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2nd season 第四章
168 魔王伝説
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「その功績に感銘を受けた輪廻の神が、彼女の魂をプレイオスの元へ遣わせたかどうかは、誰も知らない・・・」
ナレーションの締めの言葉に、舞台の幕が降りる・・・っていうか幕は無いから、役者が出てきてお辞儀するだけだが。
「いやいやカインさん、なかなか楽しめましたよ?」
「うむ、石頭のプレイオスが人の子に懸想か・・・面白いでは無いか?」
聖都神殿降臨の間。
ホルジス様に無理を言って、アルケーア様をお招きしてのプレミア上演を開催したのだ。
ちな、100%フィクションである。
「プレイオス様に怒られたりしませんかね?」
「構わん構わん。何か言ってきたら妾が一蹴してやろうぞ」
「ありがとうございます。そしてこちらが、上演後に無料配布する予定の短編小説版です」
「ほぅ?金も取らぬのか?」
「はい。上演ではチップを集めますが、本は無料です。沢山配布して、各地で真似するものが出てくれれば、しめたものなので」
「ふむ。やはりカインさんはこういう方面の才能ありますね。暗に、神への祈りが薄れれば魔素が枯渇するっていう脅しが隠されているあたりとか、もう、秀逸ですよ?」
「楽しんで見ている間に、少しずつ常識として刷り込まれるのを狙ってみました」
「しかもコヤツ『魔族が人の進化した姿』なぞとでっち上げおって、魔族の自尊心を持ち上げつつも、人族との親和性を芽生えさようとまで画策しておる。なかなかのものじゃ」
「いやぁ、恐縮です」
「よしっ、気に入った。この演題が落ち着いて手を離れてからで構わん、妾の話も書いてみよ」
「え”?・・・まじっすか?」
「古の神話など堅苦しくてつまらん!妾も恋バナに出演するのじゃ!」
「たっ・・・賜りました」
「いやぁ~アルケーアがこれだけ気に入ったんだ、下界での大ヒットマチガイ無しで、またも神力がウハウハですね!」
~~~~~
冷静になってみると、魔族に信仰を植え付けるのと、奴隷問題はまったくもって関係の無い話だった。
混ぜて考えるから難解になる。
「今日も大盛況だったわね?」
「うむ、フレッドとユリアの固定ファンがヤバイな」
プレイオス様役はフレッドだ。
まぁ、普通にイケメン効果を狙った。
最初の頃は、プレイオス様が思い悩む『憂いの表情』の演技に苦戦していたが『ヤザンの顔真似やってみろ』という、大演出家こと俺様の演技指導で、彼の才能は花開いた。
「今夜はクレモス商会のお屋敷に呼ばれてたわね?」
「ああ、きっとご馳走が出るだろうから、メシは食わないで行ったほうがいいな」
予想してなかった副次効果で、俺達の人脈もみるみる太くなっている。
今やこの街では『ロックハウス劇団』を招いて晩餐会を行うのがステータスだ。
この国に貴族という階級は居ないが、経済がある限り、そこに貧富の差は存在する。
有力者とのパイプは、まぁ、持っていて損は無い。
「カイン様?なんだかこういう暮らしも楽しいですわね?」
「そうだな。政治も商いも関係ない立場って、結構楽だしな」
役者に腹の探り合いは必要ない。
泣かせて沸かせてあとは知らん。
「どうだろうロックハウス殿。エジンブラの取引先が貴殿らの噂を聞きつけ、是非にと公演を願っているのだが・・・なんとかならぬだろうか?」
ふむ。ついに来たか。
「他ならぬクレモス様のご紹介。ご予約の空きを確認して、すぐにも向かいましょう・・・して、エジンブラとはどのあたりで?」
「おおっ!それは助かる!商会の魔動車を用意させて頂くゆえ、片道2日の短い旅だが、演料は期待してもらって構わないっ!」
こうして新作神話『プレイオスの涙』は着々と近隣都市へ波及、大道芸として模倣者達を増やしていった。
そしてペルシラ大陸と新大陸の二重生活を開始して二月が経つ頃、俺はまたしてもピンチに立たされていた。
「やばいっ!国連の定例会議じゃん!」
各国の主席と補佐官二名には、会場となるミズーラの鉱山神殿と自国王宮神殿の転移権限を付与してあるから、以前のように送り迎えは不要となった。
だが、ホスト的立場になる俺は目下全力でスキンヘッド!
