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1st season 第三章

045 それぞれの王都

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「さて皆様お待たせいたしました。次なる出品は故エーリッヒ・フォン・グライリッツ伯爵様がのこされた至高の性奴隷、氷結姫ユリア嬢でございます」

伯爵が死んで5日が経った。
あるじが死ねば後を追う呪いがかけられた奴隷も少なくないのに、わたしはそうして貰えて無かった。
ようやっと乳首が覆えるだけの小さな布と、あの何も隠していない紐のような下着、それすら隠すことの出来ない、短すぎのプリーツ・スカート。
そんなあられもない姿で首輪を引かれる。

ステージの上のわたしに沢山のねっとりとした視線がまとわりつくけど、手枷をされた腕では、うまく身体を隠すことができない。
恥ずかしい・・・恥ずかしくて死んでしまいそう・・・なのに・・・その恥ずかしさにどんどん愛液があふれてきてしまう。

「ご存知の方も多いかと思われますが、まずは説明させて頂きます。つい三ヶ月前まで、その美しい容姿と稀有な氷魔法によって、美男富豪いかなる男も寄せ付けぬ孤高の華と名を王都に轟かせていた魔法使いであるユリア嬢ですが、こともあろうにグライリッツ伯爵がお子、カイザル様を殺害、そのとがにて死罪となるところを、慈悲深き伯爵によって命を救われ、性奴隷としてお使えして参りました。伯爵の優美な宴にてその姿をご覧になられた方も少なくないでしょう・・・そして伯爵がユリア嬢に与えた寵愛の最たるものがこの奴隷紋」

司会の男がわたしの身体を指差す。
頭巾を被った他の男に手枷の鎖を釣り上げられると、わたしのお腹に大勢の視線が注がれる。
おヘソの少し下に刻まれた奴隷紋の中心には仮の主人、この司会の男の名が浮かび上がっている。
そして、その視線がそのまま下に移動し、わたしの性器にくい込む紐にまとわりつく。
いやっ・・・

「この奴隷紋こそが伯爵生涯の最高傑作たる所以ゆえん。刻まれた性奴隷は決してする事ができず、また、恥ずかしさにことも出来なくなります。そして恥ずかしければ恥ずかしいほど、意志とは無関係に性的興奮が高まる。つまり、壊れる事がなく、新鮮さが損なわれることもない、究極の玩具に至るのです」

会場に溜息が広がる。

「論より証拠、皆様にご覧頂きましょう」

左右の足首に繋がれた鎖が引かれ、無理矢理に脚を開かされる。
司会の男がしゃがみこんで、ちつの中が見えてしまうほど指で左右に押し広げた。

「んんんー んんんー」

ぴちょんっ ぴちょんっ ぴちょんっ

「このように会場の紳士の皆様に見つめられただけで、その恥ずかしさに蜜があふれ、とろとろと床を汚してしまうのです」

さっきよりも大きな溜息が広がってゆく。

「んんんー んんんー」

くつわをされたわたしの懇願は、声になる事ができない。

「しかもこの膣はあるじとなったものにしか使えません。あるじ以外のモノが中に入れば、呪いで立ちどころに腐り落ち、女も激痛の罰を受けます」

ゴクリッ

「反対に、あるじに三日も精を注いでもらえなければ、いくら果てようとも身体のうずきが収まらなくなり、そのうずきは日毎に増し、七日目には自身の指が肉芽から離せないほどに・・・そして十日放置されれば発狂して死に至ります」

ザワッ ザワザワっ

「刻まれた奴隷は身体のうずきからあるじのペニスを渇望しますが、恥辱への耐性が呪われているため、淫売のように媚びることができません。ご覧ください、このユリア嬢の切なく身悶えつつも恥辱に歪む初々しいお顔を。伯爵が亡くなられて五日、もはやクリトリスをひとこすりされただけで達してしまう程です」

つんっ

「んんんんんんんっ」

「おっといけない。あまりいじっては皆様の前で粗相をさせてしまいかねない。これ以上は落札された紳士の方のみに与えられる特権でございますな。それではこの氷結姫ユリア嬢、開始価格は金貨50枚1千万円にて、よろしくお願いいたします」

~~~~~

「せっかく王都まできたのよ?少しは観光くらいさせてくれるのよね?」
「まー別に急ぐ必要も無いしな」
「なら最初は服からね。王都には古着じゃない服屋が結構あるのよ」
「あー」
「嫌なのっ?」
「いえ、お供させて頂きます」

腕を組んでずんずん進んでゆくシリア。
この旅に出る前とはもう確実に距離感変わってるよなー。

あててんのよっ!

という前世娯楽作品の記憶が蘇るが、そこまでのボリュームがコイツには無い。

キッ

「アンタ、いまろくでもない事考えたでしょっ!」
「エスパーかよっ!」
「だからって何よっ!」

~~~~~

「うん、いいわね。アンタ、こういうの好きでしょ?」

シリアが手にとったジーンズのようなパンツは、あちこちにダメージ穴があけられてて、左右のヒップポケットの少し下にも、大きめの穴がしっかりとあいてた。
明らかに俺ロックオンのチョイスである。
結構嬉しい。
前世で女の買い物付き合わされるのって、めっちゃ苦痛だったはずなんだけど、なんでだ?

