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2nd season 第二章

111 喜劇もしくは悲劇

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「王都よっ!私は帰ってきたっ!」

しーん(困惑

グラム王国歴335年3月28日。
アベル隊を聖都に残し、俺は王都のホルジス神殿で盛大に滑っていた。
どうやら本当に、他の転生者は居ないらしい。

気を取り直して粛々と、郵便事業の公開レビュー評価試験を進行する。

「さて、それではこの中の誰か、聖都に親しい知り合いが居るものはいるかっ!」
「お、弟が、聖都におります、教皇様!」
「そうか。その弟さんに手紙を書いてみて貰えないか?返事が来れば、弟さん本人だとわかる内容だと助かる。例えば、子供の頃の思い出話を尋ねるような内容だ」
「わっ、わかりました!」

はるばる聖都から新教皇がやってくるというので、王都の暇人・・・おっと、信仰心あつきものたちが大勢集っている。
勿論、グラム王への挨拶は済ませてある。
シリアとユリアを連れて謁見すると、盛大に歓迎してくれた。

「ふむ、誰かもうひとりくらい頼めぬか?一人だけではその、なんだ?ホントに行ってきたのか怪しいだろ?」

都合三名分の私信が託された。

「では、クルスタット卿、頼めるかな?」
「はっ!猊下、行って参ります!王国の民よ!待っておるのだ!」

暑苦しいおっさんが神殿内に駆けてゆく。

「ふむ、クルスタット卿が戻るまでただ待っているのも芸が無いな。そうだな、ユリア、王都の民に異界神話を聞かせて貰えるか?」
「はいっ!旦那様っ!読ませて頂きますっ!」

うんうん。
どうせ聞くなら女性の声がいいよな?
しかも飛び切り美人の声は、心のハードディスクに永久保存されやすい。

「今日も変わらず大地が有り、見上げればそこに空がある。我らはそれに感謝する・・・」

シーン・・・

「ショックを受けた者も多いだろう。永き時の中で、聖教の教えは歪んでしまった。この異界神話こそが、ホルジス様が原典とせよと仰せられる真理だ。ゆえに聖教は神理教と名を改め、この原典を世に広めることに心血を注ぐ。皆も手に取り、しっかりとその真意を魂に刻んで欲しい」

「きょっ、教皇様っ・・・世界は・・・世界は滅ぶのですか?」
「うむ。放っておけば・・・滅ぶ」

ざわっ ざわざわっ

「だが案ずるなっ!」

どよっ どよどよっ

「その滅びをおこさぬ為に、今この時、400年ぶりにホルジス様が降臨され、我らに目覚めを説かれたのだっ!」

おおっ?

「民よっ!目覚めよっ!今こそ変革の時っ!真の信仰へと目覚めるのだっ!」

おおおおおっ!
ホルジス様ぁ~!
教皇さまぁっ~~~!

うん、予定調和予定調和。
サクラじゃないよ?ホントダヨ?

「ふむ、早いな。クルスタット卿が戻ったようだ」

神殿の奥から誰か駆けてくる。
あ、ちがた。

「猊下っ!聖都より、2名の王都民に手紙を預かってまいりました!」
「あ、うん。アベル、ご苦労・・・皆のもの、返信では無かったようだ。今朝書かれた、聖都からの手紙だっ!アベルっ、どこの誰宛の手紙だ?」
「はっ!一通はニルジスタ商会、会頭のニルジスタ氏へ、聖都支店の店長からで、内容は決して明かさないでくれとの事っ!もう一通は冒険者ギルド、受付のミスカ嬢へ、聖都の冒険者ケンヤからの手紙ですっ!」

「ほぅ・・・なんとなく内容の予想がつくが、どうだろう?これから皆で、この手紙、届けに行ってみようでは無いか?」

おおおおっ!
おもしれえっ!