眉毛まで無いっ!
「あー、タトゥーだけ消したら余計変人になるわね?」
欠席という選択肢は無い。
俺が出なければ各国が疑心暗鬼に陥るのは間違いない。
今更戦争とか始められたらやってられん。
「どうしよう?マジどうしよう?アルケーア様のコイバナとか考えてる場合じゃなかった!」
「まさか新大陸の報告するわけにもいかないですよね?」
んー、交流できる距離じゃないんだから言っても問題ない気もするが、開示するメリットが今は無いよな?眉毛の言い訳に使っていいレベルのネタじゃない。
「新しいファッションだって言い張れば?」
「いや、無理やりすぎだろ?」
「下手な嘘つくと『教皇サマの正体は魔王』とか噂になりませんか?」
「「「・・・」」」
~~~~~
右往左往するうちに数日が経ち、国連会議の日がやって来た。
開会の挨拶をする俺は開き直ったかのように漆黒のローブ、深々とフードを被り、油断したら転ぶ自信がある!
「あー、各国首脳の皆様方、今回は故あってフードのままで失礼します。後ほどご説明させて頂きますので、まずは共有鉱山の収支報告からお聞き下さい」
各担当が淡々と収支を報告してゆく。
既に鉱山の権利を持たない参加国の方が多くなっているが、まぁ、初期組が新参に対して少しばかり上位の立場なんだぞ的なアピールだ。
「今回も問題は無さそうだな」
「そうですな。平和というのは実に儲かる」
「これも一重にペルシラ皇帝陛下の御威光あればこそというところでしょう」
「それでは次の議題、ナルバス定期便の相互乗り入れ調整に移らせて頂いて宜しいでしょうか?」
うむ。
今、一番ホットなテーマだ。
どの国の首脳も、今回はこの為に集まったと言えるだろう。
「良い訳があるかっ!貴様の珍妙さが気になって会議などできんっ!」
ペルシラのおっさんからツッコミが入ったが動揺したりしない。
「ペルシラ陛下よりご意見賜りましたが、私のファッションの話など些末なこと。会議の最後に少々お時間頂戴できれば充分です。ささ、本題をお薦め下さい」
「えーと、猊下。差し支えなければ、先にその、本日の出で立ちの意味をご説明頂いたほうが、各国の皆様も落ち着いて重要議題に取り組めるかと思うのですが・・・」
ふむ、グラム王にまで言われては仕方が無い。
ならば言おう!完璧な言い訳をっ!
「なるほど、それは一理ありますね?では私ごとにて恐縮なのですが、本日何故このような装いであるのかご説明させて頂きましょう」
「今はまさに奇跡の刻、これほどの賢王達が同時代に現れるなど、これまでの歴史には無かったこと。皆様の主導により、ペルシラ大陸は一つとなり、かつてない繁栄の時代を迎えています。ゆえに・・・いえ・・・ならばこそ、すべき事が一つ残されていると、私は気付いたのです」
深く被ったフードの奥、周囲からは伺い知れぬ両の眼で一同を見渡す。
「ふんっ!勿体ぶるな!」
「・・・魔大陸」
「「「なっ!?」」」
「500年前、このペルシラ大陸を滅亡の危機に追い込んだ魔王は、かの魔大陸からやってきたと伝わっている・・・異界より勇者が召喚され、見事魔王は討ち滅ぼされましたが、さて、残った魔族たちはどうなりましたか?」
「「「・・・」」」
「この数年で、我々は情報の正確さと共有がいかに大切であるかを学びました。互いの意志が共有されれば、こうして平和な世界が生まれる・・・だが、その平和のすぐ横に、未知の脅威が横たわっているのでは、落ち着いて平和を謳歌できぬと、皆様も思われませんか?」
俺がぶち上げたのはペルシラ大陸の北東数千キロに在ると伝わる魔大陸。
今回行き着いた新大陸とは別物の既知の大陸だ。
「それと貴様のその様になんの関係がある?」
「ペルシラ陛下は相変わらずせっかちですね?順を追わねば伝わらぬ事もありますゆえ、今暫くご辛抱下さい。さて、そのようなわけで、神殿国家アベルは、魔大陸への潜入捜査を試みます」
ざわっ ざわざわっ
「あ。侵略じゃないですよ?あくまでも潜入です。折角の平和なときに、戦端を開くなどバカバカしいにも程がありますから」
「ふんっ!貴様がノコノコ偵察隊など送り込んで、藪蛇に寝た子を起こすことになったらどうするのだ?」
「そうですね。まさにペルシラ陛下のおっしゃられる通り。人間がノコノコ魔大陸に向かえば、再び戦火の因となりねない。かといってのんびり昼寝しているところに、いきなり襲いかかられたら困りますから、やはり情報は欲しい・・・そこで、私一計を案じまして、魔族に化けた偵察隊を結成しようかと」
「そんな事で誤魔化せたら苦労はせんわ!」
「ほぅ・・・陛下、ではコレを見ても驚きませんね?」
バサリッ
「「「「ひぃぃぃぃぃぃぃ!」」」」
うむ、やはり魔族よりもリアクションが濃い!