「はい、たいへんよろしいかと存じます」
「すけべっ」

そう言いながらもしっかりと確保するようだ。
そして次々と俺殺おれごろしアイテムをチョイスしてゆく。
ちょっとダボッとしてて脇の穴アームホールが大きめのノースリーブニットとか、本人である俺すら気づいて居なかったストライクゾーンまで的確に突いてくる。
あんなので隣を歩かれたら、何かの拍子にポッチが見えてしまわないか気になって、前を向いて歩けないじゃないか!

こういうちょっと恥ずかしめな嗜好をまるっと見抜かれた上に、そこに合わせてくれるとかが半端ない。
男なのに胸キュンとかしてきた。

出会ってまだ二ヶ月しか経ってないのに、コイツのいない日々とか想像できない。
もしもコイツが突然いなくなったりした日にはどうなっちゃうんだろ?
もしもコイツが他の男と・・・ドクンっ

ダメだ、その想像はダメだ。
全身から血の気が引いていく。
脂汗がダラダラ流れて、平衡感覚がつかめない。

ダメだ、マズい、落ち着け、俺。
コイツはユリアとは違う。
最高の相棒じゃないか?
俺を裏切ったりするはずがない。

でも・・・16年も一緒だったユリア裏切った・・・ドクンっ

「ねぇ、ちょっと・・・ねぇっ!・・・アンタ大丈夫?」
「あーちょっと大丈夫じゃないかも。外で座ってていい?あとその服は絶対買ってきてね?」

ふぅー。
渋谷の若者のように地べたに座り込んでみた。
袋を抱えたシリアが出てくる。

「ねぇ、すごい心配してんだけど?」
「あー、ここはって言うのが普通なんだろうけど、俺とおまえは普通じゃダメっぽいからちゃんと言うわ。」
「聞くわよ」
「なんかさ、俺好みの服ばっか選んでくれてすげー嬉しかったの。んで幸せだなー、おまえが居なくなったら俺、どうなっちゃうだろ?的な事考えてたら、想像しちまった」
「何をよ?」
「おまえが他の男とヤってるとこ。ダメだ、想像すんなって思っても間に合わなかった・・・よしっ、こいっ、全力でぶん殴っていいぞ!」

ムギュウ

あんまり豊かじゃないおっぱいに抱きしめられた。

「ほんとあんた、アタシの事好き過ぎてダメだわ。アタシはあんたと女将さんのアレ、空想どころじゃなくライブで音声聞かされてるんですけど?」
「面目無いっ・・・」
「あんたの大好きなアタシのチクビ押し付けてやったんだから、コレで元気になんなかったらホントにぱたくからね?」
「なぁ・・・おまえって、ホントいい女だよな」
「あんたも・・・ワリと、いいオトコよ・・・・・・」

ボッ赤面 すぱーんっ!

「ちょっ、おまっ、なんでこの流れでひっぱたくんだよっ!」
「うっさいわねっ!あんたがヘタれてるのが悪いのよっ!元気になったんだからサッサと行くわよっ!」

~~~~~

「しっかしやっぱ王都は金のかかり方が違うよなー、エルダーサ完敗だわ」
「あっ、あそこ、オークション・ホールだって。アンタの零式にいくら値が付くか気にならない?」
「まかり間違って誰かとやり合う羽目になったとき、そいつが零式持ってたら死ねるから売らない」
「アンタとことんヘタレよねー。そのヘタレがオークの群れに突っ込んだんだから、よっぽどイイ女が捕まってたのねー」
「・・・その流れはお互い、いたたまれない感じになるとそろそろ学習して欲しい」
「いーやーでーすーぅ」
「はぁー、とりあえずなんか食おうぜ?」
「高いのがいいわっ!せっかくの王都だものっ!」

魔法の存在するこの世界で、たかがクロスボウがどの程度の戦力になるかはわからない。
ただ、戦闘スキルの無い俺にとって、I.B.と零式のコンボは金に変えられない生命線だ。
むしろ真似することがおそらく不可能なI.B.よりも、零式の性能は秘匿すべきなのかもしれない。

こうして俺達は10日ほど王都ではしゃぎ回った。
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