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第5話
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てつやの大ボケと大惚気のせいで、だいぶ京介への攻撃もおさまったところで2人は京介の実家から帰ってきた。
京介のマンションの部屋へ入って、いただいてきた唐揚げ等を片付けていると、後ろから京介が抱きついてくる。
「ん?なんだよ、どした?」
冷蔵庫を閉めて、腰に回った手に自分の手を重ねたてつやは、肩口にある京介の頭に頬を寄せた。
「やきもち焼いてたんだ…」
ボソッという京介に、
「結果的にそうだったみたいだな」
と他人事のようにてつやが返す。
「なんか嬉しかった」
ぎゅっと腕に力を込めて、後ろから引き寄せるように首筋にキスをする。
「なんだよ、喜ばせたのか俺」
笑ってキスを受けながら、身じろぎして正面を向き合って見つめ合った。
「初めてこんな気持ちになったんで、これが嫉妬だってわかんなかったぜ。もう覚えた」
てつやも京介の腰を掴んで、照れたようにそう言って笑う。
「前の事件?時も『気に入らねえこと』って言ってたぞ。あれも嫉妬だと今なら思えるけど、あれはただの『気に入らねえこと』だったのか?」(『チーフの憂鬱』)
指輪を買うことになったきっかけは、田辺さんが制服のブラウスの前を引きちぎって京介にお胸を披露したことだ。
「あー、確かに…あれも言われてみればそうだったのかもだな…でも今回はさ、ネクタイ前にして、モヤモヤした」
京介にぎゅっと抱きついて、顔が見えないようにする。
「その顔が見たいんだけどな」
そう言いながらも髪を撫でて、愛おしそうに京介もてつやを抱きしめた。
「京介が嫉妬する要素が俺にないのが悔しいけど、それはそれでいいのかもな」
そんなことを言うてつやに、京介は肩口で大きなため息をつき
「本気で言ってるのか?」
と言いながら上半身を離しててつやの顔を見る。
「俺なんかいつだって嫉妬と心配の連続だぞ」
てつやでさえ初めて見る京介の心元なさそうな顔。
「え、なんで?俺そんなにモテてないよ?誰からも何もこないしさ」
ーそう言うことじゃなくてさーと、大して差のない身長のてつやの腰を持って持ち上げ、ローソファーまで運び座らせる。
だいぶ昔になるが丈瑠にも、簡単に持ち上げられたのを思い出した。それは結構コンプレックスに感じていることである。
今も、ーこんなに筋肉鍛えてんのになーと思いながら運ばれてはいた。
「まっさんと柾哉の件での稜さんとの食事の時…なんのために俺がついてったと思ってる?丈瑠さんや稜さんと2人きりで出かけたりするの俺がどんだけ警戒してるか解ってんのか?」
若干顔を赤らめて、この際だからはっきり言っておくことを決めた京介は、あまり言いたくはなかったけど…と話を続ける。
「お前の場合はさ、プレゼントとか通り越して直接この…うん…身体に影響してくるから俺は怖いよ」
てつやはただでさえ小さくはない目を見開いて、京介を見ていた。
「お前を信用してない訳じゃないぞ。でも、丈瑠さんと稜さんとの関係はまだちょっと…そこだけの話ではないけど…文治の親父とか…その他色々…」
ソファで向き合って座って、京介は言いにくそうにだがちゃんと話してくれる。
てつやはそんなことが不安だったのか…と微笑んで京介に抱きつく
「俺は…お前のなんだから…大丈夫だぞ。お前も俺のだったな。今回それ失念してた。ネクタイ一本で俺振り回されてごめん。なんか騒ぎが大きくなっちまった」
恥ずかしさでソファに両手をつけたままだった京介の腕が上がり、てつやを抱きしめ返す。
もう何度目かのお互いのものだと言う確認。
「そうだったな…忘れてる訳じゃないんだけど…実際目の当たりにすると穏やかじゃいられないんだよな。ネクタイ…俺こそ悪かったよ。簡単に貰うべきじゃなかった」
「初めての気持ちだったんだよ」
てつやが笑う
「どうしたらいいのかとか、なんだこれはとか、どう言う意味があんだろうとか色々考えて、それでもなんか一番むかついたのは」
「うん」
「京介がオレンジ色が似合うことを理解してたことかな」
は?