「・・・貴様という奴は・・・仮にも教皇がそんな姿になってどうするつもりだっ!」
「いや、だから潜入?」
「げっ、猊下?本当に猊下なのですよね?」
「あー、本当だ。魔族に化けたいと嫁たちに相談したらこうされた。眉毛を剃られた時点で抵抗は諦めた。どうだろう?魔族を見たことのある方が居たら、是非とも感想なりアドバイスなり頂戴したいのだが・・・」
ぐるりと会場を見回すが、皆が視線を逸らす。
「よし。この話は長くなりすぎる。ひとまず保留してナルバスの話を進めるぞ。貴様のバカ話は最後に時間が余ったら聞いてやるっ!」
「そんなぁ~、ペルシラ陛下が聞かせろって言ったんじゃ無いですかぁ?」
「やかましいっ!話がすすまぬからフードでも被って黙ってろっ!」
うん、うまく行った。
##### 作者コメント #####
プロットでは結構盛り上がりがあったあたりなんですが、無理して書いてるとめっちゃつまんない感じに・・・。
例年、ここからGWがあけるくらいまでどんどん忙しくなっていくので、それまではあまり無理せず、数日おきでもコツコツやっていこうと思います。
二、三日更新が止まる日があっても、石を投げないで頂けると感謝です(@_@;)ビクビク ビクビク
ナレーションの締めの言葉に、舞台の幕が降りる・・・っていうか幕は無いから、役者が出てきてお辞儀するだけだが。
「いやいやカインさん、なかなか楽しめましたよ?」
「うむ、石頭のプレイオスが人の子に懸想か・・・面白いでは無いか?」
聖都神殿降臨の間。
ホルジス様に無理を言って、アルケーア様をお招きしてのプレミア上演を開催したのだ。
ちな、100%フィクションである。
「プレイオス様に怒られたりしませんかね?」
「構わん構わん。何か言ってきたら妾が一蹴してやろうぞ」
「ありがとうございます。そしてこちらが、上演後に無料配布する予定の短編小説版です」
「ほぅ?金も取らぬのか?」
「はい。上演ではチップを集めますが、本は無料です。沢山配布して、各地で真似するものが出てくれれば、しめたものなので」
「ふむ。やはりカインさんはこういう方面の才能ありますね。暗に、神への祈りが薄れれば魔素が枯渇するっていう脅しが隠されているあたりとか、もう、秀逸ですよ?」
「楽しんで見ている間に、少しずつ常識として刷り込まれるのを狙ってみました」
「しかもコヤツ『魔族が人の進化した姿』なぞとでっち上げおって、魔族の自尊心を持ち上げつつも、人族との親和性を芽生えさようとまで画策しておる。なかなかのものじゃ」
「いやぁ、恐縮です」
「よしっ、気に入った。この演題が落ち着いて手を離れてからで構わん、妾の話も書いてみよ」
「え”?・・・まじっすか?」
「古の神話など堅苦しくてつまらん!妾も恋バナに出演するのじゃ!」
「たっ・・・賜りました」
「いやぁ~アルケーアがこれだけ気に入ったんだ、下界での大ヒットマチガイ無しで、またも神力がウハウハですね!」
~~~~~
冷静になってみると、魔族に信仰を植え付けるのと、奴隷問題はまったくもって関係の無い話だった。
混ぜて考えるから難解になる。
「今日も大盛況だったわね?」
「うむ、フレッドとユリアの固定ファンがヤバイな」
プレイオス様役はフレッドだ。
まぁ、普通にイケメン効果を狙った。
最初の頃は、プレイオス様が思い悩む『憂いの表情』の演技に苦戦していたが『ヤザンの顔真似やってみろ』という、大演出家こと俺様の演技指導で、彼の才能は花開いた。
「今夜はクレモス商会のお屋敷に呼ばれてたわね?」
「ああ、きっとご馳走が出るだろうから、メシは食わないで行ったほうがいいな」
予想してなかった副次効果で、俺達の人脈もみるみる太くなっている。
