにムキになるんだよ。俺ら2人でやってくんだろ?お前に家を建ててもらって、ラッキーって喜べると思うか?」
てつやは、今まで確定申告を一般でやっていてテナントビルやマンションの収入を不動産収入としてやっていたが、会社作って管理すれば少しは税金免除になると不動産屋の友達に言われ、その方がきっちりするのかなと考えたのだ。
会社というにはなんだが、まあ小規模なものを立てて、青色申告に切り替えるところだった。
「会社設立に使えって言うのはそれこそ話が変わってくる。それなら尚更受け取れない。だからさ喜べばいいんだよ。俺はお前にもなんでもしてやりたいし、俺のそばにいて笑っててほしいんだから」
「俺だって同じ気持ちだぞ。でも、与えられた家でのほほんとは暮らせねえって言ってんのよ。そこわかってくれって」
「だから、のほほんと暮らせばいいんだって。俺が好きでやったことにお前に迷惑かけらんねえよ」
頑なに手を引っ込めててつやは通帳を拒否する。
「俺はさ、本当にお前達に助けられてきたんだよ。その恩返しさせてくんねえかな…」
「恩返しはいいけど、それとこれは話が違うんだって。そこもわかってくれよ」
「お前頑固だな京介」
「頑固はお前だろ。世の中の親父たちが1人で家族養って家建ててローン払ってると思ってんのか?お前はたまたま金があってこう言う事になったけど、住む家に金を出すのは住む者全員の義務であり責任であり、住むための対価だ。家賃だって払ってただろお前だって。2人で住む家なんだ。俺だって半分…になるかわかんねえけど少しは負担させてほしい。これは当然のことなんだ。『俺』の家でもあるわけだからさ」
「どこの当然なのかわかんねえけど、俺の当然もわかってくれてると思ってた。そうだよ、俺は自分でやりたくて金稼いでビル買ってマンション買って、こんどは建てるんだよ。仕事の一環。そこに自分の…今はお前と俺の家として『ついで』に部屋を作っただけなんだ。その「ついで」には対価も何も発生しなくねえか?責任も無いよな。義務も無い。俺だって、改めてマンションの部屋を買ったわけでも無いしさ、なんでお前がそこにこだわるかわかんねえ」
「お前の当然は自己満足だろ!」
流石に京介が声を荒げた。
「自己満足上等なんだよ!俺は曲げねえからな。早く通帳しまってくれよ。俺は使わねえから」
京介の前にずいっと押し戻しててつやは京介を睨んだ。
ここは引けない京介もてつやを睨み返し
「出したものは引っ込められねえよ。受け取らないんだったら、直接業者にいくまでだ」
「そんなことしてみろ!お前と一緒には…」
そこまで言って、てつやは口をつぐんだ。流石に言ってはいけないことだった。
京介もてつやが言いかけたことはちょっと勘に触る。
「そうか、わかった。お前がそこまで頑固だとは思ってもいなかった。これからのこととか色々考えなくちゃなんだな。俺が金出さないと言うことは俺は出来た部屋には住めないってことだから」
目を見つめたまま京介が、今まで見たこともないような冷たい目で言ってきた。
てつやもそれには少し気持ちが引く思いがする。
京介は通帳はそのままに立ち上がり、部屋へ戻ってコートを持ってくると、
「お前行き場所ねえだろうからここにいて良いから。俺はちょっと出てくわ。頭も冷やしたいしな。俺はこの件に関しては引く気はないし、お前がそんなに嫌なら…その『一緒には…』の続きになるのかもしれないな」
京介は通帳に目をやりながらそういうと、部屋を出ていった。
さっきまで楽しかったのに…なんでこんなことになった?京介があんなこと言い出さなければこんな事にならなかったのに…
てつやは恨みがましくテーブルの上の通帳を見つめ、残ったケーキの皿にフォークを投げて後ろに寝転んだ。
解ってくれてると思っていた。
色々あった学生時代の事も全て知った上で理解して、一緒に暮らすことまで考えるようになったのだから、マンションを建てて自分達の家を作るって言った時も喜んでくれた。
「受け取れ無いんだよ…俺だけでやりたいから…なんでわかんねえのかな!」
不意に起き上がって残ったシャンパンをグラスに注ぎ、一気に飲む。
酔えない体質が今は恨めしかった。
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