「あー、んとな?このニルジスタ商会っていうの?どこにあるか知ってる人、いるか?」

(猊下、お言葉が崩れ過ぎであります)

うん、ヤザン、俺もそう思った。

「きょっ!教皇様っ!知っていますっ!」
「案内してもらえるかな?」
「はっ、はいっ!光栄ですっ!」

久しぶりに王都の街を歩く。
ユリアが少し不安そうだが、何しろこの群衆、300人近く居る、その真ん中でふんぞり返っていれば、よほどのバカでなければ手の出しようが無いし、手を出してくるなら好都合、この機会にしちゃう。

「こっ、こちらですっ!」
「そうか、ありがとう。そうだな、手伝ってくれた礼に、この異界神話を進呈しよう。王都の民で手にするのは、そなたが最初の一人だ」
「あっ、ありがとうございますっ!家宝にいたしますっ!」
「いや、大事にせずとも、むしろ擦り切れるまで皆で回し読みしてほしいぞ?」
「はいっ!必ずやっ!」

「さて、ヤザン、会頭殿を呼んできてもらえるかな?」
「はっ、しばしお待ちを」

うん、アポなし突撃。
こういうのは見るからに立場のありそうな人間じゃないとな?
俺だと群衆の前で門前払いとか、さむ~い結果になりかねない。

「猊下、お連れしました」
「うむ、ご苦労。さて、ニルジスタ氏よ、突然大勢で押しかけてすまぬな?神理教・・・まだ知らぬか。旧聖教教皇のロックハウスという」
「きょっ!教皇さまでっ!?」
「実は今『郵便』という、神殿の新しいサービスの試験中でな?ようは恐ろしく速く届く手紙だ。その試験で、聖都支店長から手紙を預かっている。これなのだが・・・本当に聖都の支店長の手紙か、声に出さず読んでみてくれるか?」
「は?はぁ・・・?」

狐につままれたような顔で狸爺が手紙を読む。
みるみるうちに顔が真っ赤に・・・。

「あっ、あんたっ!これはホントかっ?ホントに小麦(ムグゥ」

慌てて狸の口を塞ぐ。

「すまんすまん。差出人が、内容は秘密だと言っておるでな?声に出してはまずかろう?」

コクコク

「で、本当に聖都の支店長からの手紙のようかね?」
「へっ、へいっ。間違いありやせんっ!こいつあとんでもねぇ・・・」
「差出人には返事を持っていくと約束していてな?書いてもらえるか?できれば、そなたが書いたとわかるような文章を入れてもらいたい」
「勿論、こちらからお願いしたいくらいでさぁ・・・。ところで、速く届くとおっしゃいましたが、いつ頃で?」

「ああ、それが書かれたのは今朝だ。そして、そうだな。遅くとも今日の夕方には向こうに届く」
「・・・にわかには信じがたい・・・だが、本当ならこれはチャンス」
「うむ、信じられぬのも無理は無い。聖教の新しい教え、神理教を説く我らに、特別にホルジス様が用意してくださった転移門を使うのだ」
「て、転移門?あの、大昔の伝説に出てくる?」
「そうだ。で、書いてくれるか?」
「へいっ!しばしお待ちを!」

男が店の中へ駆け込んでゆく。
さて、どうやって間をもたせよう?
手品ならできるぞ?

などと考えていると人垣をわけて冒険者が三人こちらに向かってくる。
来たか・・・シリアとユリアに目配せをし、俺の背後に。
今の俺達はご来賓様。
指一本触れなくとも、無礼を働いただけで収納可能だ・・・と、突然冒険者が人の波に沈む・・・浮かんでこない?
キョロキョロと探しているとヤザンが黙ってうなずく・・・ヤザン、恐ろしい子っ!

うん、そりゃ王都にも居るよね、暗部の皆さん。
感心している間に狸が戻ってきた。

「こ、こちらでございます。こちらも、くれぐれも内容は秘密にて・・・して、お代はいかほどに?」
「あー、今日は試験だからタダだ。むしろ、試験に協力してくれた例に、ホルジス様が説かれる原典、異界神話を進呈しよう。この原典を手にする民は、王都ではそなたが二人目だ。しっかり学んで欲しい」
「へっ?こ、こんなとんでもない情報が、本当にタダ?」

「ああ。半月ほどすると本サービスが始まる予定だ。その時は、手紙なら銅貨五枚1万円、荷物なら銀貨五枚10万円からになる。本番では、数日かかるが、馬を走らせるより、ずっと安くて早かろう?」
「ふぇーっ、そいつはすげぇ・・・です。贔屓にさして頂きやす」

ニルジス商会をあとにし、ゾロゾロと冒険者ギルドへ向かう・・・なんか増えてない?