今やこの街では『ロックハウス劇団』を招いて晩餐会を行うのがステータスだ。
この国に貴族という階級は居ないが、経済がある限り、そこに貧富の差は存在する。
有力者とのパイプは、まぁ、持っていて損は無い。
「カイン様?なんだかこういう暮らしも楽しいですわね?」
「そうだな。政治も商いも関係ない立場って、結構楽だしな」
役者に腹の探り合いは必要ない。
泣かせて沸かせてあとは知らん。
「どうだろうロックハウス殿。エジンブラの取引先が貴殿らの噂を聞きつけ、是非にと公演を願っているのだが・・・なんとかならぬだろうか?」
ふむ。ついに来たか。
「他ならぬクレモス様のご紹介。ご予約の空きを確認して、すぐにも向かいましょう・・・して、エジンブラとはどのあたりで?」
「おおっ!それは助かる!商会の魔動車を用意させて頂くゆえ、片道2日の短い旅だが、演料は期待してもらって構わないっ!」
こうして新作神話『プレイオスの涙』は着々と近隣都市へ波及、大道芸として模倣者達を増やしていった。
そしてペルシラ大陸と新大陸の二重生活を開始して二月が経つ頃、俺はまたしてもピンチに立たされていた。
「やばいっ!国連の定例会議じゃん!」
各国の主席と補佐官二名には、会場となるミズーラの鉱山神殿と自国王宮神殿の転移権限を付与してあるから、以前のように送り迎えは不要となった。
だが、ホスト的立場になる俺は目下全力でスキンヘッド!
眉毛まで無いっ!
「あー、タトゥーだけ消したら余計変人になるわね?」
欠席という選択肢は無い。
俺が出なければ各国が疑心暗鬼に陥るのは間違いない。
今更戦争とか始められたらやってられん。
「どうしよう?マジどうしよう?アルケーア様のコイバナとか考えてる場合じゃなかった!」
「まさか新大陸の報告するわけにもいかないですよね?」
んー、交流できる距離じゃないんだから言っても問題ない気もするが、開示するメリットが今は無いよな?眉毛の言い訳に使っていいレベルのネタじゃない。
「新しいファッションだって言い張れば?」
「いや、無理やりすぎだろ?」
「下手な嘘つくと『教皇サマの正体は魔王』とか噂になりませんか?」
「「「・・・」」」
~~~~~
右往左往するうちに数日が経ち、国連会議の日がやって来た。
開会の挨拶をする俺は開き直ったかのように漆黒のローブ、深々とフードを被り、油断したら転ぶ自信がある!
「あー、各国首脳の皆様方、今回は故あってフードのままで失礼します。後ほどご説明させて頂きますので、まずは共有鉱山の収支報告からお聞き下さい」
各担当が淡々と収支を報告してゆく。
既に鉱山の権利を持たない参加国の方が多くなっているが、まぁ、初期組が新参に対して少しばかり上位の立場なんだぞ的なアピールだ。
「今回も問題は無さそうだな」
「そうですな。平和というのは実に儲かる」
「これも一重にペルシラ皇帝陛下の御威光あればこそというところでしょう」
「それでは次の議題、ナルバス定期便の相互乗り入れ調整に移らせて頂いて宜しいでしょうか?」
うむ。
今、一番ホットなテーマだ。
どの国の首脳も、今回はこの為に集まったと言えるだろう。
「良い訳があるかっ!貴様の珍妙さが気になって会議などできんっ!」
ペルシラのおっさんからツッコミが入ったが動揺したりしない。
「ペルシラ陛下よりご意見賜りましたが、私のファッションの話など些末なこと。会議の最後に少々お時間頂戴できれば充分です。ささ、本題をお薦め下さい」
「えーと、猊下。差し支えなければ、先にその、本日の出で立ちの意味をご説明頂いたほうが、各国の皆様も落ち着いて重要議題に取り組めるかと思うのですが・・・」
ふむ、グラム王にまで言われては仕方が無い。
ならば言おう!完璧な言い訳をっ!
