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第1章
第5.2話 ハンバーガーとスライム②
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「食べたら、とっととギルドへ行きな」
「あ、はい。朝食ありがとうございます、ウォルナーさん。とっても美味しかったです」
「はっ! お世辞をいっても、宿賃はまけないからね」
ウォルナーさんは皿を下げる。
赤毛の狼族の頬は、さっきよりも少し赤く見えた。
やっぱり良い人である。
「ルーナのことをお願いします」
「ちょっと待ちな」
俺は宿を出ようとすると、ウォルナーさんは俺を引き留めた。
「これ持ってきな」
真っ白な握り飯を差し出した。
「いいんですか? 朝食までいただいたのに」
「あんたのためじゃない。ルーナのためだ」
ウォルナーさんは、ルーナ贔屓らしい。
亜人と獣人の違いはあるけど、同じ獣族である。
同族として見過ごせないだろう。
それにルーナは可愛いしな。
「しっかり稼いでくるんだね、パパ」
ベン、と背中を叩かれる。
その一撃は、一昨日戦った奴隷商の攻撃よりも痛かった。
ウォルナーさんって、実は昔すごい冒険者だったんじゃないのか。
てか、パパってなんだよ。
俺、まだ22歳なんだけど……。
◆◇◆◇◆
俺はギルドに到着する。
スイングドアを開くと、騒がしかったギルドが一気に静まる。
ピンと空気が張り詰めた。
冒険者たちの視線が鋭い。
だが、俺に挑みかかる者も、「外れ勇者」と馬鹿にする者もいなかった。
どうやら俺がギルドマスターになったことが、影響してるらしい。
ま――。
変に絡んでくるよりはいい。
それになかなか気分がいいものだ。
俺は真っ直ぐネレムさんがいる受付へ向かった。
「おはようございます、リックさん。昨夜はよく眠れましたか?」
「はい。とっても。昨日はありがとうございました。ごちそうまでしてもらって」
「とんでもありません。こちらこそ家を提供できず申し訳ありませんでした。明後日には片付くと思うので」
「そうですか。……ところで」
「はい。依頼の方ですね。申し訳ありません。今のところ、リックさんにオススメするメインクエストはないのですが……」
「そうですか」
弱ったな。
それだとお金が……。
「でも、安心してください。フリークエストは、いつでも受け付けていますから」
「フリークエスト?」
特定の依頼主がいないクエストを、フリークエストという。
その内容は主に魔物の討伐だ。
ギルドが指定する魔物を、特定の数だけ倒せば、その分の褒賞金が貰えるのだという。
「お聞きしますが、リックさんは魔物と戦ったご経験はありますか?」
「いや――」
「お仲間は?」
「残念ながら……」
俺は肩を竦める。
戯ける俺に対して、ネレムさんは真剣な顔で書類に目を落とした。
「そうですか。いくらお強いといっても、それでは不安ですよね。わかりました。まずは簡単なところから行きましょう」
ネレムさんは、1枚の書類を差し出した。
「あ、はい。朝食ありがとうございます、ウォルナーさん。とっても美味しかったです」
「はっ! お世辞をいっても、宿賃はまけないからね」
ウォルナーさんは皿を下げる。
赤毛の狼族の頬は、さっきよりも少し赤く見えた。
やっぱり良い人である。
「ルーナのことをお願いします」
「ちょっと待ちな」
俺は宿を出ようとすると、ウォルナーさんは俺を引き留めた。
「これ持ってきな」
真っ白な握り飯を差し出した。
「いいんですか? 朝食までいただいたのに」
「あんたのためじゃない。ルーナのためだ」
ウォルナーさんは、ルーナ贔屓らしい。
亜人と獣人の違いはあるけど、同じ獣族である。
同族として見過ごせないだろう。
それにルーナは可愛いしな。
「しっかり稼いでくるんだね、パパ」
ベン、と背中を叩かれる。
その一撃は、一昨日戦った奴隷商の攻撃よりも痛かった。
ウォルナーさんって、実は昔すごい冒険者だったんじゃないのか。
てか、パパってなんだよ。
俺、まだ22歳なんだけど……。
◆◇◆◇◆
俺はギルドに到着する。
スイングドアを開くと、騒がしかったギルドが一気に静まる。
ピンと空気が張り詰めた。
冒険者たちの視線が鋭い。
だが、俺に挑みかかる者も、「外れ勇者」と馬鹿にする者もいなかった。
どうやら俺がギルドマスターになったことが、影響してるらしい。
ま――。
変に絡んでくるよりはいい。
それになかなか気分がいいものだ。
俺は真っ直ぐネレムさんがいる受付へ向かった。
「おはようございます、リックさん。昨夜はよく眠れましたか?」
「はい。とっても。昨日はありがとうございました。ごちそうまでしてもらって」
「とんでもありません。こちらこそ家を提供できず申し訳ありませんでした。明後日には片付くと思うので」
「そうですか。……ところで」
「はい。依頼の方ですね。申し訳ありません。今のところ、リックさんにオススメするメインクエストはないのですが……」
「そうですか」
弱ったな。
それだとお金が……。
「でも、安心してください。フリークエストは、いつでも受け付けていますから」
「フリークエスト?」
特定の依頼主がいないクエストを、フリークエストという。
その内容は主に魔物の討伐だ。
ギルドが指定する魔物を、特定の数だけ倒せば、その分の褒賞金が貰えるのだという。
「お聞きしますが、リックさんは魔物と戦ったご経験はありますか?」
「いや――」
「お仲間は?」
「残念ながら……」
俺は肩を竦める。
戯ける俺に対して、ネレムさんは真剣な顔で書類に目を落とした。
「そうですか。いくらお強いといっても、それでは不安ですよね。わかりました。まずは簡単なところから行きましょう」
ネレムさんは、1枚の書類を差し出した。
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