確かにネクタイは、渋いオレンジ色だった。京介のネクタイの中にはない色だ。
「俺オレンジ色似合うん?」
「ネクタイ見てたら、ごくごく自然だった…俺にはネクタイの習慣がないし、周りにもいねえじゃん?だからそこが解るんだって悔しくなったのもあった…」
もらった事実よりそこなんだ…と思うと、ますます愛おしい。
「じゃあ…返そうと思ったけどどうしようか…」
「俺が同じのを買う…」
「え~?でも俺がそれつけたら、田辺さんもっと誤解しねえ?」
「そこはお前がちゃんと言え。うまく言え。貰ったものじゃなければいいんだ。俺が買ったのならいい。つけろ」
京介からは見えないが、てつやは肩の上で笑っている。
「貰った方はどうすんの?」
「ギッタンギッタンにするか?」
さっき詩織が言っていたことを言ってみる。京介はーやめとけーと笑って
「まあ、てつやの好きにしろ。俺には何も言う権利ないわ」
そう言って引き寄せてキスをする。
「ずるいぞ、そうやって…んっ…」
後頭部を押さえられて、舌を受け入れた。
「これもずるいな…」
てつやはそのまま這い上がり、京介の膝に跨って座り込む。
「お前時々でかい赤ん坊になるよな」
パーカーを脱がせながら京介はそう言い、脱がせた後黒のスキニーの前を解放する。
「赤ん坊にすることじゃねえな…」
脱がされるままに脱がされて、てつやも京介のネクタイを解く。そう言えば会社帰りだった。
「ネクタイは結べるけど、これって人それぞれだよな。お前のめんどくさいやつだ」
ちょっと解くのに苦労してネクタイを外すと、上着を肩から外して脱がせそれはきちんとソファーの背もたれに。
「俺さ、京介がネクタイ外すの見るの好きなんだよな」
まあ今日は俺が外してしまったけれども…と笑って、シャツも後へと落とした。
その間に京介はてつやのパンツを脱がせ、下着も片足に引っ掛けるだけにしている。てつやの動きも手伝ったとしたって素早い。
「ここでいいのか?ベッド行く?」
素肌で抱き合ってしまっては、今更もう離れたくはなかった。
京介のマンションの部屋へ入って、いただいてきた唐揚げ等を片付けていると、後ろから京介が抱きついてくる。
「ん?なんだよ、どした?」
冷蔵庫を閉めて、腰に回った手に自分の手を重ねたてつやは、肩口にある京介の頭に頬を寄せた。
「やきもち焼いてたんだ…」
ボソッという京介に、
「結果的にそうだったみたいだな」
と他人事のようにてつやが返す。
「なんか嬉しかった」
ぎゅっと腕に力を込めて、後ろから引き寄せるように首筋にキスをする。
「なんだよ、喜ばせたのか俺」
笑ってキスを受けながら、身じろぎして正面を向き合って見つめ合った。
「初めてこんな気持ちになったんで、これが嫉妬だってわかんなかったぜ。もう覚えた」
てつやも京介の腰を掴んで、照れたようにそう言って笑う。
「前の事件?時も『気に入らねえこと』って言ってたぞ。あれも嫉妬だと今なら思えるけど、あれはただの『気に入らねえこと』だったのか?」(『チーフの憂鬱』)
指輪を買うことになったきっかけは、田辺さんが制服のブラウスの前を引きちぎって京介にお胸を披露したことだ。
「あー、確かに…あれも言われてみればそうだったのかもだな…でも今回はさ、ネクタイ前にして、モヤモヤした」
京介にぎゅっと抱きついて、顔が見えないようにする。
「その顔が見たいんだけどな」
そう言いながらも髪を撫でて、愛おしそうに京介もてつやを抱きしめた。
「京介が嫉妬する要素が俺にないのが悔しいけど、それはそれでいいのかもな」
そんなことを言うてつやに、京介は肩口で大きなため息をつき
「本気で言ってるのか?」
と言いながら上半身を離しててつやの顔を見る。
「俺なんかいつだって嫉妬と心配の連続だぞ」
てつやでさえ初めて見る京介の心元なさそうな顔。
「え、なんで?俺そんなにモテてないよ?誰からも何もこないしさ」
ーそう言うことじゃなくてさーと、大して差のない身長のてつやの腰を持って持ち上げ、ローソファーまで運び座らせる。