「あー、次は冒険者ギルドだな?何やら色恋の気配がするが、皆もそう思うか?」

うん、テストケースには持ってこいの流れだな。
これがプロポーズでカップル成立とかだったらもう、盛り上がり、最高潮っしょ!

ユリアとシリアの腰をぐっと抱き寄せ、ギルドのドアを開ける。
多種多様な視線が突き刺さる中、あえて大声で名乗りを上げる。

「聖教国教皇、カイン・ロックハウスであるっ!神殿転移門の試験で、手紙を預かっている。ミルカ嬢はいるかっ!?」

ギルド内をぐるりと見渡す。
目があっただけで震え上がって逃げ出す男たちが数人・・・うん、ご愁傷さまです。逃げたらバレるって?暗部の人たち、拷問して、結果にかかわらず痕跡消しちゃうんだろうなぁ~、いやぁ~都会って怖いなぁ~♡

「わっ、わたくしですっ!」

一人の受付嬢がオロオロしながら声をあげる。
そりゃまぁそうだよね?
人だかり、ギルドの中に入りきれてないし。

「あー、神殿で手紙を早く届けるサービスを始めるのでな?試験で手紙を送るものを募ったところ、聖都のケンヤ氏から、そなたに手紙を預かった。今朝書かれたものだ。できれば読んで、返事を預かりたい」
「えっ、彼からっ?ですか?ありがとうございますっ!」

うんうん、ほっこりするよね~、観衆の皆さんも期待でワクテカ、ケンヤくん?いい仕事したねぇ?

プルプルプルプルっ

あれっ?なんか、怒ってらっしゃる?

「あんの、クサレチンポっ!女が出来たから別れるだとぉぉぉぉぉ!?」

あっ・・・・ダメなやつだった。
どうしよう・・・返事・・・群衆の皆さんもめっちゃバツが悪そう。

「返事っ、もってってくれるんですよね?」
「は、はいっ!預からせていただきたいなぁ~と」

ツカツカとカウンターへ向かうミルカ嬢。
誰かがカウンターの上にのせた納品用のレッドラビットを一瞥すると、無言で手刀を・・・ぶしゅっ!・・・突き刺しちゃったし!?
そのまま滴る血液で、受け取った手紙の上にデカデカと二文字

『呪殺』

・・・うぁぁぁぁぁ、預かりたくなーい。

「はいっ、教皇様。くれぐれも、よろしくおねがいしますねっ?」
「た、確かに、預かった・・・それではっ!協力に感謝するっ!」

逃げるようにギルドを後にした。
あっ、異界神話、渡しそびれたっ!

「いやぁ・・・驚いたねぇ?みんなも驚いた?」

コクコクコクコク

神殿に戻ると、クルスタット卿が黄昏れていた。
あっ、こっちも忘れてた。

「すまんすまん、少しトラブルがあってな?もう少し待ってくれ。あー、諸君、皆が見たままだ。ミルカ嬢のおかげで、もはや疑うものはおるまい。王都と聖都は繋がったも同然!アベルよ・・・この、返信を聖都に届けてくれ」
「はっ!身命にかけて!」
「待たせたな、クルスタット、して、返信は貰えたか?」

こうして、郵便事業の公開レビュー評価試験は、幾多の悲劇を交えながらも、当初の目的を完遂したのだった。


~~~~~


時は遡り、郵便事業に向け、カイン達が王都神殿を大改造していたその頃、一人の男が苛立っていた。

「ラシッドは、ラシッドはまだ来ぬのか!?」
「はっ、ここは領地より遠く離れておりますゆえ、ラシッド様のご到着までは今暫く要するかと」
「二ヶ月だっ!二ヶ月も待っているのだぞ!?このほとばしる情熱っ!一体どこにぶつければよいのだっ!?」

「はいはい、フレッド様。衛兵さんに言っても仕方ないでしょ?それよりもその『ほとばしる情熱』とやらで、一匹も多くモンスターでも狩って置いたら?彼女、D級なんでしょ?もう少し上げとかないと、バランス悪くない?」
「むっ、そうか?そうだな?やはり女は強い男が良いのだな?うむ、ハインツ!着いてまいれっ!」

その日から、ただでさえ平和な国境の宿場町は、さらに一層、安全な町となった。
もしか、この辺のモンスター、絶滅しちゃったかもしれない。

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