「なるほど、それは一理ありますね?では私ごとにて恐縮なのですが、本日何故このような装いであるのかご説明させて頂きましょう」
「今はまさに奇跡の刻、これほどの賢王達が同時代に現れるなど、これまでの歴史には無かったこと。皆様の主導により、ペルシラ大陸は一つとなり、かつてない繁栄の時代を迎えています。ゆえに・・・いえ・・・ならばこそ、すべき事が一つ残されていると、私は気付いたのです」
深く被ったフードの奥、周囲からは伺い知れぬ両の眼で一同を見渡す。
「ふんっ!勿体ぶるな!」
「・・・魔大陸」
「「「なっ!?」」」
「500年前、このペルシラ大陸を滅亡の危機に追い込んだ魔王は、かの魔大陸からやってきたと伝わっている・・・異界より勇者が召喚され、見事魔王は討ち滅ぼされましたが、さて、残った魔族たちはどうなりましたか?」
「「「・・・」」」
「この数年で、我々は情報の正確さと共有がいかに大切であるかを学びました。互いの意志が共有されれば、こうして平和な世界が生まれる・・・だが、その平和のすぐ横に、未知の脅威が横たわっているのでは、落ち着いて平和を謳歌できぬと、皆様も思われませんか?」
俺がぶち上げたのはペルシラ大陸の北東数千キロに在ると伝わる魔大陸。
今回行き着いた新大陸とは別物の既知の大陸だ。
「それと貴様のその様になんの関係がある?」
「ペルシラ陛下は相変わらずせっかちですね?順を追わねば伝わらぬ事もありますゆえ、今暫くご辛抱下さい。さて、そのようなわけで、神殿国家アベルは、魔大陸への潜入捜査を試みます」
ざわっ ざわざわっ
「あ。侵略じゃないですよ?あくまでも潜入です。折角の平和なときに、戦端を開くなどバカバカしいにも程がありますから」
「ふんっ!貴様がノコノコ偵察隊など送り込んで、藪蛇に寝た子を起こすことになったらどうするのだ?」
「そうですね。まさにペルシラ陛下のおっしゃられる通り。人間がノコノコ魔大陸に向かえば、再び戦火の因となりねない。かといってのんびり昼寝しているところに、いきなり襲いかかられたら困りますから、やはり情報は欲しい・・・そこで、私一計を案じまして、魔族に化けた偵察隊を結成しようかと」
「そんな事で誤魔化せたら苦労はせんわ!」
「ほぅ・・・陛下、ではコレを見ても驚きませんね?」
バサリッ
「「「「ひぃぃぃぃぃぃぃ!」」」」
うむ、やはり魔族よりもリアクションが濃い!
「・・・貴様という奴は・・・仮にも教皇がそんな姿になってどうするつもりだっ!」
「いや、だから潜入?」
「げっ、猊下?本当に猊下なのですよね?」
「あー、本当だ。魔族に化けたいと嫁たちに相談したらこうされた。眉毛を剃られた時点で抵抗は諦めた。どうだろう?魔族を見たことのある方が居たら、是非とも感想なりアドバイスなり頂戴したいのだが・・・」
ぐるりと会場を見回すが、皆が視線を逸らす。
「よし。この話は長くなりすぎる。ひとまず保留してナルバスの話を進めるぞ。貴様のバカ話は最後に時間が余ったら聞いてやるっ!」
「そんなぁ~、ペルシラ陛下が聞かせろって言ったんじゃ無いですかぁ?」
「やかましいっ!話がすすまぬからフードでも被って黙ってろっ!」
うん、うまく行った。
##### 作者コメント #####
プロットでは結構盛り上がりがあったあたりなんですが、無理して書いてるとめっちゃつまんない感じに・・・。
例年、ここからGWがあけるくらいまでどんどん忙しくなっていくので、それまではあまり無理せず、数日おきでもコツコツやっていこうと思います。
二、三日更新が止まる日があっても、石を投げないで頂けると感謝です(@_@;)ビクビク ビクビク
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