だいぶ昔になるが丈瑠にも、簡単に持ち上げられたのを思い出した。それは結構コンプレックスに感じていることである。
今も、ーこんなに筋肉鍛えてんのになーと思いながら運ばれてはいた。
「まっさんと柾哉の件での稜さんとの食事の時…なんのために俺がついてったと思ってる?丈瑠さんや稜さんと2人きりで出かけたりするの俺がどんだけ警戒してるか解ってんのか?」
若干顔を赤らめて、この際だからはっきり言っておくことを決めた京介は、あまり言いたくはなかったけど…と話を続ける。
「お前の場合はさ、プレゼントとか通り越して直接この…うん…身体に影響してくるから俺は怖いよ」
てつやはただでさえ小さくはない目を見開いて、京介を見ていた。
「お前を信用してない訳じゃないぞ。でも、丈瑠さんと稜さんとの関係はまだちょっと…そこだけの話ではないけど…文治の親父とか…その他色々…」
ソファで向き合って座って、京介は言いにくそうにだがちゃんと話してくれる。
てつやはそんなことが不安だったのか…と微笑んで京介に抱きつく
「俺は…お前のなんだから…大丈夫だぞ。お前も俺のだったな。今回それ失念してた。ネクタイ一本で俺振り回されてごめん。なんか騒ぎが大きくなっちまった」
恥ずかしさでソファに両手をつけたままだった京介の腕が上がり、てつやを抱きしめ返す。
もう何度目かのお互いのものだと言う確認。
「そうだったな…忘れてる訳じゃないんだけど…実際目の当たりにすると穏やかじゃいられないんだよな。ネクタイ…俺こそ悪かったよ。簡単に貰うべきじゃなかった」
「初めての気持ちだったんだよ」
てつやが笑う
「どうしたらいいのかとか、なんだこれはとか、どう言う意味があんだろうとか色々考えて、それでもなんか一番むかついたのは」
「うん」
「京介がオレンジ色が似合うことを理解してたことかな」
は?
確かにネクタイは、渋いオレンジ色だった。京介のネクタイの中にはない色だ。
「俺オレンジ色似合うん?」
「ネクタイ見てたら、ごくごく自然だった…俺にはネクタイの習慣がないし、周りにもいねえじゃん?だからそこが解るんだって悔しくなったのもあった…」
もらった事実よりそこなんだ…と思うと、ますます愛おしい。
「じゃあ…返そうと思ったけどどうしようか…」
「俺が同じのを買う…」
「え~?でも俺がそれつけたら、田辺さんもっと誤解しねえ?」
「そこはお前がちゃんと言え。うまく言え。貰ったものじゃなければいいんだ。俺が買ったのならいい。つけろ」
京介からは見えないが、てつやは肩の上で笑っている。
「貰った方はどうすんの?」
「ギッタンギッタンにするか?」
さっき詩織が言っていたことを言ってみる。京介はーやめとけーと笑って
「まあ、てつやの好きにしろ。俺には何も言う権利ないわ」
そう言って引き寄せてキスをする。
「ずるいぞ、そうやって…んっ…」
後頭部を押さえられて、舌を受け入れた。
「これもずるいな…」
てつやはそのまま這い上がり、京介の膝に跨って座り込む。
「お前時々でかい赤ん坊になるよな」
パーカーを脱がせながら京介はそう言い、脱がせた後黒のスキニーの前を解放する。
「赤ん坊にすることじゃねえな…」
脱がされるままに脱がされて、てつやも京介のネクタイを解く。そう言えば会社帰りだった。
「ネクタイは結べるけど、これって人それぞれだよな。お前のめんどくさいやつだ」
ちょっと解くのに苦労してネクタイを外すと、上着を肩から外して脱がせそれはきちんとソファーの背もたれに。
「俺さ、京介がネクタイ外すの見るの好きなんだよな」
まあ今日は俺が外してしまったけれども…と笑って、シャツも後へと落とした。
その間に京介はてつやのパンツを脱がせ、下着も片足に引っ掛けるだけにしている。てつやの動きも手伝ったとしたって素早い。
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